'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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ハクサンムーンと初コンビ!G1へ向けて良い感触を
2014/9/11(木)
テン乗りのハクサンムーン G1へ向けて良い感触を
-:ハクサンムーン(牡5、栗東・西園厩舎)はテン乗りの上、追い切りにも騎乗される予定はありません。乗っていない馬を取り上げないようにはしておりますが、G1での好走歴があって、大いに注目を集める存在です。印象だけでも語っていただけますか。
圭太:まずはレースよりも返し馬を無事に終えたいな、というところですね。
-:ハクサンムーンといえば、返し馬が話題の馬ですが、見たことはありますか?
圭太:いつも一緒にレースに乗っているから、見たことがないんだよね。
マネ:ふと落ち着いた時に上手く行かせられればキャンターでバッと行くんだけど、そこを失敗したら、また回り出すよね。回る時は30回くらい回っているから。でも、落ちるタイプじゃないから、珍しいといえば珍しいし、普通といえば普通だよね。
圭太:(返し馬の映像を見ながら)これ、アブミを延ばすのを忘れないでいて。
マネ:超長くしていったら、みんなに笑われるから、ハハハ(笑)。ケツ突きながら。
圭太:それぐらいじゃないと危ない馬がいますからね、地方だと。まあ、まずはそれが1点と、あれだけ一線級と戦ってきた馬なので、どれくらいの乗り味なのか、スピードなのか、楽しみが大きいですね。何度かレースでは一緒になっているものの、乗ることを意識して見てはいないですし、全く未知の存在として期待しています。
-:テンのスピードはけっこう速いですよね。
圭太:そうですよね。でも、前回の競馬を見ていると、ハナに行かなくっちゃダメだという馬でもなさそうなので、先生(調教師)からどういう指示を受けるか分からないですが、強い馬なので自身を持って行こうかと思っています。
-:追い切りでも、普段からそれほどガッと行っている印象はありません。
圭太:そうですね。乗り難しさというのも、なさそうですね。ただ、もうこういう競馬になっているので、ある程度、馬もそういう形を覚えているとは思いますからね。そこでこれから小細工してというのもね……。それは乗って、跨って考えようかと思っています。
-:1回乗って、あとは厩舎の方と打ち合わせて、スプリンターズSに行ってどうなるか、という感じですね。新潟もアイビスSDで勝ってはいますし、スピードも活きる馬場になると思うので、チャンスはあると思います。セントウルSは勝っているレースでもありますからね。
圭太:そう思いますね。
-:連続開催が続きますが、新潟の芝はどんな状態でしょうか?
圭太:凄く良いんじゃないでしょうか。多少、内は荒れているものの、良い状態を保っているのかという気はします。
-:ペースもあると思うのですが、新潟2歳Sもレコードが出ていたように、良い状態とは聞いていたんですけど、逆に硬さとか、そこら辺は心配ないですか?
圭太:特にないですね。そんなに速い時計が出るような感じもないのでね。
成長を待ちたいカシノハリウッド
-:話題に挙げていた新潟2歳Sですが、騎乗されていたカシノハリウッド(牡2、栗東・牧田厩舎)はいかがでしたか?
圭太:大きい馬で、まだ緩さが残っていると感じましたね。なかなか雰囲気のある馬で良かったですが、まだまだこれから良くなるタイプの馬じゃないかなと思いますね。
-:速い馬場の方が良いタイプですか?
圭太:いや、そんなことはないですね。
-:もうちょっと力を使うような、時計が掛かるような馬場の方が良いということですね。
圭太:う~ん、どうなんだろうなあ~。まだ、ハミに乗っかって頼って走っている部分があるので、ぬかるむような馬場は良くないでしょうね。まだシッカリと走れていないところがあるので、将来性があるタイプですね。
-:体には汗の泡の跡もありました。今回のテンションはどうでしたか?
圭太:少し高めかなという感じですね。スタートもちょっと出過ぎるぐらい速いかったですし、「レース後は少し間を空ける」と厩舎では言っていたので、そこで成長を促せればいいかもしれませんね。
エアソミュールはスローの我慢比べがベスト
-:札幌記念のエアソミュール(牡5、栗東・角居厩舎)は残念ながら離された結果になってしまいました。ペースが速かっただけに着差は仕方ないとはいえ、あれだけ力の違いをみせつけられるとは思いませんでした。
圭太:ハープスターとゴールドシップの2頭は強かった感じですね。向こうは不利も何もない競馬でしたからね。エアはあのペースでも力んでいたので、終いの伸びに欠けたとは思います。
-:でも、あの馬にとって、力む面は普段からあることだと思います。
圭太:それほどの違いはなかったですね、返し馬もすごく落ち着いていましたし。だから、本当はもっと遅いペースで我慢が効いて、最後の直線に向かう、という展開だったら、また違った競馬だったと思うのですが、流れている中で力んでいて、という感じだったので、終いはそこまで伸び切れなかったですね。
-:その話を伺うと、どちらかと言えばスローで我慢している時の方が、この馬にとっては良いかもしれない、ということですか?
圭太:そうですね。何せ気分屋のところもあるので、自分が苦しくなると、そんなに自分から(動く)というところもないとは思うので。
-:前回もガンジスの話で「走る気がない馬はあまり速いペースだと辛い」という話をしていましたものね。
圭太:そうですね。だから、遅いペースで上手くまとめて、出来ればリラックスをさせて、というのが良いとは思います。まあ、力んでいるのは許容範囲かと思ったのに、やっぱりレースが流れている分、終いは……、という感じでしたかね。
-:新しい馬の法則じゃないですが、僕は聞いていて新鮮な話でした。
圭太:そうですかね。人それぞれどう思っているか分からないですが、僕はそういう考えがありますね。
-:先生や厩舎の方々の意見はどのような話でしたか?
圭太:「少し力んでいたな」というようなことは言っていましたね。
-:気配自体はここまでと比較してどんな状態でしたか?
圭太:比較的おとなしく落ち着いていたので、力は出せる状態でしたね。
-:距離やコースも経験している条件でしたが?
圭太:そうですね。パンパンの馬場の方が走りやすいのかな、というイメージはありますね。
-:中山記念でも悪い馬場は経験しましたし、速い時計の出るような馬場の方が良いとのことですね。
圭太:洋芝も確かに走れるのでしょうが、もっと速い馬場の方が何か良いのかな、という気はしますね。小回りや大きいコースなどの差は感じませんが。
違った目線で見られる凱旋門賞
-:何度もお話を聞いてきて、ようやく巧拙がつかめてきました。また乗る機会もあると思うので、そこは注目して見ていきたいと思います。ところで、前2頭の印象はいかがでしたか?
圭太:あれだけ離されたし、強かったなあ、という感じですね。強さを見せつけられた。特にハープスター(牝3、栗東・松田博厩舎)は思っていたよりも強かったですね。
-:やっぱり斤量の影響はあるものですか?
圭太:斤量はあると思いますね、芝だと余計に。
-:芝の方がありますか?馬場状態でも、それは関わってくるものですか?
圭太:う~ん、軽い方が差はあると思いますね。
-:それにしても5キロ差あったとはいえ、早目に動いて封じ切るのはさすがだと思いますね。
圭太:そうですね。逆に早く動いたのが良かったんじゃないですか。
-:あの競馬を見て、彼らは次に凱旋門賞へ行く訳ですけど、どう見ていますか?
圭太:楽しみじゃないですか。ジャスタウェイ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)を含めた3頭はタイプが色々と違うと思うので、どういうレースをするのか、というのも楽しみにしていますね。
-:今回は3頭共、違うモノを持っているんで。
マネ:どういう展開になっても、どれかには向きそうな感じがあるんで楽しみですね。
圭太:今まではそんなことはなかったのですが、僕も海外競馬を凄く見るようになりました。今回の凱旋門賞は、海外の強い馬がいるので、盛り上がりそうですね。
-:見る上で、どういったところをポイントとして見ているのですか?騎手、それとも馬ですか?
圭太:いや別に、ポイントはないですかね。ああ、ライアン・ムーアはちょっと気にして見ていますね。
-:海外の馬で、今まで見てきた中で気になった馬はいましたか?
圭太:何頭かいますけどね。オーストラリアとか、あとはドイツダービーをぶっちぎって勝ったシーザムーンとか。マイルだけど、キングマンも。タグルーダというのも強いのかなと思ったら、この間(英ヨークシャーオークス2着)負けましたもんね。だから、どの馬が条件に合っているか分からないので。いざ、レースとなれば、何とも言えないですが。
-:当日の馬場とかもあるでしょうからね。
圭太:ええ。今年は色々と見ている分、余計に楽しみかなと思いますね。レベル的には、例年よりどうなんですかねぇ。
-:でも、ヨーロッパを定期的に見ている訳ではないんで、何とも言えないですけどね。
マネ:馬のレベルはそんなに差はありませんよね。いつ勝ってもおかしくないということじゃないですか。前哨戦とかでも勝つ訳だから。だから、オルフェーヴルだって惜しい2着の年は、2回も3回もやれば、1回は勝っていたでしょう。
昔、海外に行って勝つ馬というのは、日本でも敵なしというか、次元が違う強さだったじゃないですか。それくらい日本の競馬とのレベルがあったわけで、例えば、エルコンドルパサーなんか、デビューからみんな大差勝ちとかね。今は条件戦からそうなることが少ないじゃないですか。海外で勝つような馬でも負けることもあるし、そんなに差がなくなってきている訳で、そう考えるとやっぱり。
圭太:何と言っても、日本馬がレーティング1位ですからね。世界1位ですからね。まあ、凄いことですよ。
マネ:底上げがされているから。メンバーと条件が揃っちゃえば好走しちゃうことがあると思うんですよ。それこそGⅠ馬を、思い切って向こうで1年競馬をして凱旋門賞を迎えれば、普通に勝つでしょう。それくらいのレベルじゃないですかね。だから、向こうの凱旋門賞馬がジャパンCに来て勝つというのは、最近はないですからね。ヨーロッパの強い馬が人気になったって……。まあ、適性が合わないとかあるでしょうけど、日本馬が勝っちゃう時代ですからね。それぐらい差はないんじゃないですか。個人的にはそう感じますけどね。楽しみですよ。
-:その日はご本人的には(スプリンターズSを)勝って観戦できると良いかな、という1日だと思います。
圭太:そうですね、フフフ(笑)。
マネ:スプリンターズSの日なんですか?
-:そうなんですよ。たまに被りますね。それだけに良い形で観戦できるといいですね。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。