外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
前走勝利を挙げた馬たちと挑む週末!永島まなみ騎手が絶賛する実力派スプリンターとは!
2023/9/29(金)
今週末は計12鞍に騎乗!好相性のペイシャフラワーと昇級戦に挑む!
——先週はだいぶノドの状態が良くなかったですが、その後、風邪はいかがでしょうか?
だいぶ良くなりました!少し咳は残っていますが、声はオッサンから私に戻りました(笑)
——無事良化しているようで何よりです!まずは先週の振り返りからお願いします。土曜阪神12R・3歳上2勝クラスのサイモンザナドゥは素晴らしい脚を見せて2着でした。
しっかりした、凄くいい末脚を使ってくれました。直線で前の馬が少し外に出てくるロスがありましたが、昇級しても通用する力があると感じました。
——馬が進んでいかない感じに見えましたが、スタートで少し躓いた影響はありましたか。
スタートで躓きましたが、追い切りでもテンからのイメージがない馬で、道中噛み合うまで時間が掛かるタイプだと感じていました。なので前半進まなくても焦りはなかったですね。レースを分かってくれてる賢い子なんです。
——4コーナーで外に振られる不利も痛かったでしょうか?
直線を向く頃に大河(8着トゥルブレンシア)が外に出てくる格好をしていて、その後ろに古川さん(9着ペイシャオウユー)と私がいたんですが、たぶん外に出てくるだろうなと思っていました。回避しようがないとはいえ少しかわいそうな競馬になってしまいましたね。それでも直線最後伸びてくれて偉い子です。本当に頑張り屋さんです。
——土曜の阪神10R・北摂特別とトーホウフランゴは出遅れが響き15着でした。ゲートに課題が残る形になりました。
ゲートの中の駐立は最初は大丈夫だったんです。ただ周りの馬が暴れてしまった影響でスイッチが入ってしまって…。脚はしっかり使ってくれました(上がり3Fメンバー中3位タイの33.2)が、馬場も前が止まらない速い馬場でしたし、不向きな馬場もしんどかったかもしれません。
——今回もレース直前にゲート練習は行ったのでしょうか?
しましたね。以前はゲートに入ってすぐソワソワしていたのですが、練習の効果か最初はおとなしく待てるようになりました。ただ奇数(3枠5番)で先入れだったので、ゲートの中で待つ時間が長かった影響はありました。いいモノを持っている子なので、五分にゲートを出て競馬できればと思います。
——妹のエルプロフェッサーは土曜の阪神2R・2歳未勝利で4着でした。先週子どもっぽいところがあるとおっしゃっていましたが、確かに子どもっぽいようなところが見受けられました。
どうしてもゲートが開いたら幼稚園の運動会のように「ワーっ!」と言いながら行くような走りになってしまうんです。道中もフラフラ走ったりしていて、やはりまだ子どもっぽいところがありますね。
——それでも4着、成長すれば順番がやってきそうですね
力はあると思います。全然すぐ勝てる力はあると思います。今後が楽しみな1頭です。
——今週は土曜に5鞍、日曜に7鞍に騎乗されます。まずは土曜8R・3歳上2勝クラスのペイシャフラワーからお聞きします。
昇級戦ですが、本当にいつも真面目に走ってくれる子なんです。昇級戦のレースにどれだけ対応できるかが鍵ですが、馬はどんどん体が大きくなって成長してくれていますし、前からでも後ろからでも競馬できる器用なところがいいところなので、ペースが変わる昇級戦でも臨機応変に対応してくれるのではと思っています。
——3走前に阪神でスタートで少し後手に回っていましたが、ゲートは課題になりそうでしょうか?
元々ゲートは大丈夫なんです。3走前は少し出遅れて前がふさがり後手に回りましたが、真面目な子でゲートを出る気もあるので。
——優等生なのですね。
調教ではトレセンの角馬場でファンキーな動きを見せる馬なんですけどね(笑)。レースでは抜け出すと少しフワっとするところはありますが、それ以外はいつも一生懸命に走ってくれる子で、一番競馬で乗りやすいタイプです。
——日曜阪神6R・3歳上1勝クラスのウインエーデルも前走まなみ騎手で勝たれた馬です。休み明けの前走未勝利戦は完勝でしたね。
前走まなみ騎手を背に未勝利を突破したウインエーデル
前走は未勝利では力上位だと思っていましたし、自信を持って挑めたレースでした。今週の火曜の追い切りに乗せていただいた際にもう一段良くなっている印象を受けましたし、昇級戦ですが、このクラスでも通用してくれる馬だと思います。
——前走まなみ騎手で2着に食い込んだドリアードなど、骨っぽいメンバーですね。
そうですね、ドリアードや矢作厩舎のフェイトなどメンバーは強くなりそうですが、それでも対応してくれると思っています。広い阪神なら直線も長いですし、長くいい脚を使ってくれるので条件はいいと思います。
まなみ騎手が思う短距離馬に必要なモノ、そして自厩舎の"エース"との思い出
——今週は秋のG1シリーズ開幕戦のスプリンターズSということで、"短距離馬とは"というお題で話を進めていこうと思います。そもそも短距離馬の特徴はどのようなものなのでしょうか?
全体的にレースに乗せていただいた中で、気性が勝っているというか、調教から前向きにガンガン走る馬は大体短距離馬ですね。あとは体力面です。そんなに自分から進まないような馬でも、1800mで体力が持たない馬は1200mで最後いい脚を使ってくれることがあります。
——調教に乗って短距離馬かどうかある程度分かるのでしょうか?
分かりますね。デビューしてから色々な馬に乗せていただいて、こういう馬が短距離を走る馬なんだなと段々分かるようになってきました。
——トーホウフランゴはずっと短距離を使っていますが、こちらも調教から短距離っぽいのでしょうか?
新馬の時から調教で真面目にハミを噛むタイプだったんです。追い切りの動きからも1200、1400タイプだと思っていましたね。
——自厩舎である高橋康之厩舎にはオークスで3着に入ったドゥーラがいますが、乗った感覚は全然違うのでしょうか。
秋華賞を予定しているドゥーラ
あ、私、ドゥーラに一度も乗ったことがないんです!普段は原口さんという調教助手の方と(斎藤)新さんが乗られているので。私はドゥーラにニンジンをあげて撫でまわす担当です(笑)。本当に身体が柔らかい子で、担当の原口さんが馬房で装鞍しようとすると回し蹴りしようとするのですが、それ以外は本当にかわいい子です(笑)
——話を戻すと、まなみ騎手の初重賞挑戦となったアビエルトのCBC賞も短距離でした。よく"重賞の1200mは周りも速い"と言いますが、全然違うものなのでしょうか?
私が少し出遅れてしまったのもありますが、上のクラスに行けば行くほど全体のスピードは違いますね。未勝利などとは競馬の流れから全然違いますね。
——短距離に乗る時に気を付けていることはありますか。
絶対ゲートは決めてやろうという気持ちで乗っています。作戦として短距離でも中盤や後ろから行く馬はいますが、短距離は前に行ったほうが勝つ確率は高いと思いますし、いつも以上にゲートに気をつけて乗っています。
——自厩舎には高松宮記念で3着などの実績がある、トゥラヴェスーラという短距離の強豪がいます。まなみ騎手は何度も調教で騎乗していますが、どんな馬なのでしょうか?
トゥラヴェくんは凄いです、本当に。初めて追い切りに乗せていただいた時、オープン馬なので体の軸が凄かったことに衝撃を受けました。走っている時のブレがなくて、ドッシリしているんです。これが短距離で本当に走る馬なんだなと思うギアの入り方でした。脚の回転ももの凄いですし、促すとグっと沈んでスピードが上がるんです。感動しました…!
まなみ騎手が「本当に凄い」と絶賛するトゥラヴェスーラ
——感動するほど全然違うのですね…。
本当に全然違います。背中も本当に柔らかいですし、従順ですごく乗りやすくて、ゴーサインを出した時の弾け方なんかはロケットがパーンと飛んでいくような感じです(笑)本当にいい経験をさせていただきました。今まで乗せていただいた馬の中で、調教だとトゥラヴェくんが一番凄かったですね。
——まなみ騎手は短距離と長距離、どちらが好きなどはありますか?
どちらかというと短距離のほうが好きですね。中距離や長距離も好きですが、減量が一番生きる条件となると短距離だと感じています。ゲートを出てからのスピードの乗りが減量があると違うんですよね。今の私が一番減量を生かせるとなると短距離だと思います。
——今週もありがとうございました。今週は日曜の夜に凱旋門賞がありますが、自宅観戦の予定でしょうか?
来週は変則的なスケジュールで、月曜に調教があって、火曜が全休日なんです。なので月曜4時に調教が始まるので、21時くらいには寝て、凱旋門賞が始まる時だけ目覚ましをかけて起きて応援する予定です!
——凱旋門賞が終わって再度寝て、月曜は何時起きになるのでしょう?
2時起きです(笑)
——大変お疲れ様です…。また来週よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします!
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。