当週から札幌2歳S小倉2歳Sまでは中2週となり、夏の2歳Sを狙う馬は、このあたりでデビュー勝ちしておかないとローテーションが厳しくなる。それもあってか、特に札幌に好メンバーが集まった。

 札幌2歳Sと同じ芝1800m戦の新馬戦には良血馬がズラリ。エリザベス女王杯、札幌記念の勝ち馬を母に持つダノンエール(牡2、栗東・安田隆、父ハービンジャー、母フサイチパンドラ)は、1週前調教でG1連対馬のレッドオーヴァルと併せ馬。このあたりにも厩舎の期待が窺える。「骨格がしっかりして馬格に恵まれている。素直な性格で乗りやすく、洋芝のようなパワーのいる馬場は合っていそう」と語るのは安田助手。

同じくハービンジャーを父に持つ良血馬がアラバスター(牡2、栗東・松田博厩舎)は、阪神ジュベナイルF勝ち馬レーヴディソールの初仔となる。早くからノーザンFで評判になり、「来年2月に引退する松田博資調教師にG1(朝日杯FS)を」と、気合が入っている馬だ。ただ調教は平凡で、一部では厳しい評価も出ている。それでも陣営は心配していない。「大人しくて扱いやすい。まだ目立った動きこそ見せてないが、実戦の芝に行けば変わってくると思う」とは松田博師のコメントだ。父は洋芝で産駒が活躍しているハービンジャー、母は札幌でデビュー勝ち。血統の強さで初戦突破なるか。

アラバスター
牡、栗東・松田博、ハービンジャー×レーヴディソール
POGシメイ

先読みPOG

▲母ゆずりの芦毛の馬体が特徴的なアラバスター


 この1800m戦か牝馬限定1500m戦か、2つのプランが挙がっていたのがチェッキーノ(牝2、美浦・藤沢和厩舎)。毎度お馴染みPOGで人気の血統だ。全兄のコディーノはデビュー前に函館のウッドで驚異の調教を披露し、札幌の新馬を高速ラップで快勝。その後札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳Sと連勝している。
ただトレクァルティスタカービングパスら兄妹は期待ほどの結果を残せていない。そのためかチェッキーノへの期待は、牧場も厩舎もどこか控えめ。調教では軽快な動きを見せていたが、スタートを含めまだまだ不安なところも多いようだ。そんな状況でも、きょうだい5頭のうち4頭が新馬戦で勝利していることを考えると、チェッキーノも初戦から結果を出したい。

 牝馬限定の1500m戦にはサトノサンシャイン(牝2、栗東・安田隆厩舎)も予定しているが、こちらもオープン馬のノーブルジュエリーら兄姉4頭中3頭がデビュー勝ち。唯一勝てなかったノーブルプラネットも2戦目で勝ち上がった仕上り早の一族だ。
「オンとオフの切り替えがいきなりトップギアに入ってしまうようなところがあるが、軽さがあっていい走りをする。体は小さいがストライドが大きい」と安田助手。 この馬もダノンエールとともにレッドオーヴァルと併せ馬を行ったが、動きはダノンエールよりも良かった。兄姉同様新馬勝ちの可能性は高い。

チェッキーノ
牝、美浦・藤沢和、キングカメハメハ×ハッピーパス
POGシメイ

サトノサンシャイン
牝、栗東・安田隆、ステイゴールド×ノーブルステラ
POGシメイ

先読みPOG

▲コディーノ全妹チェッキーノは札幌競馬場で調整されてきた


 札幌の話題ばかりになってしまったが、新潟ではマイル戦に社台の評判牝馬サプルマインド(牝2、栗東・藤原英厩舎)が出走。小柄な牝馬ということもあり、1週前調教もCW5F72秒台と緩めだが、終いは抑えたまま11秒9を出し、切れそうなイメージ。夏の藤原英厩舎なので、初戦から勝ち切るような仕上げとなるかは微妙だが、素質はしっかり見せてくれるのでは。

 同レース出走予定馬で調教が目立つのはカープストリーマー(牡2、栗東・清水久厩舎)。CWで6F84秒4-67秒6-12秒3を軽くマークしている。清水久厩舎は昨年も早い時期からワキノヒビキ、クールホタルビら活躍馬を出し、クラシックにはキタサンブラックを送り込んだ注目厩舎。血統は地味でも舐めてはいけない。

 ダートで注目は、新潟のダート1800m戦に出走予定のクレマンダルザス(牡2、栗東・松永幹厩舎。母系はドゥラメンテを出したエアグルーヴ一族だが、この馬の母はダートでデビューから2連勝しており、この馬もダートからスタート。坂路でもいい動きをしており、初戦から好勝負は必至だ。迎え撃つ関東馬は、スパークルライト(牡2、美浦・小西、父クロフネ、母メガクライト)が代表か。こちらも母はダートで3連勝したメガクライトで血統背景は負けていない。調教も重い美浦坂路で55秒3―13秒3なら合格点だ。

サプルマインド
牝、栗東・藤原英、ディープインパクト×シリアスアティテュード
POGシメイ

カープストリーマー
牡、栗東・清水久、ダイワメジャー×キッズトゥデイ
POGシメイ

先読みPOG

▲戸崎騎手とのコンビでデビューするサプルマインド


 最後はいつもの新規入厩組の注目馬。先週は牝馬の良血馬が目についた。
フライングレディ(牝、栗東・須貝尚)は、母がNHKマイルC勝ち馬。国枝厩舎の馬だったので、仔が須貝厩舎に入ることに違和感もあるが、一方の厩舎に馬を偏らせない金子真人氏の配慮か。国枝厩舎には大評判馬のプロディガルサンを入れているので、それも仕方ない。エルビッシュ(牝2、栗東・角居、父キングカメハメハ、母シーズオールエルティッシュ)は、上がエルノルテアドマイヤオウジャアドマイヤロワと全てPOGで人気になったお馴染みの一族。ここまで目立った結果は出していないが、そろそろ当たりが欲しいところ。シャリオドール(牝、美浦・戸田、父ヴィクトワールピサ、母サプレザ)は、母がイギリスのマイルG1サンチャリオットSを3年連続勝利した名牝。マイルCSにも出走し、3年連続で掲示板に載ったので、覚えている人も多かろう。日本の競馬で実績を残しているのは安心材料だ。

フライングレディ
牝、栗東・須貝尚、父ディープインパクト、母ピンクカメオ
POGシメイ