'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
ヴィクトリアマイルはライラックとのコンビ継続!オークス&ダービーは連続で上位人気に!?
2024/5/10(金)
先週から東京競馬場での連続G1がスタート。今週のヴィクトリアマイルには引き続きコンビを組んでいるライラックの手綱をとることになった。そして、2週後のダービーはおそらく1番人気馬に騎乗することになりそうな様相だが、さらにオークスでは桜花賞馬に騎乗することとなった。JRAに移籍以降、ここまでG1で上位人気の騎乗機会が続くのは珍しいこと。好結果を期待したい。
京王杯SCは福永厩舎の管理馬に騎乗!
——先日、オークス(G1)でステレンボッシュに騎乗されることが発表されましたね。
はい!いや~、すごい年だなと思います。
——既に追い切りに乗られたということで、オークスの話はまた改めて次回、伺えればと思います。今週ですが、おおむね時系列順に伺っていければと思います。土曜のエーリアルは続けて乗られますね。
未勝利は卒業できる能力を持っていると思います。東京に替わるのも問題ないと思いますので結果を求めていきたいですね。
——初騎乗で印象だけになると思いますが、京王杯スプリングC(G2)はダノンスコーピオンに騎乗。京王杯は少し前に相性のいいレースでしたね。
馬はG1馬ですからね。どんな走りをしてくれるのか、楽しみです。その後がちょっと振るわないようですが、ユーイチさんにも話を聞いたところ評価はされていましたし、復活させようとやってこられていたようなので、何とか結果を残したいですね。
——福永先生も頻繁に追い切りをつけているようですね。福永厩舎は2度目の騎乗。調教師になった福永さんとはどんなお話を。
ダノンスコーピオンについて色々な話をしていただきましたよ。いい意味でジョッキー時代と変わらずに接していただけました。ジョッキーとしての実績は素晴らしい方ですし、あれだけ引き出しがある方なので馬をどう作っていくか、楽しみに臨みたいです。
——日曜のタッチアンドムーブはいかがでしょうか。
前回は良くなるのはもう少し先かな、なんて思っていた中で勝てたのはよかったです。その後もどういう成長過程をたどっているのか、そこがカギになりそうです。
——カピリナはいかがでしょうか。
前走は騎乗できなかったのですが、期待していた馬です。まだ覚えることはあるかと思いますし、相手関係は未知数な面もあるのですが、1勝クラスを卒業できていいだけの馬だと思いますよ。
——サトノルフィアンは久々に騎乗されますね。
外に張る面があるのが課題ですね。それでも結果は出ていますし、現級でも好走していますからね。
——昇級初戦で乗られて以降、関西圏ではしぶとい走りしてた印象です。やっぱり東京だとクセが影響しますか?
右回りで乗ったことがないので何ともわからない面もあるのですが、左回りだと張る印象は強いですね。それがなければ、もっといい走りができそうですが。
——そして、ヴィクトリアマイル(G1)にはライラックに騎乗されます。
前回はどうやら飼い葉を食べられてなかった分、体重を減らしていたようです。今回はそのようなことはないと思いますので、もう少し走れていいと思います。
——これだけのベテラン馬でもそんな理由があったんですね。
追い切りに乗った感触で言えば、そこまで差があるように感じなかったんですけどね。
——今年のヴィクトリアマイルは2頭が抜けた人気になるのでは、と推測しますが、そこに迫るとすればどんな条件が必要になりそうですか。
この馬の場合、スタートが速いわけではないですからね。どうしても後ろからになるのかなとは思いますよ。どれだけ末脚で迫れるか、ですね。だから、コレと言って「こうなって欲しい」という条件が挙げづらいところはありますね、
——話は飛躍しますけど、先週東京マイルのG1でも3着ということで、「好走」という部類の結果だったと思います。改めて東京マイルで意識されるところ、何か気を付けたることはございますか。G1シーズンだと普段、このコラムを読まない方もいらっしゃるかもしれないですし、改めて基本的な話にはなります。
馬場やポジションどりは意識しますが、他のコースに比べればそこまで左右されるほどではないので力は出しやすいコースだと思いますよ。東京コースの全般的に言えることではありますけどね。今の東京はどちらかと言えば内、前目ですかね。
ただ、その週の天候や展開によって差もあると思いますからね。先週、自分が乗っていない馬で骨折してしまったケースもあったようですが、ここ最近の芝は硬さを感じることも減ったように感じます。
——戸崎さん自身は東京マイルのG1で上位に入ることは多い印象はあります。と言いますか、そういっているファンの方も多いようです。そんな感覚はあったりされますか。
いや……そう聞いて、「そうなのかな」って感じぐらいですか(笑)。先週なんかも僕はフロックだと思っていないですし、あれくらい走れると思いましたからね。好走する要素と言えば、馬の状態が良いからじゃないですか?
人気薄にもやれておかしくなかったロジリオン
——そうですね(笑)。色々、調査をしていると「戸崎さんは東京マイルが得意だ」とおっしゃっているファンの方もいらっしゃったようで、こちらもそうだったか、と思っていました。ということで、NHKマイルC(G1)で状態が良かったロジリオンはいかがだったでしょうか。
3着したのもね、特に僕は驚いてないというか。人気はなかったようですけどね。それはこちらが決めることではないですからねえ。
でも、枠も良かったですし、組み立てやすかったので。その辺は大きかったですよ。上位2頭とは現状での力差は感じましたが、改めて成長してもらって、またリベンジしたいです。
——確かに現時点での力差はある内容ではありましたね。成長できる余地はこの馬に関してはどうでしょうか。
いや、ここまでもけっこうな成長をしていると思いますよ。成長できる馬ってそうそういないと思いますからね。期待できる部分は大きいと思います。その辺りには期待したいなと思っています。
——幸い大事に至らなかったですが、ゲートに関しては、あまり速くはないですね。でも、すぐにリカバリー利くところは、この乗りやすさ、レースセンスでしょうか。
あと、先週の時点でお話を聞いていても、確かに3着は驚かないと言われるような風に聞こえました。これは追い切りの段階で成長を感じたのか、もしくは未勝利の時点で素質を感じていたのか。どちらですか?
乗りやすさやセンスはありましたが、未勝利の時はまだ非力さもあったんです。それがいい方に伸びていましたからね。
——レースでのポイントはスタートでしたか?
やっぱりあそこでいい位置をとれたことは大きかったですね。
——ジョッキーを応援されている方からすれば負けはしましたが、人気薄での好走も嬉しい結果だったかもしれませんね。
どうなんですかね。でも、さすがにやっぱ上位2頭は強いなっていう感じはしましたけど。マイルは問題ないですし、今後の成長に期待ですね。
——ジョディーズマロンも先週伺った時では東京の適性を口にされていました。ただ、枠が内目に入った分がどうなのかな、と感じていました。
そうですね。やっぱり砂被るも嫌がって進みはよくなかったです。それでも気を抜くところがなく、ドンと構えて走れるようだとこのクラスは勝てていいと思います。2走前より状態自体は良かったんですけどね。
——ココクレーターはどうだったでしょうか。
現状は頑張ってくれているかな、というところですかね。ベースにも乗れていきましたが、もう少しスタートが良くて、ポジション取れればという感じでしたね。少し行き脚も鈍かったですからね。
——どちらかと言えば、適性は中山になりますか。
そんな感じはありますね。
——アヴニールドブリエはどうだったでしょうか。
本来は気分よく走らせたいのが、力んでいましたね。最後は気分を害したような走りで結果を出せなかったです。
——ディバイングレースはテン乗りでしたね。
「折り合いが難しい」とは言われたんですけども。比較的イメージに近いような走りはできたのですが、追ってからは、もう少し力欲しいという走りでした。
——オーネットレオはコース替わりで楽しみな存在でした。
前半のペースで行ければ良かったのですが、少し来られたことで精神的に弱い部分が出てしまいましたね。ただ、この馬には適性のあるコースだったと思いますよ。
——ゲンパチエトワールはテン乗りで勝利されました。
外枠が良かったかなとは思っています。どちらかと言えばしぶといタイプですね。
——西田厩舎とは好相性ですね。ラップスターは久々の騎乗でしたね。
久々だったので馬は良くなっていましたね。こちらも外枠でリズムよく行けて、最後もしっかり反応して強かったと思います。
——メリオーレムはダービーの権利獲得とはなりませんでしたが、最後は盛り返しました。
バランス的には良くなるのかな、という走りはしていましたね。ただ、そんな中で流れには乗ってくれて、手応えが怪しくなりながらもジリジリと伸びていくような感じでした。
——成長すれば長距離タイプじゃないでしょうか?
ええ、そんな感じはしましたね。
——レッドラディエンスは相手が悪かったように映りました。
距離も上手に走ってくれたのですが、相手が強かったですね。ビュッとしたキレではないですが、長く脚を使ってくれるイメージですね。かと言って、道悪だとノメりそうな走りにも感じます。時計の掛かる良馬場あたりが丁度いいかもしれませんね。
——ブシンはどうでしたか。
出脚が遅くて少し促したら掛かっていってしまいました。その中でも4着には粘ってくれているんですよね。あとはモマれてどうか、という課題はありますが、噛み合えば今後も楽しみですね。
——ダノンゴーイチは初ダートでしたが……。
う~ん、やっぱり芝かなと思いますね……。
——アンドアイラヴハーは惜しい結果でした。
乗り味は良くて、上手く走ってくれました。勝てたかと思いました。相手も手強かったですね。
——ダービーへ向けてけっこう取材は増えていますか?
それなりにはありますよ。雑誌のナンバー。あとは新聞各社ですか。
——1週間ごとのその心境変化っていうのはそこまでまだまだないですか。
ですね~。まだ変わらず、です。
——本来であれば来週のオークスも有力馬に騎乗ということで盛り上がらないといけないのかもしれないですけど、やっぱりダービーで惜敗の過去を見させてもらっていると、個人的にはダービーを注目して見てしまいますね。スケジュール的には変わらずに過ごされていますか。
そうですね。水曜も夜は剣道道場に行ったり。変わらないです。もう、いつも通りにやることをやって、っていうことですね。
——ダービー当日、今の戸崎さんであれば、緊張で硬くなるとかはないですか。
その辺は楽しみです。自分でもどうなるか、ね。パドックや返し馬なんかもね。
——ジャスティンミラノの追い切りは乗りには行かないですか。
行かないと思います。会見の出る需要が自分にあるならば、共同会見は栗東でも良いのかな、なんて思いますが。そこらへんはどうなるか、まだわからないですね。でも、追い切りは乗らないと思いますよ。
——あとは当日の条件がおかしなことにならないようにゲン担ぎとか。
でも、あまり気にしていないっすね。いいことがあるように全く意識しないわけではないですけど、何かそんなことをしているようだと、いつもと同じスタンスで臨めなさそうですからね。日頃からいい結果になるようきちんとやって、それを積み重ねていくのが大事だと思いますから。
——確かにそうですね。日々の積み重ねを大事にされていたら、余計にそうですよね。
そうそう。それはどんなスポーツでも「普段通り」は重要でしょうからね。
——残念ながら今週は乗り鞍があまり多くないのですが(笑)、また、次週以降もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。