外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
愛知杯で6度目のJRA重賞挑戦!エニシノウタと挑む抱負と逃げ馬のウラ側
2024/1/12(金)
今週から小倉で騎乗するまなみ騎手。開幕週の重賞・愛知杯ではエニシノウタとコンビを再結成!JRA重賞6度目の参戦の抱負、そして小倉の騎乗馬展望から、今週引退式が行われたあの名馬の話まで、盛りだくさんでお届けします!
23年JRA騎手ホープ賞受賞!収穫のある正月競馬を振り返る
——まずは先週、23年JRA騎手ホープ賞受賞おめでとうございます!
ありがとうございます!表彰式でトロフィーをいただきました。
——京都で騎乗された先週は、月曜の7R・4歳上1勝クラス、ベファーナの3着が最高でした。先週まなみ騎手が「道中どれだけ体力を消耗させずに折り合いをつけられるかが大事」とおっしゃっていましたが、最後方から馬群をうまく縫っての3着でしたね。
普段は折り合いが難しいタイプですが、今回は逆に進んでいかないというか、力まず追走できました。ペースが流れていたこともあり、道中力むとところがなく追走できたので、終いは良く伸びてくれました。馬自身が今後この形を覚えてくれば、更に競馬しやすくなりそうです。次に繋がる内容だったと思います。
——月曜の4R・3歳1勝クラスのハリウッドパークは4着でしたが、序盤、まなみ騎手が包まれないようポジションを取り切ったシーンなど見せ場がありましたね。
そうですね、今まで乗せていただいた中ではポジションを取れました。ただそこで脚を使ったわけではないですが、結果的には逃げた(田口)貫太のワイワイレジェンドと2番手の馬の後ろに入っても良かったかなと、レース後長谷川浩大先生とも話になりました。
最後よく踏ん張って盛り返してくれましたが、前半急かすより、前走のようにテンに構えて脚を溜めてあげたほうが、終いいい脚を使ってくれるかもしれません。
——月曜日からはもう1つ、8Rの4歳上1勝クラスのトーホウキザンは13番人気5着。まなみ騎手が「ゲートが課題」とされていましたが、レースVTRからかなりおとなしくしていたように見えました。
先入れでしたが、ゲートの中では我慢してくれて、早く出てくれました。普段後ろからの競馬となっている分もあり行き脚はつきませんでしたが、成長を感じました。キザンにとって京都が一番合っている感じがありました。
——逆に日曜の3R・3歳未勝利で2番人気9着だったクリノキングマンは、テンのスピードに乗り切れませんでしたね。
ゲートを出た時にかなり右にヨレてしまい、修正している間に行き脚の速い他馬に行かれ、前走砂を被っていない分頭を上げて走ってしまいました。2戦目でこの競馬を経験できたことが次に生きればと思います。
エニシノウタと共に愛知杯に参戦!軽ハンデで狙う一発
——今週は土日共に小倉で、土曜9鞍、日曜9鞍の計18鞍に騎乗されます。今週も実戦、調教で騎乗経験のある馬を中心にお聞きしますが、やはり最初は土曜の小倉11R・愛知杯のエニシノウタのお話から伺いたいです。昨年夏の小倉記念以来2度目の騎乗となりますね。
前回乗せていただいた際、「テンに急かし過ぎないほうが末脚が生きる」とお聞きしていたのですが、乗せていただいて実際そう感じました。今回もスタートしてから脚を溜める形になると思いますが、開幕週で軽ハンデでもあるので、それも考えて勝負所で動いていきたいです。
——引いたのは6枠9番、真ん中に近いところでしたね。
開幕週で外過ぎるのも嫌でした。いい枠に入れたと思います。
昨年小倉記念以来のタッグ結成となるエニシノウタ
——冬の時計の掛かる馬場のほうが合いそうなタイプでしょうか?
そうですね、時計の掛かるほうが良さそうです。
——キリンジやコイニョウボウ、クロダブシなど岡浩二オーナーの勝負服を着ての一戦、力が入りますね。
去年たくさん勝たせていただいてお世話になっているので、感謝しながら全力で頑張りたいと思います!
——土曜の1R・3歳未勝利のグラティアスミノルは新馬から4戦連続の騎乗ですね。再度ダート1700mに戻ります。
ダートの1700m、1800mが合いますが、まだ前向きさが出てこないところがあり、スタートしてから行けないところがあります。最後はいい脚で伸びてくれますが、前半のポジション取りの差で着順が決まってしまう現状です。
ただ経験を積んで最初の頃より良くなっていますし、今回は前走よりポジションを取れればと思っています。
——小倉6R・4歳上1勝クラスのステラポイントは前走福島2着に続く騎乗です。人気の一角となりそうですね。
前走逃げたのですが、調教は行きっぷりが良いものの、レースでは道中物見してフラフラするところがあり、最後風が強かった影響でまたフラフラするところがありました。
それでも着差はそんなにない2着でしたし、力上位の馬です。ゲートの中で立ちやすいほうですが、いいスピードがあるので、開幕週を生かして前前で運べればと思います。
——9R・響灘特別は自厩舎の調教パートナーのパープルグローリーに騎乗されます。今回1700mへの距離延長が鍵となりそうでしょうか。
パープルは揉まれ弱いところがあるので、1200m、1400mの短い距離だと、行けなかった時に追走できないところがあるため1700mに距離を延ばすことになりました。スタートはいい馬なので、うまく揉まれない形で運べればと思います。
以前芝1800mで乗せていただいた時は少し距離が長いと思いましたが、短距離で弱い部分を出して競馬に参加できないより、この距離で淡々と運べたほうがいいかもしれません。前向きですごく真面目に走ってくれるいい子です。
——12R・4歳上1勝クラスのタムロキュラムンは昨年1月、この舞台で4着になって以来約1年振りの騎乗です。
開幕週の馬場は合っていると思います。昨年の年明けに乗せていただいた時も、いいスタートでいいポジションから粘れて4着でした。その時のようなイメージで挑みたいです。
——日曜の2R・3歳未勝利のウインラグラスは2走ぶりの騎乗です。今回は200mの距離短縮ですね。
新馬に乗せていただいた際は追走に苦労しましたが、前走貫太が乗った時は少しずつ良くなっていましたね。調教で前向きに走ってくれる馬なので、1400mより1200mのほうがいいかもしれません。1200mである程度ポジションを取れればやれていいと思っています。
——3R・4歳上1勝クラスのクリノヴァニラは22年10月以来の久々の騎乗となります。
一度野中(悠太郎)さんが小倉で差して4着と結果を出してくださったように、小倉ダート1000mは合っていると思います。調教ではガンガン、前向きに走ってくれる子で、野中さんのような競馬ができればと思います。
——まなみ騎手が2度騎乗しどちらも3着、10R・壇之浦Sのサウンドウォリアーも22年4月以来久々のコンビです。ただ追い切りは3週連続で跨られています。
そうですね、ウォリアーは追い切りずっと乗せていただきましたが、今までより気持ち前重心というかハミにモタれるところはありました。ただ元々そういうところもある馬ですし、開幕週で綺麗な馬場で走れるのはウォリアーにとってプラスです。
歳を重ねてズブさが出てきたものの、追うごとに反応は良くなっていますし、いい先行力を生かせればと思います。
——12R・4歳上1勝クラスのルージュルミナスは実戦では初騎乗ですが、今週の最終追い切りでまなみ騎手が騎乗し、51.4と速いタイムが出ましたね。
追い切りでは引っかかるところがあり、タイムが出ました。ただこの馬は何度か定期的に追い切りに乗せていただいていた馬なんです。調教タイムからもすごく動ける馬で、1勝クラスでも全然やれる馬だと思います。芝1200のほうがむしろ良さそうですし、テンションが上がり過ぎないようにして臨みたいです。
パンサラッサ引退!大逃げする理由と逃げ馬の難しいところ
——先週お話された大晦日の決戦、VSレッツゴードンキの反響がなかなか多かったです。"永島まなみ厩舎"について「かわいい!」「私も入厩したい」というご感想が見られました。
ありがとうございます(笑)。まだまだ在籍している馬はいて、フルゲートで出せそうなくらいいるので、今のところ新しい馬は厳しいかもしれません(笑)。
フルゲート揃った永島まなみ厩舎
——それもあって今週は"永島まなみ厩舎"についてお聞きしようと思っていたのですが、タイムリーなご質問をいただいたので急遽、こちらの質問を取り上げさせていただきます。ペンネーム・わさびさんから「まなみちゃんこんにちは!いつも応援しています。早速ですがこの前パンサラッサの引退式がありました。私はパンサラッサのファンなのですが、普段トレセンでパンサラッサはよく会っていましたか?」というご質問をいただきました。
そうですね、何度か会ったことがあります。あまりずっと一緒にいたわけではないので、穏やかにしているところしか見たことはないですが(笑)。
——パンサラッサの所属していた矢作厩舎には同期の古川奈穂騎手が所属されていますが、パンサラッサの話を聞いたりしたことはあるのでしょうか。
ありますね。イクイノックスに最後交わされた天皇賞・秋の大逃げは勝ったんじゃないかと思うレースでしたが、これが一番印象に残っていて、その後古川さんと「勝ったと思った…!」と話になりました。
——ペンネーム・わさびさんからもう1つ、パンサラッサ関連のご質問です。「パンサラッサは大逃げしていましたが、大逃げする馬はどのような気性の馬なのでしょうか」というご質問なのですが、これは確かに気になります。
そうですね、馬のタイプによると思いますが、切れる脚を持った馬はじっくり脚を溜めて瞬発力を生かす競馬になると思いますが、中には切れないワンペースの馬もいます。
先程話になったパープルグローリーのように、馬群が近いと気にするとか前向きさが出てこない馬もいるので、大逃げする馬も気性的なところが大きいのかなと私の中では思います。
——大逃げとなると序盤からハイペースで押していくことになりますが、ジョッキー心理からすると怖くないのでしょうか?
怖いですね…。飛ばし過ぎると、最後止まった時に「飛ばし過ぎだろう」と周りから思われてしまうところもあるでしょうし…。ただジョッキーの皆さんはその馬に合ったレースをしていると思いますし、皆さん腹を括って逃げていると思います。
——大逃げに限らず、逃げている際にペースはどれくらい細かく分かるものなのでしょう。
風や馬場状態にもよりますが、早いか遅いかはある程度分かります。後続がどれくらい付いてきているかも分かりますね。
——それこそ1000m62秒くらいだな、など細かく分かるものなのでしょうか?
大体分かりますね。デビューした当初は分からないところもありましたが、自分はどれくらいのペースで行っているかをレース中に感じ取り、レース後ラップを見て感覚を合わせていっています。ただ自分の中ではまだまだなので、試行錯誤しながらやっているところです。
——素朴な疑問なのですが、競馬学校にはペース判断、ペース計測の授業などはあるのでしょうか。
めちゃくちゃありました!走路練習で1ハロン20秒とかゆっくりなペースをみんなで走って、その後教官の先生が機械で出してくれるラップを見て、自分のペースを確認する形でした。
——まなみ騎手はこの授業、得意なほうだったのでしょうか?
私はもうめっちゃくちゃでした(笑)。中にはガンガン行く馬がいるので、私は引っかかって持っていかれたりして…。みんな間隔をとって無線を着けて乗るのですが、教官から「永島が掛かったから外から追い抜かれるぞ~気をつけろよ~」とか、「持っていかれてるぞ、引っ張れ!」と言われていました(笑)。色々学ばせていただきました…。
——大逃げに話を戻しますと、大逃げした馬の2番手というポジションはやはり乗り難しいものなのですか?
そうですね、早めに動き過ぎても共倒れしてしまいますし、動かな過ぎても前に残られてしまうので…(笑)。
——昨年11月の福島で、まなみ騎手は大逃げすることがあるプリマヴィータに騎乗されています。このような時は「大逃げしてほしい」というオーダーが出るものなのでしょうか?
「ペースが速くなってもいいから(ハナに)行ってくれ」と指示を受けていました。逃げたかったですが、藤懸さんの騎乗するケイアイサンデラも逃げたい馬で、枠はケイアイのほうが内だったこともあり2頭でガンガン競り合う形になってしまって、一番良くない形になってしまいましたね。
——結果的にプリモヴィータはハナを切れず、2番手から早々と手応えがなくなってしまいましたが、このような逃げ馬は逃げられない時の場合、序盤から乗っていてリズムの悪さを感じるものですか。
悪かったですね…。福島の2600mは向正面スタートですが、最初のコーナーのところでもう分かります。まだあと1周以上あるのに全然ハミを取らず、やはり2番手だったのを気にしていたのだと思います。
——普段逃げている馬で2番手だった時、道中はどのような気持ちで騎乗されているのでしょう。
そうですね、「あ、番手だ…」という気持ちになります。
——まなみ騎手にとって思い出の逃げ馬がいれば教えていただきたいです。
自厩舎の1年目に勝たせていただいたアオイツヤヒメですね。あの馬は乗っている人を連れていってくれるくらい、ゲートから凄いスピードで出ていく馬だったんです。勝たせていただいた時も、スピードのある馬はこれくらい連れて行ってくれるんだなと感じました。多少引っ張ってもお構いなしで行くんです(笑)。
——こうしてジョッキーの皆さんは経験を積まれていくのですね。
そうですね、どの馬も先生で、色々教えてもらっています!
——今週もたっぷりありがとうございます。小倉開催、楽しみにしております!
ありがとうございます、頑張ります!
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始4カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。