初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『キングロコマイカイ始動』
2021/12/3(金)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。今週土曜の阪神の新馬戦(芝1800m)にキングロコマイカイが出走します。
鞍上はずっと調教で乗ってくれている酒井学騎手です。くせのある馬にも関わらず乗ってくださって感謝です。どうぞよろしくお願いいたします。人気にはならなそうですが、どうか一発狙っていってください。
キングロコマイカイ、とうとうデビューします。本当に感慨深い。キングカメハメハを種付けできるかできないか、からはじまり、この仔はとても波乱万丈な山あり谷ありな馬生を送ってここまで来ました。
種付けができるかできないかで相当やきもきしましたし、辻牧場にオツウがお世話になることが決まった時もお腹の中にはこの仔がいました。
生まれたときは脚元に不安がありデビューすることさえ危ぶまれました。それでも辛抱強くケアをしてもらいながら育成を続け、脱北したので名前をつけようとしたら、初めてダメだと名前をはじかれたのもこの馬でした。
そんなこんなで名前をつけるのに苦労して、なんとか入厩……したものの、今度は気性難ということで、いったいどうなってしまうのかとも思いましたが、なんとかデビューまでこぎつけました。
もうそれだけで満足しそうな勢いではありますが、この仔は男の子ですので、出走だけで満足するわけにはいきません。キンカメ×オツウ、僕の中では夢の血統、奮発して無理言ってつけてもらったキンカメ最後の年の子供です。
父キンカメ×母父ハーツクライとかよく考えてみればすごい良血じゃあありませんか、名前だってキングカメハメハの後継種牡馬を想定(妄想)してつけてますので是非結果を残して種牡馬になってほしいという野望とともにターフに送り出したいと思います。
同じレースを走るライバルにはジャス君と同じ世代の最強女王ジェンティルドンナの仔や、ステイフーリッシュの妹、ダノンプレミアムの弟や調教かなり動いているストロングウィルなどなど。
素質馬がそろってはおりますが、うちの仔も中央五勝のオツウの二番仔です。無事にレースを終えることが大前提ではありますが、よいレースをしてくれることを期待します。なんでしたら勝っていただいても全然オッケーです。勝って欲しいなぁ。
たくさんの挫折や失敗を乗り越えて弱虫だった落ちこぼれが、仲間やパートナーと協力し、強く、強く成長していく姿はまるで過去に僕がやっていたあの番組の金髪の主人公を思い起こさせます。まさに王道の少年漫画、キングロコマイカイにもその名の通り王の道を突き進んでいって欲しい。そして最後にはその名の通り優しい王様として競馬界に君臨してくれることを妄想しております。
そしてもう一頭の二歳馬、ジャスコ。先週出走予定でしたが、最終追い切りの動きがいまいちとのことで先週は出走回避。仕切り直しで来週の中山芝1800mの新馬戦への出走を予定しております。
鞍上は前回騎乗予定だった田辺騎手が引き続き手綱をとってくださるとのことです。一週前追い切りには田辺騎手が騎乗し芝で追い切ったとのことです。相変わらず素直でとても乗りやすいとのコメントをいただいておりますが、弾むような感じがあればもっと良いとのコメントもあったりなかったり。
そのコメントを聞くとまだまだ力が足りていないのかとも思ってしまいそうではありますが、来週の追い切りで恐らくきっちり仕上がってくれることでしょう。競馬云々というよりもこの名前が話題になるのが容易に予想できてしまうのですが、話題が名前だけにならないようにしっかりとした内容のレースになってくれることを期待しております。
図らずも同じぐらいの時期のデビューとなりました愛馬二頭。今週、来週と頑張って応援したいと思います。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。