'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月4日時点1555勝
オークスは2冠懸かるステレンボッシュと初コンビ!
2024/5/17(金)
現3歳世代は皐月賞馬ジャスティンミラノとのコンビで日本ダービーに挑むが、かたや牝馬は縁がなかった。阪神ジュベナイルF、桜花賞と騎乗機会はなかった。それでもオークスは桜花賞馬の騎乗依頼が巡ってくることに。オークス、日本ダービーといずれも1番人気の可能性もありそうだが、結果を残すことができるのだろうか。
ステレンボッシュは気性面がポイント
——まずは土曜の話題から伺っていきたいと思います。土曜の騎乗馬からテイエムビッグサーはどうでしょうか。
前走は動き切れないレースになってしまいました。力を出し切れればいい走りを見せてくれると思います。頑張ってほしいなと思います。
——エンブレムボムは未勝利戦勝ち以来、久々に騎乗されます。
勝たせてもらった後がもう一つのようですが、スピードは持っている印象でしたよ。持ち味を活かせるような競馬ができればいいですね。
——アサクサヴィーナスは休み明けから2戦目。前走はかなり力みが目立ちましたね。
1回使ったことでガス抜きができていればいいなと思っています。あとは当日の気配、折り合いですよね。 その辺りに気をつけていきたいと感じています。
——エリーズダイヤは久々の鞍上ですね。
ここ最近もしっかり走れていますし、力は証明していますよね。楽しみです。
——ヴァイザーブリックは前走で好走して〃条件です。
前走でいいレースはしてくれたので、あのイメージでいきたいです。ただし、無器用なところもあるので上手く立ち回れればいいのですが、そこは懸念材料ですね。
——ジャグアールは未勝利戦時代も惜敗が続いて、今回は昇級初戦になります。
未勝利でもいい走りをずっとしてくれていましたからね。どれだけやれるか楽しみです。
——イエヴァンポルッカも騎乗されたことのある馬ですね。
ちょっと気性的に安定しづらい部分はあるのですが、しっかり走ってくれれば上位があっても、とは思いますね。今の1勝クラスも混戦模様なメンバー構成も多いですからね。
——ティニアは休み明けから2走目で勝たれて、今回は昇級初戦ですね。
2走前と前走でイメージ通りに良くなってきています。しっかりレースも運べていますので。あとは条件代わりがどう出るか、ちょっとわからないですけども、走ってほしいなと思ってます。
——前回もモタモタする面を踏まえて、1400mだったらどうですか、という話を伺ったのですが、やっぱりそんなに器用に対応しやすいタイプではない感じですか。
戦績からも窺えますが、そのあたりがなかなか噛み合わなかった部分ではあるのかなと。今回はいい意味で違った面をみせてほしいですね。
——ステレンボッシュと初コンビとなるオークス(G1)ですが、4枠7番に決まりました。
このコースなので外過ぎない方がいいかと思いますが、強いて言えば偶数が良かったかな、そんな希望はありましたね。
——気になっていたのが、ゲートを出てからでしたが、先週はゲート練習にも行かれたようですね。
ゲート自体は問題ないと思いますよ。
——ただ、ここ2戦もゲートを出てから外にヨレて他馬に接触するようなところもありましたね。
テンションと言いますか、スイッチが入りやすいところはありそうに感じました。それはありますね。
——そのあたりは前向きながら前進気勢が強いこともあるエピファネイアの産駒らしいところでもありますか。
おそらくそうですかね。スタンド前発走だからといって、不安が増すといった訳ではないと思いますが。
——ここ2戦はG1で好走していますが、やっぱりそういったところは少なからずあるということですね。
そんなところがあるのかな、という懸念はありますね。ただ、本番で乗ったことがないですからね。そこはどうなるか……でしょうか。それだけにゲートというより精神面ですかね。
——1週前追い切りに騎乗されました。走り自体の感触はどうだったでしょうか?
素軽い動きでしたね。フットワークは弾んでいますし。状態はいいのかなとは感じました。
——この馬に限った話ではありませんが、2400mという距離に関してはどうでしょうか。
今まで僕もオークスは経験してきましたが、同世代でこの距離がベストという馬はそうそういないんじゃないかと思います。今後はどういう路線になるのかは追い切りだけではわからなかったですが、他者との比較でもこなしてくれるんじゃないでしょうか。桜花賞を勝っている馬ですからね。十分に対応してくれるでしょうし、心配はしていないですね。
——牝馬限定戦では最も長い距離ですからね。折り合い面はどうでしょうか。
追い切りの上ではこなせる感触は得ていますけどね。あとは実戦で乗ったことが無い分、手探りですが、当日、いい走りをして欲しいです。
——それにしても、今年に関しては、もしかするとオークスとダービーで1番人気になりそうですね。
いやあ~滅多に経験できないことだと思うので。この時間は味わって過ごさせていただいています。その上で結果も伴えば理想ですね。
復調の兆しを掴んだダノンスコーピオン
——先週の回顧に移らせていただきますと、サトノルフィアンは先週おっしゃっていた懸念材料もなんのその、と言いますか。
強かったですね。
——メンバーも強力でしたが、すんなりと隊列が決まったにしても上がりも速かったですね。
返し馬までは硬さ感じていたり、以前に乗せてもらった時からも、能力的にこのクラスではどうなのかな、という感触もあったのですが、当時より良くなっていましたね。
——ヴィクトリアマイル(G1)のライラックはどうでしたか。
う~ん、精神的な部分の問題は感じなかったですからね。やっぱり状態面かなと感じました。
——カピリナは惜しい結果でした。
いや、いいスピードを見せてくれているのですが、立て直しが必要ですかね……。内容的にあんまりいい感じではなかったです。
——前半の力みなどですか。
リラックスもありますし、突っ込み気味で走っているのでね。体も上手く使えてないと思います。これでもレベルの高い走りはしたと思いますけど、能力でこなしてくれたものでしたね。
——タッチアンドムーブは昇級初戦でした。
馬自体は良くなっていましたね。ただ、正直、距離はもっとあってもいいかと感じました。
——ユキマルは連勝を伸ばしました。
こちらも強い内容だったかなと思います。1600mくらいでもこなしそうですし、初の左回りも問題なかったです。
——残念ながら、ここで制裁がありましたね。
いや~、僕も早く寄せ過ぎたと思いますね。周りに迷惑を掛けて申し訳なかったです。
——京王杯スプリングC(G2)のダノンスコーピオンはいかがだったでしょうか。
どういう走りをしてくれるのか、期待と未知な面はあったのですが、リズムよく、気持ちよくというポイントを重視しました。外に張るようでしたし、どんなクセなのか、感じたいと臨みました。内容的には最後までしっかり走ってくれたので良かったと思いますが、それでも使った方が良くなりそうな雰囲気もあるので、コンディションなどが上がってくると、また楽しみです。
——以前のイメージではトモが良くないといったことを言われていた印象でした。
基本的には体のバランスに改善の余地があるようには感じましたね。
——それと精神的にモロさもあったようですが、その点はどうでしたか?
そういうところは改善されたのかなと思いましたね。あとはどれだけ良くなる余地があるのか、そこですかね。G1を勝っているように乗り味的にいいモノは持っていますからね。
——美浦に滞在して臨むようで楽しみですね。アンリーロードはここでも可能性はあるように感じていましたが、距離の問題もありますか。
前半の感触的に今回はもう距離を詰めちゃってもいいのかな、とは思いましたね。最後もジリジリとは伸びてくれていますが。
——エーリアルはいかがだったでしょうか。
強い内容だったと思います。今回ちょっとメリハリも作る競馬もできて。 次にも繋がるかなと。どちらかと言えば成長はゆっくりなタイプかもしれないですけど。今後も頑張ってほしいです。
——あと10日間くらいですけど、いかがでしょうか。オークスも大事ですけど、あくまでこちらの意見ではダービーこそがやっぱり楽しみだと思ってしまいます。
はい。今のところ全く変わらず、です。
——次週は美浦ですか?
その予定ですね。
——今回に関しては、前回、(藤岡)康太騎手から色々、聞いていたような状態面の変化はまだ伺っていないですか。
詳しくは聞いていないですね。
——早い段階から5月26日の天気予報も気にしていたのですが、一時は傘マークもついていました。人馬ともに順調にいい状態で当日を迎えて、あとは良馬場で、といったところでしょうか。
多少の雨は大丈夫じゃないですか。でも、わからないですよ?すっごい雨馬場が得意な馬がいたりするかもしれないですけどね。
——馬場に関しては、皐月賞以前も個人的にはこなせると教えていただいていましたね。
そう思いますね。
——いよいよ、ですね。6月は京都での騎乗もあるようですが、来週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。