
初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『パラダイスステークス』
2025/6/18(水)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。皆さまが大いに盛り上がった上半期の総決算であるグランプリ、宝塚記念が行われた少し前。東京競馬場で行われたリステッド競走、ウッドバイン競馬場賞パラダイスステークス。勝ったのは我が愛馬カリボールでした。

ニュースの見出しは最低人気単勝200倍の文字が飛び交う大波乱の決着との内容。馬主としては、それは心外、当然の結果です……と言いたいところでしたが、正直私達も驚いております。
オッズも驚いたのですが勝ち方も驚きでした。馬なりで好位につけて直線抜け出し2馬身半差の横綱相撲。完勝と言っていい内容でした。
いろいろな思いが交錯して一体何から書けばよいのかわからない状況ではありますが、まずはレースを振り返ってみましょう。
東京競馬場芝1400m、鞍上は菊沢一樹ジョッキー。稍重の馬場状態でレースは行われます。ゲートが開くとそこそこの出で、鞍上が軽く促すと二の脚がついて好位につけます。一番人気のサトノカルナバルは出遅れて最後方。
ダノンタッチダウンが逃げる展開、カリボールは馬なりで4、5番手で追走。3コーナーから徐々に進出、ものすごく良い手ごたえのまま直線に向くと仕掛けることなく先頭に躍り出ます。

終わってみれば先行直線抜け出しの横綱相撲。その見事な勝ちっぷりは圧勝と言ってもよいのではないでしょうか?
その後は口取りめがけて一目散に東京競馬場の廊下を走っていったのを覚えていますが、結果的にすぐ宝塚記念が始まるので検量室前でしばらく待っていてくださいとのことで、結構時間がありました。
思い返せば安田記念以来の府中の検量室、久しぶりの口取りは芝コースの上ですることができました。振り返ってみると五年前の同じくカリボールの清滝特別以来の口取りとなりました。

本当にここまで長かったなぁ。口取りをしたいと何度も何度も競馬場に足を運んでさすがにこれはいけるだろうというレースも何度もありましたが目の前での勝利はかなわず。そんなこんなで五年の月日が経ちましたが、ようやく口取りをすることができました。それも前回と同じカリボール。
しかも最低人気で。最低人気というのはわかっていましたが単勝200倍もつくことになるとは思っていませんでした。
今年は勿論、去年の夏の終わりくらいにホッカイドウ競馬でコウリュウが勝ってからずっと勝利から見放され続けていたので、もうなんか自分の馬が勝つことなんてこれからは一切来ないのではないかと思うくらい負けが込んでいたので本当に、意外でとても嬉しい信じられないくらい驚いた勝利だったと言っておきましょう。
何回も何回も口取りがしたいと競馬場に通っていたのでこのタイミングで口取りができるとは、しかもメインレースで!西村先生をはじめ、厩舎、牧場スタッフ、他カリボールの関係者の皆さま方、本当にありがとうございました。

念願かなってようやく口取りをすることができました。本当に本当にありがとう!それからお祝いのラインをくれた皆々様、応援ありがとうございました!感謝です。
それでは何故我が愛馬カリボールが勝つことができたのかを分析しようかと思います。
宝塚記念の発走がかぶって口取りまでに結構時間があったのは先に書きましたがそのおかげで菊沢ジョッキーと話をする時間があったのでいろいろと聞かせてもらいました。
基本的にはレース後のコメントと同じなのですが、渋った馬場が得意なのは知っていて、被されるとやめてしまうところがあるのでそれを気を付けていた。そして、実はちょっと引っかかっちゃったんですけど気分よく走らせたかったんでいっちゃいました(笑)。とのことでした。

1ハロン距離が延びたことでポジション取りが1200mの時よりも容易になって、外枠で気分よく走った結果、そのまま直線も気分よく走ってくれて、この横綱相撲に繋がったと言ってよいのではないでしょうか?
こんなに強い競馬ができるなら最初からやってくれとか思ってしまう部分もあるのですが、こういう条件がすべてかみ合わないと結果というのは出ないのかもしれません。
すべての要因がかみ合った。まさにそんなことがいえるこの勝利。ちなみに私は一応、この勝利の要因に参加することができるよう、競馬場に行く前に両親の墓参りにいってきたのと、競馬場の前にある馬頭観音に無事完走をお願いしに行きました。
実は最近あまり馬頭観音にお参りしていなかったので、こういう神頼みはしておいて絶対に損はないですよね。

それから家のトイレ掃除もしっかりやっておきました。さらに言うと去年の秋からずっと負けがこんでいるのと並行してずっと節約気味に生活してきたのですが、つい先日、旅行の計画をたてたり、ちょっと大きな買い物をしたりと金遣いが荒くなったのも運気が変わった原因になったかもとか考えたりしたりします。
お金を使うところにお金はあつまると言いますし、節約ばかりしていては運は逃げていくのかもしれないなぁと今回の勝利で思いました。
とまあ、何もしていないようでいろいろとやっていたり考えていたりするのが馬主の仕事。そして個人的にではありますが、今回一番効き目があったのではと思う要因がこいつです……
馬主席のひとつ下のフロアにある馬主さん御用達のレストランときわ家(ちなみに一般の人も入れると思います)。こちらでカツカレーを食べました。
私は昔からくせでとんかつ定食やカツカレーを競馬場では食べがちだったのですが、あまりに惨敗が続いていたので(年をとって胸やけするようになったのもあります)しばらくカツはやめていたのですが、今回ひさしぶりに食べたらこの結果です。

後に問い合わせたところ、カツカレーではなく華麗に勝つの『勝華麗』なのだそうです。こだわりの食材を使用しているらしく、ソースも二種類あるそうです。私が食べたのは勝華麗のAソース。
どうしても勝ちたい馬主の皆さん、競馬に勝ちたいファンの皆様、一度試してみてもよろしいのではないでしょうか?単勝200倍の効果があるかもです。ちなみに連れのを一口もらったのですが、このお店のざるうどんがとてもコシがあって美味しかったです。こちらも私的にはこちらもおすすめです!
とまあいろいろと書きましたが結局のところ関係各所の皆さんの忍耐と試行錯誤。そして何より本人のやる気が今回の結果を引き寄せたのではないでしょうか?
菊沢ジョッキーの気分よく走らせたかったので行っちゃいましたの言葉に集約されているような気がします。府中の直線を駆け抜けるカリボールはとても気持ちよさそうに走っているように僕には見えました。

というわけで今年最初の勝利はカリボールがあげてくれました。オシゲ引退、イイナヅケ脚負傷、プリティジェニーが腸ねん転(回復済み)など、今年に入って嫌なことばかりが起きていて心がダウナーになっていたのですが、この一勝で一気に元気になりました。
この一勝でいろいろと流れが変わって勢いがついてきているのを肌で感じる今日この頃。ついさっきSWITCH2の抽選にも当たった強運の私が、エルデストサンの復帰戦をこの目に焼き付けるために北海道へ遠征します。ジャス君達にも会いにいきますのでそのこともコラムで触れたいと思いますのでこうご期待。
OP二勝目のカリボール、この後どの路線を進んでいくのかもわかり次第触れていこうと思います。もともと1800mでデビューした馬ですので距離の融通はきくんじゃないかと思っています。
そして今回だけのきまぐれで終わらないよう次もその次も気持ちよく頑張っていってくれれば、あの勝ちっぷりなら大きい所に出走、なんてこともありえないでもないのではという妄想も膨らんできますよね。
この夏はまだ未勝利の三歳馬達エポエポサン、シックスパック、アーブルラーブルにはなんとか未勝利戦を勝ちあがっていただき、エルデストサンはとにもかくにも無事に走っていただきたい。とにもかくにも今年の夏は良い夏にしたいですね!
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。