'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ジオグリフなど中山開幕週は21鞍!
2024/2/23(金)
中山、阪神の開催替わりとなる今週、乗り鞍が集まった。中山記念はG1馬であるジオグリフと初コンビ。勝機がありそうな存在もおり、複数勝利を期待したくなる週末だ。
初コンビのジオグリフは復活なるか
——今週は土曜が10鞍、日曜が11鞍ですね。怪我から復帰して直後などは、乗り鞍が多い時は心配になることもありました。昨秋はもっと乗った週もありましたが、今は大丈夫ですか!?
問題ないですよ。ただ、乗った数が多い方が疲れは来やすいのは事実です。影響を感じるのはレースの最中というより、レース後ですけどね。でも、以前と違って疲れ方が以前であれば筋肉疲労といった感じだったのが、乗り方が変わったせいからか、今は違うんです。いい疲れになったと感じますね。
——普通の人が急に筋肉痛になったら、マッサージを受けたいなんて思う人もいるかもしれません。戸崎さんの場合、そういったケアは終わった直後よりも前の日とかですよね?
そうですね。プロ意識が甘いのか、すぐにケアして解消するよりは週末が仕事と調整ルームで缶詰め状態になった分、パーっと飲み食いの方に気が行ってしまいますね。これが大谷(翔平)君やイチローさんなら違うのかもしれませんが(笑)。
——聞く限り、外で飲むというよりはご自宅が多いのかもしれませんが、ジョッキーの場合、その辺りのスケジュールは独特ですからね。ということで土曜の話題から伺っていきたいですが、ジュレブランシュやカリブフレイバーはどうでしょうか。
ジュレブランシュは背中が良くて前走も頑張ってくれてはいるんですけどね。もう一つ成長が追い付いてきていないように感じます。カリブフレイバーは一度使った上積みが大きいと何よりです。
——ブライテストドーンは久々に騎乗されます。
力は秘めているのですが、不器用なイメージがあるので気をつけたいですね。
——ターコイズフリンジやネイビースターは追い切りで初めて乗られたようですね。
ターコイズフリンジはゴツさがあってどんな走りをするのかな、と思いましたが、動きだせば素軽かったですね。動きだしこそ鈍さはあるものの、ズブい馬とは違う印象。中山は合うのでしょうね。
ネイビースターは色々と細かい課題はあって、まだ先々のタイプかもしれませんし、自分としてもなかなか特性を掴み切れないように感じました。課題を挙げるならば一番はひと息で走ってしまいそうなところですね。結果を残しつつ、細かい部分を修正していければ理想かなと思います。
——ホウオウラスカーズは久々に乗られます。
自分が乗った時は結果が残せませんでしたが、いい脚を使う印象はありますからね。改めて期待したいです。
——日曜のエクリプスルバンは新馬勝ち。同じ中山に挑みます。
前走は追い切りから比べると実戦ではいい内容でした。今回も乗せていただいたところ成長も感じましたよ。
——未勝利戦のヴァルドルチャやタイセイミッションはいかがでしょうか。
ヴァルドルチャはあと一歩という結果続きですから上手くアプローチできればいいですね。初出走の馬ばかりで未知数ですが、実績は上位ですからね。
タイセイミッションの新馬では返し馬から乗り味の良さを感じましたが、実戦では芝のスピードにもう一つ対応できていなかった印象。本質的にはダートが良さそうだと思うのですが、距離も延びる分でカバーしてほしいです。
ファミリークレストはどちらかと言えば東京向きかもしれませんが、もうワンパンチという段階まで来ていますからね。今の1勝クラスでは上位の存在です。
サルモンは勝った時は強い内容でした。長期休養明けで状態はわかりませんが、まずは使って次に繋がればと思います。
——マニバドラは久々に騎乗されます。
過去に中山で勝たせていただきましたが、モマれず行ければ力を発揮できる馬ですからね。気を付けたいです。
——中山記念(G2)のジオグリフは待望の初コンビですね。以前、実現はしなかったものの、騎乗する可能性があった存在でしたね。
過去には皐月賞を勝った馬ですから乗れることが嬉しいですね。あのパフォーマンスが引き出せれば理想です。
——ホウオウカブキは新馬戦以来に騎乗されます。
その時からダートは合いそうだなと思っていましたし、ここ最近の結果を見ても通用していいのかなと感じます。
健闘を祈りたいサウジカップ
——先週の競馬ではレッドラディエンスで勝利。ペースを見ると、押し出されるようにハナに行ったのかなとは感じましたが、危なげなかったですね。
ハナに行っても今後に悪影響するような馬ではないと思いますが、周りも主張してこなかったですからね。急がせない形が理想かと思いますが、オープンでも頑張れそうです。
——ヒヤシンスSのピカリは序盤の手応えがよく見えましたが、やっぱり距離でしょうか。
あれだけスイスイ行けた割にあれだけ負けたということは距離じゃないかと思いますね。
——キングサーガは除外もありましたが、いつもほど行きっぷりがひと息でしたね。
勝負どころの手応えがひと息でしたからね。本来であればいいところで持って行ける馬ですから。
——ショウナンラピダスは流れに乗れたら力んでしまうという、勿体ない内容でした。
上手くスタートを切ってくれたのですが、ひと息で走ってしまいますね。ペースが遅かったにしても、今回は余裕のない走りでした。
——ノルドヴェストは厳しいペースでラストは掛かったにしても凄い脚。それだけにスタート後の不利が惜しいです。
まだ自分勝手に走っていると言いますか、競馬を覚える必要がありそうですね。スタートを出て二歩目だったかに躓くのは珍しいですし、不利もありましたが、いい脚は使っているのでもったいなかったです。
——ダイヤモンドS(G3)のワンダフルタウンはどうでしたか。
乗りやすくてスムーズな走りはしてくれたと思います。しかし、ラストはジリっぽくなってしまいましたね。
——グリューヴルムはいい立ち回りはしていたように映りました。
条件も合いそうな感触はあったのですが、頑張ってくれましたね。強いて言えば勝ち馬が強かったです。
——ホーエリートはスローペースながらも着差は僅かでしたし、もう少し常識的なペースであれば違ったかなと感じました。
体が上手く使えていない分、スピードの乗りが良くないんですよね。理想を言えば、もう1列前で運びたかったですが、二の脚もつきませんでした。馬群が窮屈で力は出し切れていませんが、上手く条件が噛み合えばやれそうですね。
——デイジーは惜しい着差でした。
馬は良くなっていましたね。レースも上手に運んでくれたと思います。人気馬は凌いだのですが、勝った馬は血統馬ですからね。いい走りはしてくれたと思います。
——今週はサウジカップ週。気になる馬はいますか?
日本の人馬は気になりますけど……レモンポップでしょ(笑)。
——管理する田中博康先生も「戸崎さんが丁寧に乗ったことが繋がっている」といった節のコメントをされていましたね。
先生も(大井時代から縁のある)厩務員さんもよく言ってくれるんですよね。有難い限りです。これからもこの馬に限らず先に繋がるような競馬を覚えられるような乗り方をできたらと思います。
今回は今までと違った相手関係ですが、頑張って欲しいです。やっぱり応援はしています。
——冒頭では他競技の話題も出ましたが、久々にこんな質問も。スポーツ関連で気になった話題はありましたか。
スキージャンプの葛西(紀明)さんですね。面識がある方ではないですが、いまだに高いレベルでやられていることは凄いですよね。ゴルフの松山英樹選手も先日、いい結果を残されていましたし、サッカーはアジアチャンピオンズリーグも注目しています。
——戸崎騎手も節目となる通算1500勝へ残り50勝を切りましたね。ここからコツコツと行って欲しいです。今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。