圧巻のデビュー戦 そして、除外で仕切り直しの馬は必勝ムード!
2015/6/29(月)
新馬のインパクトとしては、プロディガルサンの上を行ったのが日曜日のポルトフォイユ(牡、栗東・高野厩舎)。逃げ馬が飛ばしたうえに、良馬場にしては重い馬場と差が開きやすい要因はあったものの、2着に4馬身、3着に9馬身つけての圧勝劇は予想を遥かに超える勝ちっぷり。兄のポルトドートウィユはPOG期間内に重賞を勝つことはできなかったが、こちらは重賞どころかG1も望めるはずだ。
▲宝塚記念デーに鮮烈なデビュー勝ちを飾ったポルトフォイユ
函館土曜日の芝1200m戦も評価したい一戦。メンバーも良かったが、勝ちタイムの1分10秒5も馬場を考えれば上々。勝ったブランボヌール(牝、栗東・中竹厩舎)は函館2歳Sが有力なのはもちろん、少差2着のメジェルダ(牝、栗東・昆厩舎)、少し離されたが、血統から変わり身見込める3着のアッラサルーテ(牝、美浦・手塚厩舎)まで覚えておきたい。
さて今週から中京と福島開催が開幕。目玉と見ていたのはリーチザハイツ(牡、栗東・松田博、父ディープインパクト、母ドバウィハイツ)だったが、先週の木曜日に骨折が判明。全治6か月以上の診断を受けた。
松田博調教師が来年の2月に引退するため、その前にG1(阪神JF)を勝たせてあげたいという話も耳に入ってきており、かなり期待の高かった馬。先週の調教も良好で、デビュー勝ちは堅いと思っていたので非常に残念である。松田博師引退前のデビューは難しそうだが、ここはしっかり治療をし、復帰を待ちたい。
▲この追い切り後に骨折が判明したリーチザハイツ
それでは今週の主役はどの馬になるのか。一番手に挙がるのが7月5日の中京芝1600m戦を予定しているアストラエンブレム(牡、美浦・小島茂、父ダイワメジャー、母ブラックエンブレム)になろう。もともとは先週の東京でデビュー予定だったが除外になり、1週延びてのデビューとなる。ピークを維持できているか心配になるところだが、小島茂厩舎は新馬戦で思い切りつくってくる厩舎では無いので、デビューが1週延びたせいで調子が落ちることはなかろう。ノーザンF横手厩舎でも屈指の評判馬。兄(テスタメント、ブライトエンブレム)同様、新馬戦は勝ち負け必至だ。
ヒットザターゲットの半弟ゴールドラッシュ(牡、栗東・池江寿、父キングカメハメハ、母ラティール)も1週延ばした馬だが、こちらは動きが悪いためのデビュー延期。その分の変わり身を期待したが、木曜日の調教はテンからゆっくり入ったにもかかわらず、終いはいっぱいいっぱい。初戦は厳しい戦いになりそうだ。
- アストラエンブレム
- 牡、美浦・小島茂、ダイワメジャー×ブラックエンブレム
▲東京の新馬ではよもやの除外 仕切り直して挑むアストラエンブレム
前日の中京1400m戦は、血統からエスティタート(牝、栗東・松永幹、父ドリームジャーニー、母スキッフル)に注目。松永幹厩舎に入った兄姉3頭は全て活躍しており、フラガラッハは新馬戦2着で、2戦目に勝ち上がり。イリュミナンス、フェルメッツァは新馬勝ちしている。この馬も1週前の坂路で52秒6-12秒1と抜群に動いており、兄姉に続けそうだ。
福島に目を転じ、芝1800m戦には、シルクレーシングのシャクンタラー(牝馬、美浦・鹿戸雄、父ゼンノロブロイ、母ムガール)が出走。先週の調教はウッドで4Fからだが、17日にウッドで5F67秒3の時計を出し、上がりも12秒台でまとめている。ゼンノロブロイ産駒は牝馬に活躍馬が多く、目指すはオークスか。
同レースを予定のプライムセラー(牡、美浦・和田一、父カンパニー、母トップセラー)は、一族のアドマイヤジュピタ、アドマイヤメインが使って良くなった馬で、この馬も使いつつ変わってくるタイプか。もし初戦から勝つようなら楽しみは増す。
- シャクンタラー
- 牝、美浦・鹿戸雄、ゼンノロブロイ×ムガール
福島1200m組は、アンナトルテ(牝、美浦・奥村武、父エンパイアメーカー、母クーヴェルチュール)。ウッド4Fから52秒0-12秒5と速い時計をマークし、スピードを感じさせた。父から晩成のイメージもあるが、母は2歳時に実質4勝(すずらん賞で1着失格)した馬。この馬も早くから活躍を見込める。
同じレースのストーミーシー(牡、美浦・斎藤誠、父アドマイヤムーン、母シーベストラウム)は、全体時計こそ速くないものの、2週連続でウッドで上がり12秒台、併せ馬も先着なら悪くない。ミルファームの馬であることを考慮すれば2歳戦から勝負で、新馬戦も期待していい。
- アンナトルテ
- 牝、美浦・奥村武、エンパイアメーカー×クーヴェルチュール
新たな入厩組は、先週にドッとPOG人気馬が入ったので、今週は少々地味。目立つのは藤沢和厩舎で、美浦にダイレクトキャッチ、ステラロッサの半妹ミネット(牝、父ディープインパクト、母レッドキャット)、函館にはレディブロンドの孫ティソーナ(牡、父ダイワメジャー、母ラドラーダ)が入厩。ミネットは一部で遅いと聞いていたので、予想以上に早い入厩。これは期待したい。
戸田勢はサンカルロの全弟ターゲリート(牡、父シンボリクリスエス、母ディーバ)、ソールインパクトの半弟ノンシュガー(牡、父ダイワメジャー、母クリームオンリー)が入厩。ノンシュガーは個人的にPOGで取るか迷った馬。兄同様POGには向くだろう。
オークス馬ヌーヴォレコルトの半妹クレーデリンテ(牝、美浦・斎藤誠、父ダイワメジャー、母オメガスピリット)も入厩したが、こちらはゲート試験合格が目標で、その後は放牧に出す予定だという。姉もデビューは秋だったので、急ぐことはなかろう。
プロフィール
山田 乗男 - Norio Yamada
厩舎育ちのPOG好きという変わり者。主なPOG実績として、過去にナリタブライアン、ビワハヤヒデ、ディープインパクト、オルフェーヴル、ブエナビスタ、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、アンライバルドら指名の実績を持つ。POG=超大物狙いということだが、その格高理論は仲間うちから一目を置かれている。有名競馬雑誌でPOGコーナーを担当中。