'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
菊花賞はヘデントールに騎乗!追い切りでは初コンタクト!
2024/10/18(金)
秋華賞は2番人気に推されたステレンボッシュで3着と終わってしまったが、今週の菊花賞にはヘデントールとのコンビで臨むことに。ジョッキーとしては勝つことが何よりとはいえ、今年の3歳G1では好成績が続いている戸崎騎手、年内最後の3歳G1でも人気以上の好走となるだろうか。今回は追い切りにも騎乗しているそうで、その感触も含め見通しを語ってもらった。
距離や天気にも可能性!?
——今週は日曜に菊花賞(G1)。ヘデントールとのコンビで臨まれることになりましたね。追い切りに乗られましたね。どんな感触だったでしょうか。
率直にいい馬だなと感じましたし、状態も良さそうでしたよ。
——それにしても木村厩舎の追い切りに騎乗されるケースは珍しいですね。どんな意図があったのでしょうか。
今回は(厩舎サイドから)頼まれましたからね。おそらく少し浮ついたハミの取り方をする、ということだったので、そこの確認だったと思います。それでも、許容範囲内と言いますか、レース映像を見ているよりも素軽さを感じましたし、操縦性も良さそうでした。
——厩舎的にも追い切りではコースの内目を回る印象がありますが、手応えは良さそうでしたね。あとはどれだけ脚があったでしょうか。
誘導馬と一緒に上がっていく形でしたが、突き抜けそうな手応えでしたよ。
——このレースでは誰もが知る通り、外枠は分が悪くなりがちだと思います。16番枠と聞くと、難しい条件だなと感じました。
ただ、今までのレースぶりや乗った感触からもゲートは遅いといいますか、完成度の遅さからもたぶん出られないのかと思います。テンは後方になるだろうと思っていたので、枠順はさほど気にしていなかったんです。
——追い切りだけでの話になりますが、気性面はどうでしたか?
これまでも道中で動いていったりという競馬ができているように、特に気になりませんでしたね。折り合いもつくと思います。
——この馬の母であるコルコバードは戸崎さんも乗られたことがあって、長距離で活躍しました。どの馬にも言えることですが、未知の距離になります。
やってみないと、という面は否めないですが、タイプ的には適性があるんじゃないかと思います。長くいい脚を使えるタイプでしょうからね。枠は気にならなかったので、あとはその場、その場で流れに応じた形を採れればいいですね。強い相手もいますが、適性でカバーしてほしいです。
——予報によれば土曜まで天気は崩れそうですね。
過去にも渋った馬場で走れていましたし、馬場が悪くなってもそれなりに対応できそうですね。
——ジョッキー自身、今年の3歳G1は乗ったレースでは全て上位できていますね。
気付かなかったですね。でも、どの馬も違う陣営でもありますからね。今回もいい結果を残せれば何よりです。
——他の騎乗馬ですが、土曜のデイジーはどうでしょうか。
久しぶりのレースなので仕上がり面が課題でしょうか。ダートに関してはこちらから進言したわけではないですが、もともと硬さがある点を考慮したのかもしれません。
——マスカレードボールは2戦目です。
追い切りでは新馬からそこまでの変わり身はなかったですね。それだけに色々と課題はあります。改善点は複数あるほどです。ただ、能力の片鱗自体はみせてくれたように、そこに期待しています。
——ビップスコーピオンは追い切りに乗られたようですね。
時計が掛かった方がいいタイプだと思いますが、この条件に適性があるのも感じましたね。
——富士ステークスのジュンブロッサムは新潟に続いての騎乗です。
前走は展開が噛み合いませんでしたが、能力を感じましたし、まだまだ良くなりそうな気配もありました。スピードの乗り方からもある程度、いい位置で走らせたい思いはありますね。東京に替わる点自体は問題ないと思います。
——アドマイヤマツリは昇級初戦です。
追い切りでは順調にきていると感じました。調子そのものは良さそうですよ。ただし、走り方がまだ雑な面もあるので、修正しながらとなると思います。
オークスほどのデキではなかった秋華賞
——先週の秋華賞(G1)ではステレンボッシュは3着でした。
スタートは出てくれたのですが、そこからのスピードの乗りがもう一つでしたね。やっぱり走りが浮ついたところがあったのですが、追い切りでも感じた通りでした。スタートと直線も走りの質では似たようなところがありますからね。オークスの時と比較しても前回の方がレースでの走りには素軽さがありました。
——枠順も外になってしまいましたね。
やっぱり枠は内の方が良かったですね。
——道中でもマクられなければもう少し動けたでしょうか。
まあまあ、そのへんはレースなんであることですからね。それに外を回ってもキツいと思いましたね。前に4頭並んでいましたから、あれで外を回すとなれば5頭目くらいですからね。
——以前から外を回すにしても3頭目まで、とは常々おっしゃっていますからね。それでも直線は一瞬は伸びましたね。
真っすぐ走れてはいない中でも盛り返しましたね。ブレーキをかけるようなところはなくいけたのですが、やっぱりラストも鈍ったと思います。
——これまで狭いところで競馬になっていましたが、今回も対応しましたね。
それは脚があるからだとも思いますね。よく狭いところを割ってきた、と言われますが、脚がある馬だから直線でも速い動きをできるわけで。あとは走る際にもう少し体の伸びが出てくれば何よりです。
——府中牝馬Sのシンティレーションは2着でした。
ポジションをとりたかったですが、とれずに後ろから。この馬のリズムに徹しようと思いましたが、雰囲気よく走れました。ラストはしっかりいい伸び脚でしたよ。
——メイショウハチローはゲート入りも難しかったり、力を発揮できましたか?
精神面がまだまだ幼いですね。走り的にも伸びて、突っ込んで走ってしまっているので、もう少し体を起こして走れるといいですね。
——ボンヌソワレで勝利されました。
1400mも良かったのでしょうが、前走とは馬も変わってましたね。まだ体は緩いので。成長はしてほしいです。
——パレスドフィーヌはどうでしたか。
今までとは違った形でしたが、雰囲気的には内容は良かったです。これに慣れて力をついてくれれば。
——ジャスティンガルフは上位人気でしたが、不発に終わりました。
力みが強かったです。ポジションはどこでもいいから、リラックスして走らせることをテーマにしていましたが、上手くリラックスさせられなかったです。新潟の外回りはどうしても流れが落ち着きますし、条件も噛み合わなかったですね。
——最後に、天皇賞(秋)を予定していたジャスティンミラノが怪我ということで残念なニュースがありましたね。
いや~本当に残念です。
——陣営は違いますが、その分、菊花賞にも期待したいです。今週もありがとうございました!
ありがとうございます。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。