新馬戦は今開催で終了となるが、芝のレースは開幕週の阪神2000m戦と中山芝1800m戦が最後。そのため芝のレースにこだわる馬は、今週の芝のレースを除外になったり、仕上げが間に合わなかったりすると、芝の未勝利戦でデビューという選択も出てくる。残りの3週が、全てダート戦というバランスの悪い番組をどうして作るのだろうか…。

こんな背景があるから、今週の芝のレースは勝負気配の高い馬が多いはず。まず阪神芝2000m戦は、香港G1を制したエイシンヒカリの全妹になるエイシンティンクル(牝3、栗東・坂口則厩舎)に注目が集まっている。
「除外も想定内で調整は順調。体を大きく使った走りをするし、距離もあって良さそう。血統的にも期待している」と坂口則師。
牝馬ながら500キロを超える大型馬で仕上がりが心配になるが、早くから速い時計を出し2週前には坂路で51秒7、1週前はCWで6F84秒4、5F68秒1を馬なりでマーク(以降、調教時計は主に1週前)し、順調に馬はできてきている。初戦の内容次第では、オークスへの期待も高まる。

ブレッシングテレサ(牝3、栗東・梅田智厩舎)は、先週の小倉を除外。そのぶんもあって調教量は豊富で、2週前にはCWで上がり1F12.2秒、1週前には坂路で54.4秒-12.2秒と終いに速い時計を、余裕を持ってマークしている。
「動きはいいし、さすが血統馬という感じ。奥手の血筋でこれから良くなりそうだが、やはりいいモノを持っている」と梅田智師。
半兄には豪州G1コーフィールドC勝ち馬のアドマイヤラクティがおり、この馬もオークスを見据える。

血統ならラヴェラータ(牝3、栗東・友道厩舎)も負けていない。ディープインパクト一族の一頭で、兄にはリルダヴァルヴォルシェーブがいる。2週前までは上がりがかかっていたが、1週前はCWを12.2秒で締めており、仕上がりは進んできている。

阪神のもう一つの新馬戦はダート1400m。こちらはシルヴァーバレット(牡3、栗東・五十嵐厩舎)。一族にはG1馬のアドマイヤムーンヒシアマゾン、兄姉はアミカブルナンバーニードルポイントアイアムマリリンと重賞出走経験馬が3頭いる。坂路全体時計は55.9秒も、上がりが12.4秒(一杯)なら合格点。

シルヴァーバレット

ヒシアマゾンの孫・シルヴァーバレットが初陣を迎える


キセキノツヅキ(牡3、栗東・飯田祐厩舎)は、母が新馬勝ちのアグネスヴァーチ、母の妹に無敗の3連勝でフィリーズレビューを勝ったムーヴオブサンデーがおり早熟性の高い一族。調教は平凡だが、血統的に初戦から期待。

中山は当然芝1800m戦がメイン。先週除外になったシークザフューチャ(牝3、美浦・堀厩舎)は血統こそ地味だが、堀厩舎というだけで侮れない。ウッド調教では69.9秒-12.5秒と、この厩舎の新馬にしては上がりが速く、素質は高そうだ。なお阪神芝2000m戦も視野に入れている。

ヌーヴェルダンス(牡3、美浦・木村厩舎)も兄姉はタイセイシュバリエ(1600万)が目立つ程度だが、調教の動きから期待される一頭だ。

レッドイグニス(牡3、美浦・鹿戸雄厩舎)は、すみれS勝ちのロッカヴェラーノをはじめ、アウトオブシャドウロッカフェスタと兄に重賞出走経験馬が並ぶ。坂路で55.9秒-13.4秒と時計は遅いように思えるが、時計のかかる時間帯を馬なりで13秒台で上がれれば良し。

マイネルラディカル(牡3、美浦・国枝厩舎)は、厩舎所縁の血統。母のマイネカンナは福島牝馬Sに勝ち、その兄マイネルキッツは春の天皇賞を制している。初戦からというイメージは無いが、叩いて良くなっていきそうな雰囲気だ。

中山ダート1200m戦は、ダイワトラスト(牡3、美浦・池上和厩舎)。祖母にオークス馬スマイルトゥモローがいる。
「稽古は楽な手応えで動けているし、水準以上。スタートも速いので短い距離で良さそう」と池上和師。ウッドで69.5秒-13.2秒も、外目をまわっているので水準の動きは見せている。

イグナイトマインド(牡3、美浦・尾形充厩舎)は、母の兄にマイラーズCなど重賞を3勝したコンゴウリキシオーがいる。美浦坂路で2週連続で12秒台で上がっており、初戦から行ける。

新規入厩組で目立つのは、トーホウリリー(牝3、栗東・高橋亮厩舎)。半兄に菊花賞馬トーホウジャッカル、半姉にCBC賞勝ち馬トーホウアマポーラがいる。デビューは遅くなってしまったが、活躍した上の2頭はともに晩成色が強く、この馬も徐々に力をつけていくタイプであろう。長い目で見たい。