外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
開催リーディングへ勝負の週末!世界を代表する女性ジョッキーから得た"学び"
2023/11/17(金)
先週は2勝しこの秋の福島リーディング3位につけるまなみ騎手。今週は福島で17鞍に騎乗し、開催リーディングを狙います。そして先週から"憧れの存在"というH.ドイル騎手が福島競馬場で騎乗開始。世界を飛び回り活躍する女性ジョッキーから学んだこと、そして開催終わりの調整ルームでの出来事など、今週も盛りだくさんでお届けします!
福島リーディング争奪戦へ今週末は17鞍に騎乗!来週の重賞へ弾みをつける
——来週の京阪杯でモズメイメイに騎乗されることが決定しました。
そうですね、乗せていただくことになりました!一生懸命頑張りたいと思います。来週の水曜日に追い切りに乗せていただく予定です。
——葵Sのロケットスタートが非常に印象的な馬ですが、楽しみな一戦ですね。
私もそのレースが一番印象的です。いいスビードを持っている馬だと外から見ていて思っていたので、持ち味を生かせる競馬ができればと思っています。
——今週も福島で騎乗されます。土曜7鞍、日曜10鞍。この秋の福島は4勝。秋の福島リーディング3位につけられています。勝負の一週間になりそうですね。
そうですね、古川さんも5勝されていますし、丹内さんも4勝、ドイルさんも3勝されていて接戦ですが、結果を出せるように、1頭1頭にしっかり向き合っていきたいです。
——実戦、調教で騎乗経験のある馬を中心にお聞きします。まずは土曜の1R・3歳上1勝クラスのラブリアージェ。昨年夏、未勝利時代に一度騎乗されています。
一度乗せていただいて、その時はかなりテンションが高い印象があるんです。レースの前に体力を消耗している感じで…。
ただ地方競馬から出戻りした後に何度か一緒のレースに乗せていただいたのですが、その時見ている限りは以前乗せていただいた時より落ち着いているように見えて、馬自身、精神的に成長してくれていると思います。短い距離ですし、うまく減量を生かす競馬でいい結果を出したいです。
——3R・2歳未勝利のゲッワイエンタンはダート1200mの新馬戦以来2度目の騎乗です。今回はダート1700mですね。
先週ゲッワイエンタンの追い切りに騎乗したまなみ騎手
距離延長になりますね。スピードタイプの印象はありますが、短距離だとテンから行くだけ行って最後止まる形になってしまうところがあり…。ただ中間スタッフさんが調教で走り方を修正していただいたことで、先週追い切りに乗せていただいた時はだいぶバランスが良くなっていると思いました。
ゲートは速く前前で運ぶ形になりそうですが、フォームは変わってきていますし、距離延長で変わってくれればと思います。
——7R・2歳未勝利のローンウルフは先々週騎乗され3着でした。
先生からも末脚が切れるというより、どれだけ粘れるかというタイプと聞いていました。前走のように3番手からヨーイドンの形になると切れ味のある馬にやられてしまうので、理想はハナを切って、この馬のリズムで淡々と行くのが良さそうです。ハナを主張する勢いで出していければと思います。
——8R・3歳上1勝クラスのサンスレッドは新馬戦(芝1600m、15着)以来、久々の騎乗となりますね。
新馬の時は外に張るところがありました。(藤田)菜七子さんが騎乗されているレースを見ていると短距離は合っているように見えますし、減量をうまく行かせる形で積極的に運べれば、現級実績もありますしチャンスはあると思っています。
——9R・高湯温泉特別のバレンタインソングは、春の福島で初勝利に導いて以来の騎乗です。
勝たせていただいた馬で、その時は向正面に入るまで少しハミを噛んでしまいましたが、事前に伺っていた「馬群に入れると周りの馬を気にする」という面はそんなに出しませんでした。途中からは折り合いもつきましたし、前走原先輩が騎乗した際に5着に来ているようにこのコースは合っているので、勝った時のイメージで運びたいです。
——日曜日の5R・2歳新馬戦のセジールレーヴは、中間の調教に騎乗されています。
2週続けて乗せていただきました。本当に真面目で、前向きに一生懸命走ってくれる馬です。新馬向きという印象があります。追い切りでは切れるというより、ジワジワ脚を使う印象を受けたので、前前で運びたいです。
——先々週の土湯温泉特別で見せ場を作って4着だった8R・3歳上1勝クラスのコイニョウボウは最終週で前進可能でしょうか?
小柄な牝馬ですが、道悪も苦にせず一生懸命真面目に走る馬で、馬場が悪いのはプラスに働きそうです。前走よりもう1つ前のポジションを取れればと思っているので、なるべく中団か、その少し前目につけたいです。
——9R・磐梯山特別のヴェルミセルは先々週まなみ騎手が勝利に導きました。再度1勝クラスの2600m戦となります。
前走はゲートを出てから自分のリズムに嵌まるまであまり急かさないでおこうと思い、向正面から上がっていく競馬を選択しましたが、馬自身も応えてくれました。乗りやすい馬ですし、同じ舞台なのもプラスに働いてくれると思うので頑張りたいです。
——10R・五色沼特別のエクロールは昇級戦です。最終追い切りに乗られていますね。
凄い真面目な馬で追い切りではハミを噛むところがありますが、競馬ではそんなところはないとスタッフの皆さんから聞いていますし、前走(荻野)極さんが勝ったような形で淡々と前で運べれば昇級戦で見せ場を作ってくれるのではないかと思います。
——先週は2勝を挙げられました。まずは土曜6R・3歳上1勝クラス。自厩舎のビッグボーンリタで見事な差し切り勝ちでした。
レースを使うごとに内容が良くなっていますね。今回は前が結構流れている感じがあったので、ついていき過ぎず、離れ過ぎずで運びました。本当に最後はいい脚で伸びてくれましたし、馬の成長にも感謝したい1勝でした。
——先週のコラムで「成長するにつれて競馬の内容も良くなっています」と話されていましたが、だいぶ成長を感じる内容でしたか?
本当にそうですね。前はゲートを出てからポジションを取ると最後止まるところがありましたが、今はだいぶゲートも出てくれるようになって、ポジションを取っても終いいい脚を使ってくれるようになりました。本当に学習能力が高い子だと思います。
——土曜12R・3歳上1勝クラスはテン乗りのプリモカリーナに騎乗し、2着続きにピリオドを打ちましたね。
1勝クラスで2着続きで、力のある馬だというのは分かっていました。馬自身が好スタートを決めてくれて、2番手で直線向いても手応えも良く、減量もあったので早めに踏んでいきましたが、しっかり応えてくれました。素直で乗りやすい、優秀な馬だと感じました。
憧れのドイル騎手と邂逅!"まなみの学び"とお風呂場のエピソードとは
——先程秋の福島リーディングの話になりましたが、現在リーディングトップは古川奈穂騎手で5勝を挙げられています。古川騎手とリーディングの話になったりはするのでしょうか?
あんまりしないですね…。あ、でも古川さんが今週自厩舎(高橋康厩舎)のユイに乗られるのですが、私も同じレースに乗るので、今週の調教の時に「私も負けないよう頑張ります!」とは言わせていただきました。
——女性騎手関連のご質問が届いていますので、今週はこちらをご紹介させていただきます。ペンネーム・ラッキーさんからのメッセージです。「こんにちは、いつもコラム楽しく拝見しています。11日、12日の福島競馬でH.ドイル騎手と一緒でしたが、調整ルームで何かお話ってされましたか?」というご質問がありました。
英国の名手、H.ドイル騎手
そうですね、私はバレットを姉(みなみさん)にやってもらっているのですが、実は今、姉はドイルさんのバレットもさせていただいていて、鞍置きも隣同士なんです。私は英語がしゃべれないのですが、通訳さんを介して色々教えていただきました。
——お姉さんのみなみさんは英語はしゃべれるのですか?
しゃべれないです(笑)。でも姉はフレンドリーで明るい性格なので、分かる単語を使いながら「ウォッシュオーケー?」とドイルさんに話しかけていました(笑)
——ドイル騎手から話しかけられたりはするのですか?
土曜日の最終レースが終わった後に調整ルームのお風呂に行ったら、たまたまドイルさん一人で入っていらっしゃって、そこに私が乱入する形になりました(笑)。そうしたらドイルさんが「お風呂、熱いけどいいお湯だね」みたいな感じで英語で話しかけてくださったんです。
私にとってドイルさんは憧れの人なので、つい緊張してしまって「ホット!ホット!」としか言えなくて…(笑)。恥ずかしくなりました…。英語、大事だなと改めて思いましたね…。
——ドイル騎手が何を言ってるかは分かったんですね。
あ、それは分かりました。ジェスチャー交じりで「ホットだけどベリグー」みたいな感じで言ってくれて。私も「そうですね、そう思います」と言いたかったのですが、緊張のあまり「ホット!ホット!」と…バカ丸出しでした(笑)
——ペンネーム・ラッキーさんからは「ドイル騎手と同じレースに乗っていて感じたことがあれば、合わせて教えていただきたいです!」とのことです。
一緒のレースに乗っていてもそうですし、外から見ていてもそうなんですが、本当に最後凄く追われます。どんなにスローでも他の馬の後ろでしっかり我慢して、ロスなく追ってこられる姿を間近で見て、同じ女性ジョッキーとして本当に学ぶところが多いてす。
——まさに"まなみの学び"ですね。
はい、本当にまなみの学びです(笑)
——あくまで見た目の印象ですが、ドイル騎手は結構体を起こして追っているように見えますが、まなみ騎手から見て、ドイル騎手の凄いところはどのあたりにあるのでしょうか。
馬をまっすぐ、フラフラさせずに追われるんです。私も「体のどこを支点に意識して追われているのですか」と質問させていただきました。
ドイルさんは私より身長が低いので、「身長によって追う姿勢は変わってくるから、支点の位置も違うと思うよ」と、色々教えていただきました。
——ドイル騎手は身長149cmと発表されていて、まなみ騎手より10cmほど背が低いんですよね。
そうなんです、11cm違います。馬に対する接地面の面積や重心の位置が変わってきます。背が大きいと上半身を畳みづらいところは出てくると思いますが、これはもう自分の生まれ持ったものですし、逆にプラスに働かせられるような追い方ができればと思います。
——短期免許ということでドイル騎手は女性騎手でも減量特典はありません。減量なしのレース振りに参考になる部分がありますか?
本当に凄いと思います。私たちは減量をつけて乗せていただいていますが、ドイルさんは減量なしでも互角に戦われていますし、私たちも減量がなくても対等に戦える存在にならないとと思いました。もっと技術を盗めるよう今週も頑張ります!
——女性騎手の関係性が分からないのですが、福島までの移動も一緒だったりされるのでしょうか。
私はないですね、私ひとり行動が好きなので(笑)。仲が悪いとかではないですが、小倉などにも一人で行きます。
——以前今村聖奈騎手と遊びに行った話をされていましたが、休日に女性騎手同士で遊びに行くことはあるのでしょうか?
仲が悪いわけではないですが、あまりないですね…(笑)。あ、でも古川(奈穂)さんとはこの前、同期入学の小沢くん、水沼くんと4人でナガシマスパーランドに行きました!(競馬学校)37期のおとなしい組が4人集まって(笑)
——ここ数年女性騎手がだいぶ増えてきましたが、これからも女性騎手の活躍が楽しみですね。
私も負けないよう頑張ります!
左から古川奈穂騎手、小沢大仁騎手、永島まなみ騎手、水沼元輝騎手
シューティングゲーム・まきばdeバンバンは3着フィニッシュ
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始2カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。