外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
"先生たち"と挑む重賞!優しく面白い師に誓う恩返し
2024/1/26(金)
24年初勝利へ…試行錯誤が続くまなみ騎手。小倉で何度も存在感のある騎乗を見せており、片目、両目が開く日は近いはず。そんな今週は自厩舎のエースであるトゥラヴェスーラとシルクロードSに参戦!師匠と挑む初重賞への想い、そして師匠のウラ話まで、今週も盛りだくさんでお届けします!
24年初勝利へ 反省を重ね挑む"先生たち"との重賞
——先週は2着が最高着順となりました。率直に、先週を振り返っていかがでしたでしょうか?
先週もなかなかしっかりとした結果が出せず、自分の中でもっと頑張らないといけないと思いました…。
——その2着だった日曜の1R・3歳未勝利のズバットマサムネは好スタートを決め2番手追走も、逃げ馬が最後まで止まりませんでしたね。
ズバットマサムネが理想的な競馬をしてくれました。これまでの全てのレースを見て、切れる脚がないだろうなと思っていたので、早めに勝ち馬を捉えに行きました。ただ勝ち馬にもうひと脚あって離されてしまいました。それでもこういう形で競馬できれば、勝ち負けできる馬だと感じました。
——土曜3R・3歳未勝利で4着だったラインアルファも聞いておきたいレースでした。外枠の速い馬を行かせ、切り返したところで更に外の先行馬が来る、苦しい展開に見えましたが…。
そうですね、スタートが良くて最初は逃げようかと思いましたが、外の武藤さん(1着ニシノルミリオン)が半馬身出ていて出していく姿勢を見せていたので、張っていって逃げても共倒れすると感じました。
それで2番手に切り換えましたが、最後はどうしても連闘分しんどくなって止まってしまいました。いいスピードを持っていますし、1000mは合うと思います。
——同じ小倉ダート1000m、日曜3R・4歳上1勝クラスのヨドノゴールドも内から行けずに苦しい形でしたね。
ヨドノゴールドは競馬がグチャグチャになってしまいました…。3コーナーで入りたいポジションを取れずギュウギュウになりポジションを取れず、馬に申し訳ない、すごくもったいないレースになってしまいました。1150mでも長そうな馬で、1000mは一番合うと思います。
——今週は土曜小倉で4鞍、日曜京都で9鞍に騎乗されます。なんといっても日曜の京都11R・シルクロードSのお話からでしょう。自厩舎のエースであるトゥラヴェスーラと実戦で初コンビを組まれます。2ヶ月ぶりの実戦となりますが、この中間は先々週、先週と追い切りにも騎乗されました。良化度はいかがでしょう。
そうですね、9歳で良化はスローということで、先生が早めにトレセンに入れてくださり、ずっと乗り込んでもらいました。2ヶ月空いた間隔はそこまで問題ないと思います。
2週前と1週前の追い切りに乗せていただきましたが、2週前は少し苦しいところがあったものの、先週の追い切りではその部分が改善されていましたし、反応もありました。動きは良かったです。メンコを取った効果もありスイッチも入った感じがあります。
先週の追い切りでトゥラヴェスーラに騎乗するまなみ騎手
——今週は助手の方が追い切りに乗られています。状態面のお話は伺っていますか?
「状態は整った。自信を持って行ってこい!」と言っていただきました!本当に頑張りたいですね。
——作戦面に関してはまなみ騎手が考えられている部分があると思いますが、内と外であればどちらが希望などはありますか?
私の中では内のほうがいいなとは思っています。京都の芝はスゴく荒れた状態なのですが、トゥラヴェスーラ自体凄く道悪が得意なのはプラスに働くと感じています。荒れた馬場が苦手な馬もいると思いますし、馬群はバラけると見ていて、丹内さんが高松宮記念で3着になった時のイメージで乗れればと思っています。※取材日25日(木曜)、引いたのは8枠16番
——以前その高松宮記念で3着に食い込んでいる際も不良馬場でしたが、荒れた馬場は問題ない走り方なのでしょうか。
そうですね、実戦で乗せていただくのは初めてですが、レース映像を見ていても1頭だけ馬場を苦にしない走りで伸びてきてくれるんです。他の馬とは違う、かなりの強みになると思います。
馬房でくつろぐトゥラヴェスーラ(まなみ騎手提供)
——師匠の高橋康之先生は「今の永島ならトゥラヴェスーラに合うと考えて、こちらからオーナーにお願いしました」とおっしゃっているようですね。自厩舎の馬で重賞挑戦は今回が初めてとなります。
先生の管理する馬で重賞に挑ませていただけるということで、お話をいただいた時には本当に嬉しかったです。トゥラヴェスーラという重賞で勝ち負けする素晴らしい馬に乗せていただけることに本当に感謝しています!
——他のレースも伺います。まずは土曜小倉から、1R・3歳未勝利のグラティアスミノルはこのコラムでお馴染みの存在です。前走はまくって2着と、使うごとに前進が見られますね。
そうですね、ただまだゲートを出てからスピードの乗りがうまくつかず後ろからになってしまうのがこの馬の課題と思っています。力はある馬ですし、使うごとに道中の行きっぷりなどはかなり出てきてくれているので、自信を持って挑みたいと思います。
——3ヶ月ぶりの2戦目を迎える小倉3R・3歳未勝利のベニスズメはダート1000mに距離を短縮してきました。
ずっと調教で乗せていただいていて、小柄でかわいい子なのですが、新馬でもいいスピードを見せてくれました。最後少し止まってしまっていたので1000mは合いそうです。新馬のように積極的に運びたいです。
——5R・3歳未勝利のレイムはベニスズメとは逆に距離延長となりますね。
前走1600mで乗せていただいたのですが、普段の調教では真面目にハミを取ってくれるものの、実戦だと少し追走が大変と言いますか、もう少し距離があったほうが脚を溜められそうでした。
今回の条件(小倉1800m)のほうがもう少し脚を溜めて運べそうですし、前走は新馬に比べていい内容でした。使いながら良くなってくれていると思います。
——7R・4歳上1勝クラスのヒルノピレネーは休み明けの前走に続き2度目の騎乗となります。一度叩いた効果が見込めそうでしょうか。
前走は北海道帰りで間隔が空いていましたが、間隔というより1、2コーナーでハミを噛んでしまい、私がスムーズなレースをさせてあげられずもったいないレースだったんです。今回スムーズな競馬ができれば十分勝ち負けする力があると思っています。
——初騎乗馬が多い日曜日の京都ですが、6R・3歳未勝利のエルプロフェッサーはここまでの4戦全てまなみ騎手が騎乗されています。今回は連闘で400mの距離延長となりますね。
「成長の余地がかなりある」と評される
エルプロフェッサー
エルプロは先週の競馬で乗せていただいたのですが(小倉芝1200mで8着)、ハミを取ってくれず進まなかったので、思い切って距離延長してもらうことになりました。
トーホウフランゴ(これまでの好走が全て芝1200m)の妹ではあるのですが、お姉ちゃんとはまたちょっと違うところがあり、距離延長でもう少しついていければいい競馬ができるんじゃないかと思っています。イレ込みやすい馬なので、連闘でイレ込み過ぎないよう気を付けたいです。
——12R・4歳上2勝クラスのペイシャフラワーもまなみ騎手とのコンビでお馴染みです。再度1600mに延長ですが、いかがでしょうか。
今回また1600mで乗せていただきます。近走周りの馬を気にして脚を使ってくれるところがなかったのですが、前走(団野)大成さんが乗っていただいて4着と、ペイシャらしいレースが戻ってきてくれたと見ていて感じました。あまり揉まれないほうがこの馬にはいいと思います。気分を害さず運びたいです。
初めて師匠と挑むタイトル!お茶目で優しい恩師の素顔とは…
——先週のコラムですが、かなりの反響をいただきました。まなみ騎手の特技がボウリングだと知って興奮しているファンの方も多く、中には「ピンになりたい」というファンの方もいらっしゃいました。
本当ですか!ありがとうございます、倒しちゃいますよ(笑)
——他にも多くの感想をいただき、「他のジョッキーとのエピソード最高です」「まなみちゃんが田口騎手のことを"貫太"と呼んでいるのがなんか微笑ましいです」なんていうご感想もありました。
貫太はもう貫太です!普段から「カンタァ!カンタァ!」と呼んでます(笑)
——西村淳也騎手と坂井瑠星騎手がまた一緒に遊んでいることを気にされているファンの方も多いのですが、お二人とまなみ騎手はよくごはんに行ったりするのでしょうか?
瑠星さんと淳也さんは仲いいんですよね。お二人は一番お世話になっている先輩です。ごはんにもよく連れていってもらっていますし、楽しい会に参加させてもらっています!
仲良しコンビでお馴染み、
坂井瑠星騎手(中)と西村淳也騎手(右)
妹のように可愛がられるまなみ騎手と
——また色々とジョッキーの皆さんとのエピソードをお聞きできればと思います。さて、今回のファンの方からの質問ですが、昨年末にいただいてまだ伺っていないものを今回お聞きしたいところです。ペンネーム・スウィープフィートさんからのご質問です。「まなみ騎手を応援しているうちに高橋康之先生のファンにもなりました。先生のスーツ姿が特に好きです。普段はどんな方なのでしょうか」というメッセージをいただいていました。
先生ですか!?そうですね…先生は一言で言うと凄く優しくて面白い先生です。衝撃的だったのは、競馬学校1年生の時に栗東で一週間研修させていただくのですが、そこで初めてお会いして調教内容を指示していただく時に「おぬし」と呼ばれたんです(笑)
今は「まなみちゃん」と呼んでくださることのほうが多いのですが、初めてお会いした時に「おぬし」と呼ばれたのが本当に衝撃的でしたね。「いつの時代だ!?戦国武将か!?」と思いました(笑)
先生はスタッフさんのこともおぬしと呼ぶ時があり、「おぬしは何秒で」とか、「おぬしはこういう隊列で…」とか、そんな感じで指示を出されていたりして、聞いていて面白いと思います。
——まなみ騎手だけおぬしと呼ばれるわけではないのですね。
そうなんです、小沢(大仁)くんや秋山稔樹さんも自厩舎に乗ってくださるんですけど、「(高橋先生に)おぬしって呼ばれたんだけど…」と言われて盛り上がったことがあります(笑)。本当に優しくて面白い先生です!
——研修に行く前に、競馬学校の先生からは高橋先生がどのような方だと伺われていたのでしょう?
私、担当教官が元ジョッキーの小林淳一先生だったんです。小林先生はジョッキー時代、高橋先生と同期なんですよね。小林先生からは「面白い人だよ」と聞いていたのですが、また違った意味で面白い方でした(笑)
——ペンネーム・スウィープフィートさんがおっしゃるように先生はビシっとスーツで決めているイメージがあります。
そうなんです、先生は競馬に来る時はスーツでオシャレなんです。似合うなぁと私も観ていて思うのですが、ファンの皆さんには先生の髪型、髪の色に注目していただきたいです。色が変わるんです。
——色が…変わる?
先生、気づいたら髪の色が変わるんです。青系になっていたり、紫色になったり、金髪になったり白系になったり、朝厩舎などに行ったら「あれ?髪の色が変わってる」と思うことがよくあるんです。なので競馬場で先生を見る時は髪の色に注目してほしいです!
今はこの昨年末のカネフラの表彰式のように銀に近いのですが、その前は青系で、その前は紫でした。先生、凄くオシャレなんです。
——競馬学校の研修の話になりましたが、こちら、1年生の研修は1月に行われるのでしょうか?
そうですね、ちょうど今1年生が栗東に来てますね。2年生になると9月から1年間、またトレセンで研修があります。
——この時は寮で暮らすのでしょうか、それとも高橋厩舎で寝泊まりされるのでしょうか?
競馬学校生は栗東だと、トレセンの調整ルームの中に競馬学校生エリアがあるので、そこで寝泊まりしますね。
——無事競馬学校を卒業され高橋厩舎所属としてデビューされたまなみ騎手ですが、これまで先生からかけられた中で、特に印象的な言葉はありますか?
先生は私のどのレースも見てくださっていて、焦っていたりするとすぐバレるんですが、「焦らず自分のペースでやりなさい」と言っていただけるんです。それを聞いて「焦っちゃダメだな」と思いとどまれる感じになります。細かいアドバイスもいただけて本当にありがたいです。
頼れる師匠・高橋康之調教師(中)
——"おぬし"以外で、先生と特に思い出に残っているエピソードがあればお聞きしたいです。
競馬学校生の時、毎週水曜の追い切りの後に「筋肉を付けるため」と言われていきなりステーキに連れていってもらっていました!もう毎週水曜必ずステーキで、いきなりステーキのカードもゴールドになりました(笑)
最近だと先生が調教終わりにスイーツをくださるんです。それがもういつも嬉しくて。先生がニヤニヤしながら持ってきてくれるんです(笑)。それを見て私もニヤニヤしながらありがとうございます!と言って受け取ってます。
——大変その画が想像できますが、食べ物の話が多いですね…。
そうなんです、私くいしん坊なので(笑)
——高橋先生といえば名門・池江泰郎厩舎で騎手デビューされた方ですが、昨年秋にコラムの取材をした際、まなみ騎手が「高橋先生からステイゴールドの話を聞きました」というお話をされていたことを思い出します。当時は後にとっておいたのですが、孫のトゥラヴェスーラ騎乗記念にぜひそのお話をお伺いしたいです。
先生はジョッキー時代に調教でステイゴールドに乗っていたと言っていました。色々とスゴい馬に乗られているのですが、「ステイゴールドはもう凄かった」とおっしゃっていましたね。
右左どちらかは忘れたのですが、ステイはずっと片側だけハミを噛んだまま走っていたという話も聞きましたし、立ち上がるとそこで後ろからムチを入れて次から立ち上がらないよう怒るのですが、ステイは怒られても屈せず立ち上がっていたという話を伺っています。苦にせず立ち上がって、凄く大変だったそうです。
現役時代池江泰郎厩舎に所属していたステイゴールド
——なんとなく想像できますが、調教から大変な馬だったのですね…。どうしますか、明日からステイゴールドのような馬の調教を任されることになったら…?
そうしたら冗談で女の子を出して「私には無理ですぅ♡」と言うかもしれません(笑)。普段使えないワードをそういう時に取っておこうかなと思います(笑)
——この話の流れは動画でやりたかったところですね(笑)。ステイゴールド以外の旧池江泰郎厩舎の管理馬の話にはなるのでしょうか?
聞きましたね。乗ってる馬がステイゴールドだったりディープインパクトの最初の頃だったりして、凄いなと。次元が違うと言いますか、そんな凄い馬に先生は乗られていたんだなと感じます。普段は「おぬし」と言う方ですが、凄い先生だなと思います。
——そんな先生の管理馬であるトゥラヴェスーラにとっては20回目の重賞挑戦となります。楽しみな一戦ですね。
凄く楽しみです。頑張ります!
"トゥラヴェくん"とまなみ騎手
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始5カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。