外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
反省を糧に小倉で狙う初勝利!大暴れの新年会と"ウンのある話"
2024/1/19(金)
先週は何度も大穴を開けるなど存在感を見せたまなみ騎手。2024年初勝利に向けて今週も小倉に参戦し15頭に騎乗。先週の振り返りから今週の展望、そして新年会という名のボウリング大会のエピソードから、"ウンのある話"まで、今週も盛りだくさんでお届けします!
歯がゆかった小倉開幕週 反省を糧に更に上へ
——先週は惜しいレースが多いながら、何度も大穴を開けて存在感を見せられていました。
3着までには来れたのですが、自分の中では歯がゆいレースが続いているなと思います。土曜のレースは全てのレースにおいて反省ばかりで、日曜は馬も頑張ってくれて少しずつ結果は出ましたが、勝ち切れてはいませんし、切り換えて今週は頑張りたいです。
——その先週からいくつかお聞きしたいのですが、土曜小倉1R・3歳未勝利のグラティアスミノルは道中大まくりを見せる豪快なレースで2着でした。
ずっと乗せていただいているのですが、スタートは出るものの、二の脚がつかずどうしても後方からになるんです。乗っていて道中そんなにペースも流れていないと感じ早めに動きましたが、早めに動いた分もあり、川田さんとの追い比べで止まってしまいました。
ただこの馬自身道中の流れは良くなっていましたし、先の見える競馬をしてくれたと思います。収穫はありました。
——逆に土曜の6R・4歳上1勝クラスのステラポイントは果敢に逃げたものの、粘り切れずに7着でしたね…。
スタートしてから外のマイネルヒッツェと並んで、私のほうが内枠なので行き切って逃げました。ペースは大して速くなかったのですが、2600mの分もあったか最後止まってしまいました。
私が前走逃げて2着だったのですが、以前(鮫島)克駿さんが乗られた時は控えて競馬されていましたし、必ずしも逃げなくていい馬だったことを考えると、結果論ですが控えても良かったかもしれません。道中ハミをかけていてもフワフワしている感じで、3、4コーナーで後続に来られてしんどくなってしまいました。
——土曜メイン・愛知杯のエニシノウタは速い流れを外からしぶとく伸びていましたが、前も止まりませんでしたね。
結構流れていて嵌まる形かと思いましたが、どうしても開幕週で前も止まりませんでした。エニシノウタ自身も頑張ってくれていましたが、馬場状態もプラスに働かなかったかなと思います。
——4コーナーの反応は一瞬オっと思わせるものに見えました。
そうですね、このまま最後伸びてくれるかなと思ったのですが、最後少し伸びきれませんでした。今回軽ハンデではありましたが格上挑戦でしたし、自己条件なら力を出してくれると思います。
——何度も穴を開けられた日曜の小倉競馬のお話に移りますと、2R・3歳未勝利では単勝12番人気のウインラグラスを3着に導かれました。先週まなみ騎手が「1400mより1200mのほうがいいかもしれません」とおっしゃっていましたが、その通りの結果で、コラムを読まれた方の中には馬券をゲットされた方もいらっしゃるかもしれません。
(田口)貫太が1400mに乗っていたレースで、結構ハミを噛んでいたのを見て1200mのほうが合うと思いました。実際乗ったら、以前乗せていただいた時よりだいぶ行き脚がつくようになっていましたね。好位のポジションを取れましたし、最後まだ少し右にモタれますが、馬自身がだいぶ進展してくれているなと思いました。
——3R・4歳上1勝クラスは同じく単勝12番人気、こちらはなんと101.5倍だったクリノヴァニラで大外から追い込み3着でした。久々のまなみ騎手とのコンビでまさに一変しましたね。
ヴァニラは以前野中さんが乗った際に小倉1000mで4着だったことがあるので、この条件は適性があると思っていました。怖がりなところがある女の子なので、外枠で揉まれないのもプラスに働いてくれたのかもしれません。
——8R・4歳上1勝クラスでは6番人気のナックダンスに騎乗し、2番手から粘り込んで3着でした。
ナックダンスは切れる脚がないと先生からお話を聞いていました。なるべく前で運びたいと思いましたが、しっかり行き脚がついて、いいところで競馬してくれましたね。直線もうワンギア上げるところで切れる馬に負けてしまいましたが、前前で粘り切る形なら1勝クラスでも勝ち負けになるところまで頑張ってくれると思います。
今年初勝利へ!15頭と共に挑む小倉2週目
——今週も土日共に小倉で騎乗され、土曜7鞍、日曜8鞍の計15鞍に騎乗されますが、いつも通り調教、実戦で騎乗経験のある馬を中心に伺います。まずは土曜1R・3歳未勝利のフォーレから。1週前の坂路でまなみ騎手が騎乗され、4F52.3というタイムを記録しました。
先週フォーレの追い切りに騎乗したまなみ騎手
フォーレは新馬戦の前にも一度追い切りに乗せていただきましたが、その時に比べればかなり馬が動けるようになった印象です。まだ非力なところはありますが、体の使い方も良くなっていますし、調教の時計も出せるようになってきました。一度使った上積みもあるのではと思います。
——2R・3歳未勝利のエルプロフェッサーはここまで3戦全てまなみ騎手騎乗、このコラムでもお馴染みの存在です。まなみ騎手が以前から"幼い気性"を課題とされてきました。
そうですね、エルプロはいつも一生懸命走ってくれますが、一生懸命さが全て走りに出てしまって、ガツガツ行くタイプなんです。その分、成長の余地がかなりある子です。
今回は在厩の日を少なくして入厩してから10日競馬で挑みますが、いつも乗ってくださっているスタッフさんからは少しずつ良くなっていると聞いていますし、エルプロ自体も今回4戦目なので、少しずつ良くなってくれていると思います。
——7Rの4歳上1勝クラスのサトノヴィーナスには今週坂路で追い切りに騎乗され、馬なりで4F50.7、自己ベストを叩き出されています。
ヴィーナスは輸送もあるのでそこまで時計を出したくなかったのですが、かなり行きっぷりが良くて…。能力はある馬だと思いますし、後ろから行く馬で脚を使うタイミングが大事になりそうです。枠を見たら大外だったので、外からスムーズに淡々と運べれば力を出してくれると思います。
——11R・和布刈特別のベイパーコーンは前走11月の福島でまなみ騎手が勝利に導いて以来の実戦ですね。
ペイパーコーンも切れる馬ではなく、前走勝った時のように前前で運びたいです。福島同様小倉も小回りですが、小回りのほうが合っていると思いますし、前前で運べれば昇級戦でも楽しみです。
——日曜に話を移すと、3R・4歳上1勝クラスのヨドノゴールドは3戦連続の騎乗ですね。まなみ騎手とのコンビでは初のダート1000mになります。
ここ2戦乗せていただいていますが、どうしても1200mだと長くて最後止まってしまうんです。原(優介)先輩にお聞きしたら福島の1150mでも長かったとのことでしたし、1000mはいいと思います!スタートセンスもいい馬なので、上手く粘り込むような形なら勝ち負けあると思います。
——7R・3歳未勝利のラムテリオスは一週前、ウッドコースでまなみ騎手が騎乗され、一杯に追われて好時計を出していますね。距離短縮は良さそうでしょうか。
結構乗り難しいところがある馬でハミを噛んだら凄く頭を上げるところがあるのですが、それでもウッドで80秒台でしたし、動ける体勢ではあると思います。距離短縮はプラスに感じますし、左に張るところがあるのでコーナーで遠心力で張っていかないよう気を付けたいと思います。
——先週少し話になったプリマヴィータが10R・海の中道特別に登場。2走ぶりの騎乗です。
以前乗せていただいた時は藤懸さんのケイアイサンデラとやり合ってしまい、番手で手応えをなくして下がってしまいました。この馬の持ち味は揉まれない形での大逃げだと思いますし、今回はハナを主張してこの馬らしい競馬をしたいです。
——12R・4歳上1勝クラスのクインズステラは昨年4月の福島(5着)以来久々の騎乗となりますね。
福島以来乗せていただきますが、最後本当にいい脚を使ってくれる印象なので、ある程度後ろ過ぎないポジションを取りたいと思っています。
"新年会"で大暴れ!?まなみ騎手の知られざる特技と"ウン"のある話
——昨夜は坂井瑠星騎手たちと新年会を開催されたと聞いております。盛り上がりましたか?
新年会という名のボウリング大会に参加してきました!私、暴れてきました(笑)。スコア、168でした!
——168はスゴくないですか?
はい、21人くらいいたんですか、1位か2位でした。元々ボウリングは好きで、ハイスコアは180くらい行ったことがあるんです。私、できる球技がボウリングくらいなので(笑)。あとはもう全然できないんですが…。
ボウリング大会にて、田口貫太騎手(左)と小沢大仁騎手(右)と
——他にはどなたが参加されていたのでしょうか?
ジョッキーは私と小沢(大仁)くん、あと貫太と(西村)淳也さん、(坂井)瑠星さんだけだったんですが、他の色々な厩舎のスタッフさんが中心になって開いてくださいました。
——坂井騎手はボウリングも上手そうなイメージですが、ジョッキーの方はどなたが上手いのでしょう。
小沢くんは最初は良かったです(笑)。貫太も上手でした。瑠星さんは何でもできるイメージなんですが、ボウリングは私が勝っちゃいました(笑)
——ちょうど坂井騎手は前夜に船橋で交流重賞・ブルーバードカップをアンモシエラで勝たれたばかりでした。祝勝会のような雰囲気もあったのでは…。
そうですね、前夜にレースも見ていましたし結果は知っていたのですが、言うのを忘れていて、「おめでとうございます!」と言ったのが瑠星さんとお会いしてから30分後くらいだったんです。そうしたら瑠星さんに「遅いよ、今更かよ!」と笑いながら言われました(笑)
——まなみ騎手は先輩ジョッキーのお兄さん方から妹のような扱いになるのでしょうか。
そうですね、結構…私がバカなのでよくいじられます(笑)。ありがたいなと思っておきます。
——また様々なジョッキーのファンの方の琴線に触れるお話をありがとうございます!さて、今週のファンの方からの質問ですが、これは…お食事中の方すいません。ペンネーム・しろくまさんからのご質問です。「先週の京成杯で勝ったダノンデサイルがレース中に糞をしたことが話題になりました。横山典弘騎手がレース中に気付いたみたいなことがネットに載っていましたが、ジョッキーの方は自分の馬が糞をしたことに気付くんですか?」とのことです。
私はさすがに競馬でされたことがないので分からないのですが、普段調教などで並脚の時に馬がボロ(糞)をすると、その時は馬の脚取りが重くなります。急に止まってする馬もいますね。どれだけムチで促しても進まなくなります。スタスタ歩きながらボロをする馬はなかなかいないですね…。
——走りながらする馬自体はいるのですね。
いますいます。ハッキングの最中などにボロをされたことはあります。ただあまりいないですね。今回のように実戦でしている馬は珍しいと思います!
ボロをしながらも京成杯を勝ったダノンデサイル
——レース中に前からボロが飛んでくることはあるのでしょうか?
ボロはまだないですね(笑)。あ、乗っている時に鳥のフンが手に落ちてきたことはあります(笑)
——逆にそちらのほうがスゴくないですか…?
2年前のお正月だったと思うのですが、トレセンの角馬場に向かって並脚で歩いていたら、いきなり手に落ちてきたんです。逆に"ウンがついた"と思うことにしましたが、さすがに馬の上で悲鳴をあげちゃいました…。(高橋康之)先生には笑われました…。馬から降りれないので辛かったです。
——ボロではないですが、以前レース中に飛んできた芝の塊の影響で目を腫らした池添謙一騎手が話題になったように、やはりものすごく痛いものなのでしょうか。
めちゃくちゃ痛いです…。腕に当たるのも痛いですし、顔にも当たって、一度口の中を切ったことがあります。青タンができたり、それこそバーン!と人に殴られたような衝撃ですね。開幕週ならまだいいですが、馬場が悪くなるとより飛んできます。
——馬場が荒れそうな冬場の小倉は特に痛そうですね…。
たぶんどんどん当たるようになると思います…。
——馬は芝の塊が当たって痛くないのでしょうか。
頭を上げる馬もいますね。ただ馬よりジョッキーに当たることのほうが多いかもしれません。
——例えば大雨の日や大雪の日に乗っている際の雨や雪は、ジョッキーにとって痛くないのですか?
雨は痛くないですが、雪は痛いです…。ちょうど今週の火曜に栗東ですごく雪が降ってたんですが、坂路で痛すぎてもう目も開けられませんでした。
——そもそも雪の日などはジョッキーの方は前や周りが見えるものなのですか?
見えない時は本当に見えませんね。それこそちょうど1年くらい前の小倉で雪が降った時は全然見えませんでした。きれいに見えないので本当に危ないなと他のジョッキーの方と話になりました。
——冬の小倉開催は雪との戦いになることが多いですが、天気予報は気になりますね。
そうですね、雨予報なので…。なんともないといいんですが。
——少々話は変わりますが、ジョッキーの方は騎乗時だいぶ薄着になります。相当寒いのではないですか。
これはめちゃくちゃ寒いです…返し馬に行くまでが寒いんです。行けばアドレナリンが出るのか温まるんですが、競馬と競馬の間が寒いですね。
——ちなみにまなみ騎手は暑いのと寒いのはどちらのほうが助かるものでしょう?
私、寒いの苦手なんです…。年明けの京都競馬の時、ユニクロのダウンの上に勝負服を着ていたんですが、このダウンを着てからプロテクターを着けて勝負服を着ると結構パツパツになって、モコモコになるんです。
そうしたらちょうど川田(将雅)さんにお会いして「今年もよろしくお願いします!」と挨拶したら、「モッコモコやな(笑)」と笑いながら言われました(笑)。
——今週の小倉も寒くなりそうです。体調崩さないことをお祈りしております。さて、来週はいよいよ"トゥラヴェくん"ことトゥラヴェスーラと挑むシルクロードSです。ここ2週追い切りに騎乗されていますね。
今週も追い切りに乗せていただきました。1週前なので普段着けているメンコを外しましたが、ピリっとして、外したのがいいほうに出てくれたかなと思います。追い切りでも変わらずいいスピードを見せて動けていますし、先週より反応が素軽くなってくれていました。今週ビシっとやったので、更に素軽くなってくれそうです。
先週、坂路でトゥラヴェスーラに騎乗したまなみ騎手
今週の追い切りでメンコを外したトゥラヴェスーラ
——以前まなみ騎手が乗り味を絶賛されていましたが、相変わらず良かったですか?
いいです…!背中の軸がしっかりしていますし、ギューンといきます(笑)
——楽しみにされているファンの方も多いと思います。トゥラヴェくんのお話はまた来週、じっくり伺う予定ですのでよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします!
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始4カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。