Part.1 生うまトークサミットに岩田騎手が再びやってきた!
2018/11/9(金)
岩田康誠騎手が名場面、名馬を語り尽くす!10月18日(木)、大阪ミナミのロフトプラスワンWESTにて行った競馬ラボイベント『生うまトークサミット』。ここでは動画未公開パート・岩田騎手出演シーンをテキストでお届け。3年ぶりG1制覇となった天皇賞(春)、種牡馬として今をときめくロードカナロアのエピソード、気になる時事問題など、ありとあらゆる話題に答えていただいた。
MC・水上学さん:それではお待たせしました。今日のゲストの岩田騎手、それから引き続きアンカツさんにご登場願いたいと思います。どうぞ!
一同:(拍手)
水:岩田さんには去年も出ていただきましたが、引き続き今年もよろしくお願いします。
岩田康誠騎手:よろしくお願いします。
水:去年は高田潤さんが大暴れしていきましたが。
岩:そうですね。エンターテイナーでしたね(笑)。
水:今日は岩田さんが主役ですから、存分にお話いただこうかと思っています。岩田さんは本当にお顔がコンパクトでいらっしゃりますね。
岩:ハハハ、そうですかね?
水:ジョッキーなので、スタイルが良いのは当然だと思うんですけど、本当にシュッとされていて、減量はあまり苦労なさらない感じですか。
岩:44歳になって、最近体重はちょっと増えていますね。減量のためにサウナ地獄ですよ。
水:アンカツさんの現役時代は大変でしたか。
安藤勝己元騎手:減量は大変でしたね。ほとんど風呂ばっかり入っていた。(お酒を)飲んでいるか、風呂に入っているか、ハハハ。
水:飲んでアルコールを出して、飲んで風呂に入って、そして引退されたらこうやってタガが外れてこうなったんですね。
安:あっという間に大きくなった、ハハハ。
水:やっぱり引退すると身体にも出てきますか。
安:現役時代は毎年、免許試験の時に身体検査があるんですけど、全く悪くなくて。辞めた途端に肝臓の数値が上がるし、医者には「とにかく痩せろ」と言われましたね。「運動しないんだったら、食べるな」と。
▲7月30日の札幌競馬で骨折も約1ヶ月で戦列復帰した岩田騎手
水:岩田さんは現役なので、ケガとの戦いがもちろんあるんですけど、今、体でどこか気になっているところはあるのですか。
岩:健康ですね。この間、(札幌競馬で)骨が折れたくらいですね。
水:サラッとおっしゃることが、ジョッキーの方はいつもすごいなと思うんですけどね~。
岩:あれはメチャクチャ痛かったです。ゲートと馬の間にぶつかって、そのまま乗ってきたんですけど、厩務員さんには「脚が折れた!」とすぐに言っていましたからね。
水:やった時に、これは…と思ったのですか。
岩:痛みがそんな痛みだったので。
水:ジョッキーの方はそういうケガが付き物とは言え、本当に頭が下がるお仕事だなと思いますけど、今日は前半で今年の岩田騎手の色々なご活躍の振り返り等々をしつつ、後半では色んな話題、質問等も含めまして、テーマトークをしていきたいと思います。まずは今年の岩田ジョッキーの振り返りはこの話題だと思いますが、レインボーラインでの天皇賞(春)制覇ということが挙がってくると思います。レインボーラインで栄光と悲しみの両方を味わってしまったレースですけど、岩田さん、このレースでは事前に何か作戦は立てていらっしゃったのですか。
岩:作戦というよりも、後ろからの馬なので、上手いことインで我慢してレースをしようかという意識はずっとありました。
水:なるべく距離のロスを防ぎながら、ということですね。レース前でもレース中でも良いんですけど、この馬をマークしていこうかなというのはあったのですか。
岩:いや、最初の前半は本当に馬のリズムを大切にしてレースをしました。
水:アンカツさんは、この天皇賞(春)のレインボーラインは当然位置取りとして後ろから行くことになるだろうということは分かっていらっしゃったと思うんですけど、レースはどのような感じで観ていらっしゃったのですか?
安:やっぱり岩田の得意なパターンだなと思って。
水:インにこだわってということですね。この時はシュヴァルグランが人気を集めていて、当然シュヴァルグランが自分より前で競馬をするだろうということは分かっていらっしゃったのでしょうけど、その点はある程度シュヴァルグランの位置を頭に入れながら、ということだったのですか。
岩:距離を図りながら、ということではなく、本当にこの馬の自分のペースを守ってレースが出来たなと思いますね。
水:ヤマカツライデンが大逃げ気味に引っ張っていましたが、ペースはどう感じていましたか。
岩:中盤くらいはそこまで速くなかったので、動いた馬もいましたし、それを放っておいて自分の形に持ち込んで。
水:手綱を緩めたら、ブーンと行ってしまいそうな素晴らしい手応えになっていますけど、これは良いところに来るなという感じというのは、この辺り(2周目の向正面)ではけっこうありましたか。
岩:まだなかったですね。ちょっと自分から動いてくれなかったので。
岩田「思わず内に入りましたね。もう内にねじ込んだ時点で手応えもありましたし、まだ走る気だったので、本当に最後まで諦めないで追った結果、勝てたと思います」
安藤「シュヴァルグランは勝ちに行っているから、あそこでもう一つ溜めていたら勝っていたよね。あそこで動く必要はなかったね。ただ、岩田が上手く乗り過ぎたということだね」
水:3コーナーの下りで、この京都の3200をどうやって乗り切るかという一つのポイントですけど、ジッと我慢されていましたね。
岩:はい。外を回るような王道なレースは出来ないので。
水:直線では前がどうなるかという、スペースのことはどう考えていましたか。
岩:考えたんですけど、思わず内に入りましたね。もう内にねじ込んだ時点で手応えもありましたし、まだ走る気だったので、本当に最後まで諦めないで追った結果、勝てたと思います。
水:あとはひたすら追いまくるということでしたね。ゴール後は、残念なことになってしまうのですが、異変というのはどの辺りで感じられましたか?
岩:もう最後の一完歩でガタッとなったので、アッと思ったんですけどね。それですぐに止めにかかって、やっぱり歩様が乱れてしまったんですけどね。
水:レインボーラインは命を取り留めて、競走生活はここで終わってしまいました。敢えての質問ですが、勝ったという嬉しさを味わう間もなく、こういうことになったということは、岩田さんの中ではいかがでしたか。
岩:初めてですし、馬と一緒に帰って、鞍を外したかったんですけど、それも出来ず…。寂しかったですよね。口取り撮影の時も馬がいなかったので、初めてのことでしたね。
水:この時はまだどれくらいのケガか分からない状況での表彰式だった訳が、競走生活は残念ながら終わってしまいましたけど、命に別条がなかったということは、不幸中の幸いだったなというところですね。もしレインボーラインが無事だったら、秋のG1戦線がさらにおもしろくなっていたと思うので、本当に残念だったのですが、このレースに勝ったということは、岩田さんの中で手応えとか、そういうものは後で込み上げてきましたか。
▲笑顔なき表彰式になった天皇賞(春)
※レインボーラインは優駿スタリオンステーションにスタッドイン 来年から種牡馬となる
岩:そうですね。(G1制覇が)3年振りだったので嬉しかったんですけど、やっぱり本当に複雑で、馬のことしか考えていなかったですね。
水:アンカツさん、レインボーラインが岩田さんで、シュヴァルグランが大魔神・佐々木さんで、このイベントでも何回も登場していただいていましたから、正直どっちを応援していましたか。
安:シュヴァルグラン(場内からは笑い)。だけど、正直やっぱり力はシュヴァルグランの方が上ですよ。3コーナーで動いた時に、結果論ですけど、向こうは勝ちに行っているから、あそこでもう一つ溜めていたら勝っていたよね。あそこで動く必要はなかったね。
水:ボウマンジョッキーは早く動くというのがパターンだったんですけどね。
安:ただ、岩田が上手く乗り過ぎたということだね。
岩:多分、外に持ち出していたら負けていたと思いますよ。
水:そこがやっぱり岩田さんのすごいところかなと思いますけどね。ちょっとほろ苦いというか、その辺は表裏一体になってしまった天皇賞(春)でしたけど、逆にみなさんの脳裏には、この天皇賞(春)というのはずっと残り続けると思うので、レインボーラインのことを忘れずに思い出していただければ思います。