ダービーが終われば、2歳戦が開幕。すなわち新世代のPOGのスタートである。皆さんは欲しかった馬を取れただろうか?

開幕週の新馬戦の目玉は、東西それぞれのマイル戦。過去5年で、阪神開幕週の新馬戦からはレッドリヴェール、ケイアイノーテックと後のGⅠ馬が2頭勝ち上がり。東京開幕週のマイル戦は、皐月賞馬イスラボニータ、ロードクエスト、ステルヴィオと3頭の勝ち馬がPOG期間内に重賞を制している。今年も、開幕週マイルの新馬戦を勝ったら重賞制覇に王手か?

6月2日(土)
◆阪神芝1600m

イニティウム(牡2、ハーツクライ×ゴールデンドックエー、栗東・須貝尚厩舎)
半兄に重賞2勝のアルバートドック、現4勝のリライアブルエースがいる。1週前調教(以降も調教は主に1週前のもの)は、坂路54秒7-12秒8(一杯)。全体時計を考えると、もう少し終い1Fに速い時計を出してほしかったが、2週前の坂路52秒6-12秒8は合格点の内容で上々の調整具合だ。須貝厩舎は、レッドリヴェールで開幕週の阪神マイル新馬戦を勝ち、その後GⅠ勝ちに繋げている。この馬もそれに倣いたい。鞍上はデムーロ騎手。

ジャミールフエルテ(牡2、オルフェーヴル×プリティカリーナ、栗東・大久龍厩舎)
半兄に、競走中止を挟んで4連勝のアンタラジー、5戦2勝2着3回の素質馬エクレアスパークルがおり、POGでは人気の一族。セレクトセールでは、アンタラジー所有の池谷氏が積極的に競っていたので元より評判も高かったのだろうが、1億800万円(税込)で、最後はKTレーシングが落札している。調教ではCWで6F80秒、5F65秒と新馬としてはかなり速い時計。上は体質や脚の弱い馬が多く、この時期にこれだけ強い調教をできることは評価したい。鞍上はルメール騎手。

シトラスノート(牝2、ロードカナロア×エピセアローム、栗東・石坂正厩舎)
母はセントウルSなど重賞2勝。小倉2歳Sも勝っており、POG向きの血統だ。調教は坂路54秒5-13秒4と平凡だが、石坂厩舎は他の厩舎に比べて派手な時計は出さないので、それほど心配しなくてもいいかもしれない。鞍上は川田騎手。

◆東京芝1600m(牝馬限定戦)

クイーンズテイスト(牝2、キングカメハメハ×セコンドピアット、美浦・菊沢厩舎)
「気性的なコントロールが課題だが、素質があって楽しみな1頭。マイルから中距離までこなせると思う」と菊沢師。鞍上は横山典騎手。調教は美浦ウッド70秒後半で、上がりは13秒。一杯に追ったわけではないので、時計はまだまだ詰められる。半姉にアルテミスS、フェアリーSで入着したトロワゼトワルがおり、2歳戦から走れる下地はある。

ウインゼノビア(牝2、スクリーンヒーロー×ゴジップクイーン、美浦・青木厩舎)
近親にエリザベス女王杯の覇者クィーンスプマンテがいる。美浦ウッドで5F67秒前半の時計を楽にマーク。終いも12秒半ばで締めており、初戦から楽しみだ。

ジョディー(牝2、ダイワメジャー×ミスティークⅡ、美浦・戸田厩舎)
半姉に2戦2勝のレーツェルがいる。芝で5F65秒台、終いは12秒と水準の時計は出ている。姉は夏(福島)の新馬戦でデビュー勝ち。こちらも早期デビューで姉に続きたい。

6月3日(日)
◆阪神芝1400m

グレートバニヤン(牡2、ダイワメジャー×フェアリーバニヤン、栗東・牧田厩舎)
「兄のロンドンタウン(コリアCなど重賞3勝)はダートだが、父が替わって芝でも走れそう。前向きでマイル前後の距離向きでは」と牧田師。鞍上は松若騎手。CWで6F82秒台、5F67秒、上がり12秒半と長めからやって崩れないあたりに非凡なものを感じさせる。

アンラッシュ(牝2、ノヴェリスト×キュンティア、栗東・橋口慎厩舎)
母は阪神3歳牝馬S(現阪神JF)2着、半姉はファンタジーS勝ちのオディール。坂路で一杯に追われ併せて遅れたが、52秒6-12秒6と時計は水準のものが出ている。

シングルアップ(牡2、キンシャサノキセキ×ラフアップ、栗東・寺島厩舎)
近親に重賞2勝のメイショウナルト、デビューから4連勝のエピカリスがいる。CWで6F81秒台の速い時計を出し、終いも12秒前半の時計で締め、上々の仕上がりだ。デビュー戦から好勝負を期待。

◆東京芝1600m

グランアレグリア(牝2、ディープインパクト×タピッツフライ、美浦・藤沢和厩舎)
「スピードがあってフットワークが凄くいい。乗り込み量は豊富にやって仕上がっているので初戦から楽しみ」と津曲助手。鞍上はルメール騎手を予定。母は北米でGⅠを2勝。藤沢和厩舎なので時計は目立たないが、坂路、ウッドともに馬ナリで上がり12秒台をマークしており、仕上がりは順調だ。

ゴールデンウェル(牡2、スクリーンヒーロー×ギャラリートーク、美浦・奥村武厩舎)
半兄はフィールドシャイン(5勝)。美浦ウッドで4F54秒台、上がり13秒前半で併せた馬に遅れと調教は地味。レースまで1週間あるので、変わり身を期待。

◆東京芝1400m

ダノンファンタジー(牝2、ディープインパクト×ライフフォーセール、栗東・中内田厩舎)
セレクトセール9720万円(税込)、半姉に未勝利戦を強い内容で勝ったロクセラーナがいる。坂路52秒5-12秒1の時計から、初戦から好勝負必至。生産牧場は違うが、ダノンプレミアムと同じダノックス-中内田ラインで、先々まで注目の1頭だ。

ヘヴンズコーヴ(牡2、ドリームジャーニー×パラダイスコーブ、美浦・奥村武厩舎)
祖母は北米のGⅠ勝ち馬。調教はそれほど目立たないが、ルメール騎手を確保したことから、期待の高さが窺える。

◆新規入厩情報

サトノバリオス(牡2、ディープインパクト×ヒアトゥウィン、栗東・池江寿厩舎)
全姉はフローラSを勝ったサトノワルキューレ。姉以上の器と評判。

ダノンチェイサー(牡2、ディープインパクト×サミター、栗東・池江寿厩舎)
セレクトセール2億7000万円(税込)。母はアイルランド1000ギニー勝ち馬で、北米でもGⅠを勝っている。活躍馬を多く輩出しているノーザンF空港牧場R厩舎出身も魅力。

ホウオウライジン(牡2、ハーツクライ×ガールオンファイア、栗東・矢作厩舎)
これまでもセレクトセールに参加していた小笹氏(ホウオウ)だが、昨年から億超えの馬を複数購入し、格高度がアップ。この馬も2億円近い高額馬だ。ダービー馬のレイデオロとはいとこになる。

フランクリン(牡2、ディープインパクト×ロベルタ、栗東・音無厩舎)
全兄のフランツは、アルメリア賞を好時計で勝ち評価を上げたが、体質が弱くダービー出走に繋げられなかった。こちらは兄よりも一回り大きく、この時期に入厩できたことから兄以上に期待したい。

アドマイヤビーナス(牝2、オルフェーヴル×ウィーミスフランキー、栗東・須貝厩舎)
上のザウォルドルフ、ダノンチェリーはPOGで人気も結果を残せず。3度目の正直ならぬ、3頭目の正直で、今度こそ。

シェーングランツ(牝2、ディープインパクト×スタセリタ、美浦・藤沢和厩舎)
半姉はオークス馬ソウルスターリング。父がフランケルからディープインパクトに変わり、より日本向きになるか。

フィリアーノ(牡2、ルーラーシップ×パシフィックギャル、美浦・手塚厩舎)
母は2歳重賞から活躍。母の弟は、今年の共同通信杯2着のサトノソルタス。

ラストヌードル(牡2、オルフェーヴル×リュヌドール、美浦・手塚厩舎)
上のルヴォワール、フィエールマンは、ともにデビューから2連勝。特にフィエールマンは、秋が期待される大器だ。その上2頭はともに体質が弱く、デビューも遅かった。それだけに、この時期に入厩できたことは大きい。

ロードオヒア(牡2、キングカメハメハ×レディブラッサム、栗東・安田翔厩舎)
全兄は世界的マイラーでありスプリンターのロードカナロア。

キタノインパクト(牡2、ディープインパクト×ボンバルリーナ、美浦・藤沢和厩舎)
キタノコマンドール同様、北野武氏命名で話題。

トーセンカンビーナ(牡2、ディープインパクト×カンビーナ、栗東・角居厩舎)
セレクトセール2億4840万円(税込)。母はアメリカンオークス(GⅠ勝ち馬)。社台F-島川氏-角居厩舎のラインは、セレクトセールの高馬ヴァンキッシュラン(青葉賞)の成功例もある。