'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
10月28日時点1550勝
3日間開催はローズS&セントライト記念に騎乗!
2024/9/13(金)
秋競馬開幕週は4勝の滑り出しとなったが、今週は中山と中京を転戦することに。中京での騎乗はご存じの通り、過去にも手綱をとっているカニキュルのためとなる。1週前には関東馬にとっては近郊の中山で行われる紫苑Sがありながら、わざわざ遠征を選んだ陣営の判断は興味深いもの。
そして、月曜のセントライト記念に臨むアスクカムオンモアは栗東トレセンで追い切りに騎乗。ジョッキーにとってはなじみのある勝負服でもある。今節は3歳重賞での期待が膨らむところだ。
中京を選択したカニキュルの勝算は!?
——今週は中山、中京、中山での騎乗ですね。まず、土曜の新馬の2頭には追い切りに乗られたようですね。
バギーウィップは乗り味の良さを感じました。まだ緩さはありますが、いいモノを持っていると思います。イブニングタイドは前向きさがあって、それが影響して追ってからはバラつきがありました。そこがレースにいってどう出るか、ですね。前向きとはいえ、距離はこれくらいで良さそうです。
——サトノトルネードはダートになりますね。
距離自体は良いと思います。芝ではワンペースなところがあるので、ダートがいい方に向いてほしいですね。
——ラレーヌデリスはマイルになります。
レース運びが難しいタイプという印象があります。この馬にあったリズムで乗れればと思います。理想を言えばペースは流れて欲しいです。
——日曜の中京ではローズS(G2)にカニキュルが挑みます。
春先にG1で走っていた相手との力関係はカギになりますが、前走はいい内容でしたからね。どこまでやってくれるか楽しみです。
——今回、ポイントになる面はありますか?
テンションが少し盛り上がりやすいところがあるので、落ち着いて臨めればいいかと思っています。今回は輸送してのレースになるので、どう出るかはわかりませんが。
——乗られた印象でエピファネイア産駒は精神面の課題がありますか?
どちらかと言えばそういうタイプではあると思います。ただ、個体差もありますからね。この馬に関しては我慢が利くのでは、と感じています。エピファネイア産駒はそうした気性面の課題もありうるところもありますが、スピードもあるのでね。そこは強みかなと感じています。
——関東馬であり、賞金を持っているわけではないながらも、紫苑Sではなく、ローズSという選択ですね。
要因として左回りとコース形態が大きいのではないかと思います。さすがに相手関係からも後ろからまとめて交わしきるということは簡単ではないと思います。不器用な面もあるので、ある程度の位置を取れたらいいですね。展開面は枠の並びもありますから、枠が出てからまた考えたいです。
——右回りのフラワーCでも一旦は飲み込むかと思うような勢いでしたね。
あれも骨折明けで脚が鈍ったところはあったと思います。絶対、右回りがダメだとは思いませんが、広いコースの方が今は良さそうですね。
——月曜の騎乗馬では2歳未勝利戦のボンヌソワレはいかがでしょうか。
2度、追い切りに乗ったところフォームが良くなっていると感じました。
——バロネッサは福島に引き続きダートになりますね。
前走もダートに対応してくれたのでチャンスはあるかと思います。もう少しメリハリがついてほしいですし、どちらかと言えば、1800mより1700mの方が良いと言う感触は変わらないです。
——日曜の中京ではセントライト記念(G2)のアスクカムオンモアは追い切りに乗りに行かれましたね。
相手なりに走ってくれそうなタイプですね。切れ味よりも長く脚を使うイメージです。あとは先週の中山の芝が時計は速かったですからね。理想をいえば時計が掛かった方が合う印象です。
ダノンスコーピオンは使った変わり身がありそうなコンディション
——先週は日曜が中京での騎乗。セントウルS(G2)のダノンスコーピオンは初めて1200m戦に挑みました。
プラス8キロの馬体重。返し馬の段階からゆとりがあると感じました。今振り返れば京王杯の時もゆったりとした雰囲気は感じていました。あの時は1400mだからもう少し対応できた面があったと思います。今回は忙しかったですね。
それでも安田記念にかけて気配も変わっていましたし、今回も一度使ったことで気合いノリは変わってくるかと思います。今回を踏まえても1200から1400mが合うんじゃないかと感じました。
——ムルソーは先行馬が少ないと感じたので、ハナに行ければチャンスかなと見ていました。
今までも強い内容で走っている馬ですからね。内枠になったのを見て、モマれなければとスタートに集中していました。返し馬からいい感触でしたが、気性にはまだまだ不安がありますね。ハナに行っても遊びながら走っている様子でした。
——マイネルチケットで勝利されましたね。
こちらも気性面は難しさがあったようですが、返し馬からいい感触がありました。今後はいい方に向いてくれれば、今後も期待できそうですね。
——中山ではメモリーグラスは久々の騎乗でしたね。
押し切ったメモリーグラス(一番左)
スタートが速くて二の脚も良かったです。終始、手応えも良かったです。トモのハマりに甘さはありましたが、外から来られたらもうひと伸びしてくれました。右回りですか?左右差は特に感じなかったですね。
——紫苑S(G3)のホーエリートはどうだったでしょうか。
馬はしっかりしてきたと改めて感じました。ただ、時計勝負に対応できなかったですね。タイプ的にも馬場がしぶったり、上がりが掛かるようなコンディションが理想です。
——ジャルディニエは特別戦を勝利しました。
大人しい馬とは聞いていましたが、馬場入りからテンパっているような雰囲気でしたね。ゲートもその流れから上手く出られず、後手を踏みましたが、最後は長くいい脚を使ってくれました。
——プレミアペガサスはどうだったでしょうか。
内枠だったので、ある程度ポジションはとっていきたいと思っていました。ただ、出した分で掛かりましたね。馬装なども少し変えた方がいいんじゃないかと感じましたね。状態は前走と変わりなくきていたと思いますよ。
——新馬のエオアリイは3着でした。
乗りやすさはありましたね。パワーも感じましたが、スピードはもう少しほしいですね。
——少し時間はあきましたが、今年はJRA通算1500勝を達成!記念のポロシャツも作成されましたね。次週はオールカマー(G2)などに騎乗されますね。今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。