
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

3月31日時点1604勝
祝・ドバイシーマクラシック勝利!桜花賞はエリカエクスプレスと挑む
2025/4/11(金)
残念ながら1週前は直前の声を届けられなかったが、ドバイシーマクラシックを勝利!深夜の日本に吉報を届けてくれた。そして、桜花賞では重賞勝ち馬のエリカエクスプレスと挑む。ジョッキー自身、昨年は桜花賞の騎乗は叶わなかったが、初勝利となるだろうか。
3連勝目指すエリカエクスプレス
——今週は何かと話題がありまして普段以上に何から伺うべきか、というところですが、まず、エリカエクスプレスと挑む桜花賞(G1)は枠順が決定しましたね。
そうでしたか。(トレーニングもあったので)まだ見られていなかったです。2番となれば、そこからやるだけですけど、偶数は良かったですね。並びを見ていないので、どんな展開となるかはわからないですが。
——内枠からの競馬も経験しています。それにこれまで以上のメンバー構成になりますね。
精神面に関しては、まだ予断を許さないと感じています。何せキャリアも浅いし、若い馬はどう出るかはわからないですからね。周りの馬を気にする面はあるでしょうし、出遅れなどが無ければといいなと思っています。
——調教の映像を見ている分には、前走より落ち着いていそうですが、これまでの2戦を見る限り、スタートは遅くはないですよね。
そうですね。普通ならば流れに乗って行けると思います。
——週末は雨予報です。
そこはどうですかね、馬場はあんまりグチャグチャにならなければ、ですね。
——フェアリーSは走破タイムを見ても素質を感じさせられるものでした。乗った感触ではどんな良さを感じましたか。

スピードもあるし、パワーもあるといったところでしょうか。それに走る気持ちが強いです。前走は返し馬からかなりうるささはあったので、レースでは折り合いに気を付けました。あのペースでも行きたがるところがありながら、収まってくれて、最後の反応も良かったですね。先頭に立ってからも余裕がありました。
——エピファネイア産駒にも沢山乗られています。共通する良さはありますか。
気持ちですかね。それに芯の強さと言いますか、底力も感じますね。
——戸崎さんにとって桜花賞は勝利という点ではまだ縁のないレースですね。
チャンスのある存在に乗せていただけますからね。いい結果を残せたらと思います!
——土曜ではプロフェータやシーリュウシーは騎乗経験がありますね。
プロフェータは以前のイメージではもう少し集中力が欲しい印象でした。シーリュウシーは馬場がこたえました。それでいて、またも雨予報ですからね…。能力は持っているので条件が噛み合えばいいのですが。
——テウメッサは前走が意外な印象でした。
大敗の原因が気になりますけれど、あまりゴチャつかない方が良さそうですね。道悪はある程度なら、と思います。いい切れ味があるので、良馬場の方が向きそうですね。
——日曜はアスクデビューモアが昇級初戦となります。
前走はペースが落ち着いたところで動けました。昇級で流れが変わったりして、どういう風にもっていけるか、ですね。
前走とは違ったダノンデサイル
——先週のドバイは現地から連絡をいただける見込みが、繋がらず失礼しました!これまで怪我をされていた時も続けていたコラムでしたし、毎週声を届けてもらうことは最低限行いたかったのですが。
いやいや、こちらこそ。でも、周りに聞いてみると「他の日は大丈夫だった」なんて言っていたんですよね。以前に行った時は大丈夫だったし、何が問題だったのか、わからないですね。
——そして、ドバイシーマクラシックはダノンデサイルで勝利!おめでとうございました!

ありがとうございます!正直、追い切りが思っているほどの動きではなくて、心配にはなっていたんですが、レースの勝ちっぷりは本当に強かったですね。振り返ってみると、ダービーで(ジャスティンミラノに騎乗して)負けた時はあの馬は強いんじゃないか、と思っていたので、そこを改めて感じさせられました。
——では、その調教から実戦までの変化で何か感じられるところはありましたか。
(安田翔伍)先生ともけっこう話す機会があったんですよね。本当に馬のことを細かく感じているなと思いました。輸送やドバイに連れてきた過程、追い切りの内容、追い切りからレースまでの持っていき方は非常に工夫していました。しかも、厩務員さんも名馬を担当されていた方ですもんね。そういう過程が強さに繋がったと思います。

——それにしても、動き出しがモタついたように感じた前走とまるで違ったように見えました。
今、僕が思っていることは、左回りが良いのかなと思っています。道中の走りから違いましたね。
——当日の馬場はどうでしたか。
馬場は地盤こそそんなに緩くはなかったです。芝丈は長くて、スピードだけでこなせるような馬場ではなかったでしょうね。だから、日本の洋芝の競馬場みたいな状態かもしれません。

——レースプランは上手くいきましたか。
有力馬が前にいるから、それについていければという話でしたね。前でやり合っているだけで、僕はもう手応えも凄かったですし、それに助けられましたが、こちらはずっと手応えが良かったですからね。
——前走とは道中から全く違ったのですね。
それくらいいい感触だったので。馬の手応えで安心させてくれて、いつでも弾けてくれるなと思っていました。

——ダノンデサイルの走りについて他社の取材ではあまり使わない表現をされて振り返られていましたね。
あ~でも、こんなこと言ったっけなという書かれ方をされていたんですよね。ちょっとニュアンスが違って伝わってしまったのかなとも思いましたね。
——それにしても、レース後の様子はずいぶんリラックスしているなと感じました。
そう思います。ダノンデサイルが安心させてくれましたね。やっぱり勝負所で手応えがしぶいとこちらも心配になりますからね。
——今後が楽しみですね。
なかなかいいものを発揮してくれましたし、AJCCとは全然違いましたからね。本当に今後が楽しみですよ。

——そして、レース後の「英語」も話題になっていましたね。僕は以前の馬上インタビューが記憶にあったので大丈夫かなと思っていましたが(笑)。
皆さんがどういう期待を持っていたか、ですが、ある意味、期待を裏切らなかったのかなと。でも、よくよく考えれば恥ずかしいことですよ。自分ではSNSでチェックしたりしませんが、周りからもバズってるなんてけっこう言われて知りましたね。
——そして、ドバイゴールデンシャヒーンに臨んだクロジシジョーも見せ場がありました!フリオーソ産駒ということで縁のある血統だと思います。
ダートはキックバックが日本と違ってどうかなと思っていましたが、全くひるむことなく、問題なく馬群でも走ってくれました。日本とのペースの違いは気になったのですが、後ろからながらも、リズムを保って走ることを気をつけていたのが良かったですね。
——それでも、日本にいた時よりも走っていませんか?
やっぱり馬場が合っていると思います。スピードも兼ね備えている馬なので、力だけじゃない馬場というのは。持ち味をしっかり発揮してくれました。
——2週前の話題ですが、マーチSのスレイマンはどうでしたか。
指示通り、作戦通りにはいけたんですけどね…。時計は少し速かったですけど、もう少し粘れるかなと思いましたが。
——オメガキャプテンは1200mでも対応しました。
前走もそうでしたが、ゲートが良くないですね。出遅れたとはいえ、最後はいい脚で伸びてくれた。きょうだいは中山でダメだったけど、こちらは幅が広がりましたね。
——ニヴルヘイムは惜敗続きを脱しました。
まだ背腰の甘さはあって、馬場は緩いのは逆にいいのかなと感じてました。展開としては、ああいう競馬しかないなと。上手く噛み合ってくれました。
カラヴァジェスティはゲートは本当に遅く、テンションも怪しいのですが、しっかり脚は持っています。ただ、あの気性も落ち着いてしまったら走れるのかな。そういう系の馬かと思っています。リクエイはペースもすごく楽にいけたので、最後の甘さもカバーできた。
——それにしても、海外G1勝ちという新しい経験をされましたね。
また日本と違った感激があり、数日嬉しかったです。こういう経験が出来てよかったと感じます。
——40代になられて、新たな経験が増えていましたね。
怪我明けてからずっと言ってるように、自分でもわかるように成長しているのは明らかに感じています。馬へのアプローチだったり、自分でもわかり、イイ方に出ています。
——怪我をしたことが一概に悪くなかったですね。
本当はもっと早く気付いて、取り組み方を変えていれば、もっと前にそうなれたのかもしれませんが、怪我をしたことも悪いことだけではなかったですね。
——今週もありがとうございました!金曜は雨が心配ですが、ZOZOマリンで始球式ですね。
ありがとうございました!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。