POG1番人気のプロディガルサン(牡、美浦・国枝、父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー、美浦・国枝)がデビュー勝ち。時計、上がりはともに平凡だったが、直線では手前をかえず、フラフラしてフォームも安定しないなど、心身ともに成長途上ながら勝てたのは素質の証。全兄リアルスティールの新馬が強いレースぶりだったので、期待していたPOGファンは拍子抜けした内容かもしれないが、この時期にデビューでき、勝利を収めたことは後に大きい効果があると思う。恐らくこの後は休養と思われるが、秋になって大きく成長した姿を楽しみにしたい。

先読みPOG

▲初陣を辛くも飾ったプロディガルサン


さて、新馬戦が始まって3週が終了。目立った馬は関東馬が多かったが、今週は関西がメインとなりそう。例年、宝塚記念当週に行われる芝1800m戦は好メンバーが揃うが、今年も楽しみな馬が出てくる。

目玉は何と言ってもポルトフォイユ(牡、栗東・高野、父ディープインパクト、母ポルトフィーノ)だ。6月10日、14日、17日と坂路の時計は全て終い12秒台でまとめており、調教の動きなら同時期の全兄(ポルトドートウィユ)を上回る内容。その兄は初戦で2着に負けてしまったが、兄のほうは1着デビューを飾れる可能性が高い。

G1馬レッドリヴェールの半弟レッドヴェルサス(牡、栗東・須貝尚、父スウィフトカレント、母ディソサード)は、デムーロ騎手が騎乗し、CWで6F82秒8-68秒3-12秒7をマークし、動きは悪くない。姉同様早くからの活躍が期待できるだろう。

不安なのはヒットザターゲットの全弟ゴールドラッシュ(牡、栗東・池江寿、父キングカメハメハ、母ラティール)。川田騎手が騎乗したCWでの調教は、5F73秒1-13秒2(一杯)で、併せた馬に3馬身程度の遅れ。先週に続いて動きが悪く、残り1週でどこまで変わるか。この動きに、陣営はデビューを延期することも検討している。もし出走してきても、現状では厳しい戦いを強いられそうだ。

先読みPOG

一週前追い切りを行うポルトフォイユ(上)とレッドヴェルサス(下)


先読みPOG

ポルトフォイユ
牡、栗東・高野、ディープインパクト×ポルトフィーノ
POGシメイ

レッドヴェルサス
牡、栗東・須貝尚、スウィフトカレント×ディソサード
POGシメイ

東京では、マイル戦に出走予定のアストラエンブレム(牡、美浦・小島茂、父ダイワメジャー、母ブラックエンブレム)が主役。1週前はウッド4F55秒1-12秒7の時計をマークし、3頭併せで先着。小島茂厩舎の調教は4Fからが主なので軽く見えるが、追う毎に内目から外目へと通るコースを変え、徐々に負荷を高めており、それでいて上がり13秒を切ってきたあたりに変わり身が見られる。
同厩で新馬を圧勝したロードクエストは、直前ウッドで内目を通って4F54秒0-13秒1。これと比較しても初戦を勝つだけの準備は整っている。兄の2頭テスタメントブライトエンブレムは、ともに新馬戦を快勝。この馬も負けられない。

東京芝1800戦は、有力馬が並ぶ国枝厩舎がテオドール(牡、美浦・国枝、父ハービンジャー、母アンブロワーズ)を送り込んできた。調教はウッドで4F55秒台。2週前に6Fから68秒台を出したが、終いは13秒後半とかかっており、動きは地味。母は函館2歳S勝ち馬で、半姉のコナブリュワーズも短距離を得意としていた。仕上がりもそうだが、1800mという距離にも些か不安がある。

同じレースに出走予定のキングドラゴン(牡、美浦・藤沢和、父シンボリクリスエス、母グランパドドゥ)も現状はそれほど目立ったイメージはなく、東京芝1800m戦は波乱の決着もあるかもしれない。

アストラエンブレム
牡、美浦・小島茂、ダイワメジャー×ブラックエンブレム
POGシメイ

先読みPOG

▲兄ブライトエンブレムに続く活躍が期待されるアストラエンブレム


2週目となる函館は、牝馬限定の1200m戦にアッラサルーテ(牝、美浦・手塚、父ダイワメジャー、母ラタフィア)が予定。調教を始めたころは時計が出ず心配したが、ここへ来て少しずつ良くなってきた感がある。1週前の函館芝コースでは66秒8-12秒3(馬ナリ)で、同厩の評判馬で新馬勝ちを飾ったオデュッセウスと併入。全姉のエピセアロームは小倉2歳Sを勝ったように、この馬も2歳戦から活躍したい。

同レース出走予定のヤマカツサファイヤ(牝、栗東・池添兼、父マンハッタンカフェ、母ヤマカツマリリン)は、函館芝コース63秒台と速い時計を出してきた。母のヤマカツマリリンはオープンで活躍し、初仔のヤマカツエースは今年のニュージーランドT勝ち馬。1週前の段階ではヤマカツサファイアのほうが優勢か。

牡馬混合の1200m戦はロゴタイプの全弟ナイトインブラック(牡、美浦・田中剛、父ローエングリン、母ステレオタイプ)が話題の主。先週までは調教が平凡だったが、函館に入っての1本目は、ウッド70秒9-12秒9と時計は目立たないものの、併せた馬に先着した。兄のロゴタイプは新馬勝ちこそしたとはいえ、当時の時計は平凡で、本格化したのは秋になってから。この馬も使って良くなるタイプかもしれない。

アッラサルーテ
牝、美浦・手塚、ダイワメジャー×ラタフィア
POGシメイ

新規入厩組に目を移そう。ここ1週間くらいで続々評判馬、良血馬が入厩してきた。ざーっと挙げていくと、

エピファネイアの半弟リオンディーズ(牡、栗東・角居、父キングカメハメハ、母シーザリオ)
桜花賞馬の仔カイザーバル(牝、栗東・角居、父エンパイアメーカー、母ダンスインザムード)
ダノンプラチナの全妹リボンフラワー(牝、栗東・池江寿、父ディープインパクト、母バディーラ)
ラストインパクトの半妹イリデッセンス(牝、栗東・佐々晶、父ダイワメジャー、母スペリオルパール)
金子真人HDの2頭マウントロブソン(牡、美浦・堀、父ディープインパクト、母ミスパスカリ)
イモータル(牡、栗東・須貝尚、父マンハッタンカフェ、母ショアー)
ゴスホークケンの半妹アウェイク(牝、美浦・斎藤誠、父ディープインパクト、母オールザウェイベイビー)
ナカヤマフェスタの全妹オールプリュネル(牝、美浦・二ノ宮、父ステイゴールド、母ディアウインク)
サプルマインド(牝、栗東・藤原英、父ディープインパクト、母シリアスアティテュード)
パーシーズベスト(牝、栗東・石坂、父ディープインパクト、母パーシステントリー)。

昨年から2歳重賞が増えたこともあるが、有力馬の始動が全体的に早くなっているのが、この流れからも分かる。

すでに入厩している馬達も順調に進んでおり、藤原英厩舎のシルバーステート(牡、栗東・藤原英、父ディープインパクト、母シルヴァースカヤ)は、CWで軽く終い11秒台をマークしていた。全兄のオリハルコンもエラく評判だった割に成績が伸び悩んだが、今度こそ本物となるか。少なくとも調教の動きは、同時期の兄を遥かに超えているのは間違いない。調教をつけた福永騎手も高い評価を与えており、デビュー戦が楽しみである。

シルバーステート
牡、栗東・藤原英、ディープインパクト×シルヴァースカヤ
POGシメイ