初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『良かったです』
2019/4/22(月)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。勝ちました。先日の京都の9R、あずさ賞、芝1800m、500万条件で我が愛馬カリボール(牡3、栗東・須貝尚厩舎)が勝利いたしました。
3番人気、鞍上・藤井勘一郎騎手でレースに臨むと、好スタートを決めたかと思うと、行き脚つかずに最後方待機でレースを進め、3コーナーより追い出しを開始、直線に向くとぽつんと一頭はなされてはいたと思ったカリボール、スピードにのり1番ドラウプニルの外に出すと、他の馬を凌駕する別次元の末脚を発揮し、あっという間に突き抜けました。
2着はダンツキャッスル、3着にドラウプニル、1番人気のジャストアジゴロは伸びを欠き5着でした。とまあ、こういう書き方をすると落ち着いて見えるかもしれませんが、レースを見ている時はどうなることかと思っておりました。前走で跛行による競走除外となっていたので、好スタートをきったにも関わらず、スピードに乗れないで最後方へ下がっていった姿を見れば、何かがあったのではないかと心配するのは人情でしょう。
怪我でもしたのではないかと思っていると、馬群からおいていかれて、差は開く一方、3コーナーではムチが入っているその状況に、頭を抱えていたりいなかったりしたのは秘密です。直線に向きドラウプニルの外に取り付けたときはなんとかなるかと思いましたが、その後は予想を超える鋭い末脚を披露してくれました。脚色が違っていたので直線半ばで勝てるかなとは思いましたが、それまでは怪我だけは勘弁的な感じで寿命が縮まる思いでした。
検量所で須貝調教師や藤井騎手の話を聞くと、前走で川田騎手が歩様の違和感を感じたのは当然で、知らなければコトコトしていて危ないと思ってしまうそうです。それはジャスタウェイやハーツクライも同じで、レースを走る前の輪乗りの時に笑われていた、という逸話があったそう。
それと関係があるかどうかはわかりませんが、藤井騎手によると、スタートを決めたはいいが、出ていってくれなかったとコメントしておりました。やはりそのコトコトが影響していたのかもしれません。前に行ってくれなかったので、じたばたしても仕方ないと後方待機の作戦になったようですね。
それにしても開幕週とはいえ、上がり3ハロン33秒2の時計で走っているカリボール君、先々楽しみになったと言ってもよろしいのではないでしょうか?須貝調教師は本格化するのは秋以降だと言っておりましたが、本格化前にこの競馬をしてくれるならば、今からずっと楽しみですね。
この後は使い詰めで来ているのと、馬体重が減り続けているのもありますので、それから脚元のケアも含めて少し休養することになりそうです。この先、どこらへんの距離を主戦場にするのかとか、どのレースを目標にしていくのかもまだわかりませんが、本格化はまだまだ先ということですので、慌てずじっくり馬本位で進めていってくれるといいと思います。
奇しくも父親であるジャスタウェイがアーリントンカップでしたレースそっくりなレースっぷりだったカリボール。
豪快でファンが増えそうなレースではありますが、未勝利を勝ち上がった時のような先行抜け出しのレースのほうが馬主的には安心して見ていられると、ここに記しておきたいと思います。
とりあえず休養ということになるかとは思いますが、次はどこに駒をすすめてくるのか?僕も楽しみに待っていようかと思います。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。