'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ダービー卿CTで連覇&大阪杯は惜しい2着!
2024/4/5(金)
先週のダービー卿チャレンジトロフィーでは重賞勝利!続く翌日の大阪杯は惜しくも2着だったが、戸崎騎手としては珍しいマクっていく戦法。結果こそ勝利は伴わなかったものの、見せ場は作った。今週は比較的、テン乗りが多いだけに回顧が中心となるが語ってもらった。
マイルに戻って変わり身を見せたいライラック
——今週は土曜が関西での騎乗。まず白鷺特別のサトノトルネードはいかがでしょうか。
若干、安定感に欠ける面はあるように感じますが、この条件で改めて期待したいですね。
——阪神牝馬S(G2)はライラックに騎乗されます。追い切りに乗られていますね。
この馬はあまり調子の変動がない馬でいい意味で前走と同様といいますか、順調にきていると感じました。前走も調教を強めたりと変化を期待しましたが、今回も1週前はしっかり乗っています。
——距離が焦点となりそうです。
これまでの条件では若干、ハミ取りが強いところはありましたが、折り合いがつかないわけではありません。それでも、同じような競馬になってしまっているので、この距離でいい方向に向いてほしいですね。
——阪神牝馬Sと言えばスローになりやすい印象です。
頭数も少ないですし、外回りコース、おそらく今年もそうなりそうですね。ゲートはここのところ大丈夫ですが、二の脚のスピードからもおそらく後ろからになるのかなと思います。それでもマイルでいい面が出ればと思います。
——日曜の中山ではミツカネジェミニは引き続き乗られます。
1勝クラスでも東京コースなら対応しやすいかなと思います。中山で勝ちましたが、コースがポイントですね。
——メズメライザーは久々騎乗されますね。
以前の印象で言えばモマれ弱い印象。ただ、ここ最近は内枠からでも結果を残していましたからね。成長があるのか、期待して臨みたいです。
——アイベラはどうでしょうか。
もうワンパンチ欲しいところですが、競馬自体は上手な印象ですよ。
大阪杯は過去のレース傾向を意識した戦法
——先週のレース回顧では、まずは大阪杯から伺いたいと思います。話を伺った際はいつも通り木曜日。大阪杯は枠順が決まっていない段階でした。1枠2番に決まってどう感じられましたか?
率直に運がないなと思いましたね。本来であればいい枠なのでしょうが、ローシャムパークにとっては分が悪いなと。ただ、今回に関しては先行馬も少なかったので枠の「並び」は問題なかったと思いますね。
——大阪杯は近年の傾向を見ても4角の時点で前に居る馬で決着するケースばかりでしたね。
行けるものならばハナに行くくらいでもいいと思っていたくらいです。ただ、前につけたいという反面、今までの映像を考えるとそう甘くはないと考えていました。よって、中途半端な形になることだけは避けたかったんです。スタートが上手くいくか、いかないかは重要でしたね。
——しかし、出られたものの、やっぱりいけなかったですね。
流れが遅くなるのはわかっていましたからね。外に出せさえすれれば早めに動いていこうとは考えていました。あとは概ねイメージ通りでしたね。勝負どころにはつけられました。
——以前であれば、折り合いも難しそうに感じたので、こんな戦法は正直、想像がつかなかったです。
折り合いは相変わらず難しいところはありますよ。しかし、追い切りでも重心が変わっていて、起きて走れるようになったことで良化していました。返し馬もすごくいい雰囲気。前のように引っ掛かるそぶりは感じなかったです。それでも序盤の行きっぷりは良かったですね。その後は収まりましたが。
——ジョッキーが映像を見直すことは誰でも行うでしょうし、乗る側じゃなくても過去の映像は見るものだと思っています。それでもローシャムパークが出ている訳でもなかった過去の大阪杯も見直したということですか?
そうです。過去の映像はインターネットでもチェックできますし、グリーンチャンネルでも「重賞メモリアル」があるじゃないですか?見直しました。
というのも、自分が何度も乗せてもらっているレースであれば記憶や印象は把握していますけど、大阪杯は印象も薄かったですからね。特に関西圏のレースであればこうして見直すことは多いかもしれないです。
——最善策ではなかったにせよ、ポジションを獲る意識はもてたと。
大阪杯の過去を見ても枠や展開は答えになりましたね。5F目あたりから動いていった分、最後は同じ脚色になってしまいましたが。
——しかし、非公式ながらローシャムパークに乗ると伺った際も、先週の話の時点でも脚質がマッチするのか、こちらが心配していましたが、どこかフワッとした印象の答えに聞こえました。
それは大体、枠が出てからレースを見直したりするからです。本来であればもっと早く準備をする方がいいのかもしれませんが、自分は極力、枠が出てから作戦をイメージしたいんです。それだけ枠、枠の並びは競馬にとって重要なことだと思うんですよ。
だから水曜のトレセンで共同会見があるじゃないですか?あの場ではあいまいな回答になることは多々あります(笑)。本当はもっと早く観ていた方がいいのかもしれないですけどね。だから、木曜から金曜はなるべく映像をチェックしたりしています。
ゲートを出て約3完歩で作戦変更
——レースを観るとしても、過去の乗っていないレースを観るとは初めて聞いたもので納得です。今回、マクる形もプランにあったとして、どれくらいで判断したものですか。
3完歩くらいじゃないですか。それくらいじゃないと変更はきかないですよ。負けはしましたが、あのあたりは自分もいい集中力を持って臨めたとは思います。
——自分の見当違いかもしれませんが、4角の手応えでいけば勝てるかも、とは感じました。
ベラジオ(オペラ)もマークする相手だと思っていましたし、マクった際も楽をさせてはいけない相手だと思っていました。こっちの方が手応えも良くて、あとは交わせると思いましたが、最後は「アレっ!?」という感じでしたね。あのあたり、何が足りなかったか、色々と考えましたけど、あれ以上はできたかどうか……ですね。競馬に完璧はないと常々思っていますが。
それでも、万が一、終い勝負に懸けていたとしても3着までですからね。ルージュエヴァイユはそんな競馬でしたから。あと距離が1Fあれば3着馬が勝っているかもしれませんが、とはいえ、内はぽっかり空いてロスなく走れていますし、阪神の2000mでは位置を意識したことは良かったと思います。
——今回は調教も今まで以上に負荷をかけていたのではないでしょうか。
1週前追い切りも良かったですし、返し馬も落ち着きとフットワークの良さは自信をもたせてくれました。田中博康先生も返し馬の気配の良さは認めていました。僕としても、ここ最近、馬の雰囲気を感じられるようには凄く意識しているのでね。そこも良かっただけに結果に繋がればと思いました。
——敗れはしたものの、馬の成長と過去の研究も功を奏したことで2着。惜しかったですが、それにしても、G1で上位人気馬がマクるケースは珍しいです。長距離戦ならともかく、こういうコースでは尚更じゃないでしょうか。
ほとんどないでしょ!?そもそも自分がマクることはもっとない。平場でもないっしょ(笑)。
——それだけに驚かされました。思い切りましたね。
でも、特に気負いなどもなく普通にやりましたよ。
——今後のローシャムパークの展望はどうでしょうか。
あとはもう少しリラックスして走れると対応できる条件も広がっていくのかなとは思います。広いコース、理想を言えば中山の2200mみたいにコーナーで上がっていけて、坂もある分、上がりも掛かるような条件は合いそうですね。
ダービー卿CTで自身は連覇!
——その他のレースではダイクロアイトは1番人気に推されました。
3、4コーナーの手応えがあやしかったですね。また4コーナーになれば反応し始めてくれましたが。コーナーが上手じゃない点が分は悪いですね。
——キャネルはテンの行きっぷりから気になりましたが、相手も強かったですね。
前回と比較すると返し馬から硬さはありましたね。スタートしてからの二の脚も前回の方が良かったです。
——シャンパンマークはどうだったですか。
掘れる馬場ではあるのですが、リズムを崩してバランスが取れていなかったですね……。
——ダービー卿CTをパラレルヴィジョンで制されました。
乗りやすい馬ですね。スタートが課題だと感じていましたが、気を付けた甲斐もあってしっかり出てくれました。馬場入場や返し馬でテンションが高くなりがちのようですが、その辺りも問題なかったですよ。
——前回の再現のようなレースでしたね。
ゲートの中もどっしりしてくれていて、いいスタートを切れました。前走もいい走りをしていたように馬も安定してきたのかもしれません。体重が減っていたのも良かったように思います。どちらかと言えば東京より中山が合いそうですね。
——ロードフォアエースはペースこそ速いものの、最後まで健闘しました。
良いスピードがあってパワーもありますね。前半力んでいる面があり、もう少し余裕もあれば理想ですが、強い走りはしてくれました。
——次週は東京スプリント(Jpn3)でクロジシジョーに騎乗されます。
前走は精神的にも本調子になかったように感じましたが、以前、勝たせていただいた時のデキであればもっといいパフォーマンスができる馬ですからね。
——次週は皐月賞。そして、京王杯スプリングCでは福永祐一厩舎のダノンスコーピオンに騎乗という次走報が明らかになりました。また、別の厩舎ですが、東京開催では転厩しても継続して乗るお馴染みの馬もいるようですね。
以前もユーイチさんから依頼を頂きながら乗れなかった馬がいたのですが、楽しみです。来週も管理馬に乗せていただきます。
——皐月賞(G1)はジャスティンミラノとのコンビ。次週も引き続きよろしくお願いいたします!
よろしくお願いいたします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。