'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
天皇賞ウィークは14鞍に騎乗!ヘデントールの菊花賞も振り返る
2024/10/25(金)
菊花賞ではヘデントールとのコンビで2着。ジョッキー自身はまたしても3歳G1での上位入線とはなったが、惜しくも勝利とはならなかった。今週の天皇賞はジャスティンミラノが怪我により回避となり、騎乗馬が不在となってしまったのは残念なところ。続々と海外から短期免許を取得したジョッキーたちがやってくる季節になるが、その他のレースで巻き返しを期したいところだ。
今週は土日で14鞍の騎乗!
——今週は残念ながら天皇賞での騎乗は叶いませんですが、土日ともに東京での騎乗ですね。土曜はソーダーンライトはどうでしたか。
走る気が満々!といった雰囲気でしたね。そういう意味では新馬向きかと思います。
——アルーリングタイムの前走は2着でした。
前走はいい内容でいい感触を受けました。あれならクラスの卒業も近いと思います。
——シャンパンマークはどうでしょうか。
新馬はいい走りで当初はクラシックにいける存在かと期待しましたが、残念ながらうまくいかなかったですね。それでも自己条件になりますし、改めて期待したいです。
——アルテミスS(G3)のミリオンローズはどうでしょうか。
追い切りでは走る気に満ちていますが、線はもう少しフックラしてきて欲しい状態。テンションも高くなりそうな気配がありますね。
——スタンリーテソーロは休み明けで手強い相手の秋初戦でした。
スタートセンスは抜群でしぶといタイプですね。いいイメージで臨みたいです。
——日曜のプルミエソルティはどうでしたか。
追い切りでは水準の動きをみせていましたね。
——アサクサヴィーナスは改めて期待したいところです。
センスが良くて走る気持ちのある馬。リラックスさせて走らせたいです。
特殊な流れにも対応したヘデントール
——先週のレース回顧では、時系列は順不同になりますが、伺っていきたいです。まず、菊花賞(G1)のヘデントールは2着でした。
追い切り、返し馬同様に体調の良さを感じました。しかし、ゲート入りを渋ったのは驚きましたね。追い切りや返し馬ではそんなことがあるとはあまり感じられませんでしたからね。強いて言うなら子供っぽさを出したのかもしれません。
——父のルーラーシップもかつてゲートで難しさを出しましたね。
そこについては血統的なものなのかはわからないです。ただ、以前もゲートは決まらなかったりということもありましたからね。
——道中は折り合いがついたというコメントをされていました。その点は心配がないのかと思っていました。
折り合い自体に苦労はないと思っていましたよ。収まるには収まると思っていましたが、クリストフ(ルメール)なんかも「自分のリズムじゃないとムキになる」なんてことは言っていましたからね。結果、折り合いがついたのが良かったのか、一概に言い切れない面はありますが、リズム重視で運べました。
——道中はめまぐるしい展開のレースでしたね。
道中は押し上げていくことも考えていましたが、収まった一方で馬にはそこまで前進気勢がなかったですね。それならば、とラストに懸けました。
——3、4角では勝負になる馬が限られるような状態でした。
クリストフの馬のところにつけて行ければと思ったんですが、動き切れなかったです。その辺りはまだ体の緩さもありますし、完成度の差ですかね……。追い切りから感触は良かったですし、負けてしまったことだけが残念です。
——ラストは手前が替わってからひと伸びしていました。まだまだ成長できる馬ですか。
成長できるかは、あくまでその馬次第でもあると思いますが、その余地はありますからね。馬場は雨の影響もあり、掘れてタフなコンディションでしたが、今回は馬場も合っていたと思います。適性としてはゆったり走るので長距離戦は合っていそうです。
——ジュンブロッサムで富士Sを勝利。次はマイルCSですね。
前走よりも馬も良くなってきていました。それも繋がってスタートもよく出てくれて。流れに乗るだけでした。最後の脚は持っていますからね。既に力は証明できていたので、あとは噛み合えば、というところ。次も頑張って欲しいです。
——マイルCSも騎乗されるとのことで頑張ってほしいです。そして、アイビーSはマスカレードボールが勝利です。
コーナーでモタれたり、まだまだ課題はありますが、初戦よりレース内容はかなり成長しました。
——戦前は成長面はどうか、という話でしたね。
今回は気持ちが入ったことが大きいです。これなら初戦のように走る気がないということは心配しなくていいのでは、と思います。距離適性はどうか、という面があるのは本音ですが、2~3歳時は能力でカバーできますからね。
——アドマイヤマツリで勝利されました。
未勝利戦の時より馬の体調が良かったですね。3着以下は引き離していますし、ここでは強い内容でした。
——ビップスコーピオンはいかがでしたか。
あそこまでいけたのならば勝ちたかったですね。イメージ通りに運べましたし、しっかり反応してくれました。
——デイジーは大幅なプラス体重、ダートと未知な面があったと思います。
ダートが絶対的に合うというわけではなく、芝でも悪くないと思います。レースは久々ながら内容的には良かったです。
——コルチェスターは新馬勝ちを決めました。
返し馬から元気が良かったです。ハミ受けが浮ついている面もありましたし、右に流れる面もあったので、そこが改善してくればもっと良くなりそうです。
——次週はJRAではG1がありませんが、引き続き東京での騎乗ですね。ありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。