初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『クリスマスとバレンタインが一緒に来た!』
2023/8/14(月)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。
我が愛馬キングロコマイカイが札幌9R石狩特別(3歳上1勝クラス)、そして同じく我が愛馬でありキングロコマイカイの妹であるオシゲが札幌2Rの3歳未勝利戦を同じ日に勝ち上がってくれました。
妹と言うからには彼は兄、二人は兄妹。どちらも我が愛馬オツウの子供達なのです。長いこと競馬をやっていますが兄弟が同じ日に勝利するのってあまり聞いたことがない。何十年も無いということではなさそうですが、なかなか珍しいことのような気がします。
オシゲが勝ち上がってくれたことにより、お母さんであるオツウの産駒はマジカルステージ、キングロコマイカイ、そしてオシゲと皆勝ち上がってくれたことになりました。なんという優秀なお母さん。現役の時も馬主孝行な馬でしたが、引退してからも本当にお世話になっています。なんとも優秀なお母さんで本当に頭が下がります。
ではレースを振り返りましょう。まずは札幌2Rダート1800mの牝馬限定未勝利戦、3歳の未勝利戦のある期間が残り僅かとなっていますので、ある意味背水の陣ともいえる状態です。前走も今度こそと期待がかかりましたが2着。その前のレースも惜しい2着となかなか勝つまではとどかないレースがずっと続いておりました。
器用さがないので前に行けず溜めて溜めて直線勝負みたいなレースが板についていて、それを踏まえて前走は川田ジョッキーが早めにまくっていって前を捕まえにいってくれたのですが、その分最後の末脚があまくなってすぱっと減量騎手が鞍上の馬にかわされてしまいました。
そんな状況を鑑み札幌への遠征を決断し、今回は武豊騎手に騎乗依頼をしたとのことでした。僕にはわかりませんが相手関係やフルゲートの頭数、コースの形状、オツウが北海道に適性があったとか、いろいろなファクターがあるのでしょう。そんな色んなことを鑑みて遠征し、武豊騎手に騎乗依頼を出したのだと推測されます。
一番人気でレースを迎え、ゲートが開くとすっと前へ、今まではこんなレースはできなかったのですが問題なく無理のない形で先行していました。行きたい外枠の馬を先に行かせ5、6番手の外目を追走。終始よい手応えのまま徐々にポジションをあげていき3コーナーでは外目の3番手、一頭だけ抜群の手応えに見えました。4角から直線に向くと先頭に立ちます。
人気の2着馬が外からスパートをかけてきましたが、慌てることなく武騎手がゴーサインを出すと、もうひと伸び、3/4馬身の差をつけてゴール。最初から最後まで横綱相撲の危なげない競馬でようやく、とうとう、すんでのところで未勝利を脱出です!
本当に良かったです。完璧な騎乗をしてくれた武騎手、辻牧場の辻助さんからの情報によると、「これからまだまだよくなる」と武騎手はコメントしてくれていたとのことでした。オシゲさんご苦労様でした。
この後は連戦の疲れを癒すために辻牧場で休養とのこと。ゆっくり休んでまた元気になって豊さんが言っていたようにもっともっと良くなって競馬に戻ってきてください。ありがとうございました!
そして札幌9R。石狩特別芝1800m、キングロコマイカイが吉田隼人騎手を背に出走しました。前走はルメール騎手を背に同じく1勝クラスの特別戦に出走しましたが、G1を3着したことのある強豪を相手に善戦するも2着。相手が悪かったこともありますが、こちらも次こそはと思わせてくれるレース内容でした。
そして今回、無難なスタートを決めると中段外目から徐々に進出、無理なく3番手まで押し上げます。結果的に一番人気の馬を見る形でレースを進めることになりました。3コーナーから4コーナーにかかると馬なりで先頭に並びかけます。
直線に向くと1番人気の馬にさっとスパートして先頭、少し離されますが、こちらもそこからスパートをかけ、じりじりと差をつめます。後方待機の2着馬が迫り、逃げ馬が巻き返し1番人気の馬もしぶとく粘る中四頭激戦という実況の通り首の上げ下げの勝負、先頭を行く1番人気馬をかわし、後方から猛追する2着馬をなんとか退け1着でゴール。嬉しい2勝目、特別勝ちということになりました。
こちらも着差はわずかではありますが横綱相撲の競馬といっていいのではないでしょうか?吉田隼人騎手が完璧に乗ってくれたからこそ安心して見ていられました。
馬なりで前を見ながら良い手応えでレースをすすめゴール直前きっちり前を捕まえて後続をしのぎきる。どう考えても100点満点のレースでした。タイムもなかなか優秀だったようなので、上のクラスにいってもやれるのではなかろうかと期待しております。
というわけで私のような弱小馬主が1日2勝なんてことはかなりの偉業と言えるでしょう(去年も一度ありましたけど……)。さらに言えば世にも珍しい兄弟同日Vという結果となりました。繁殖を僕が持っているから当然といえば当然ですが兄弟が同一馬主というのもなかなかレアなのかもしれません。
それもこれもオツウちゃんが優秀だからということになりますが、本当に良いお母さんになってくれたと感謝しっぱなしでございます。度重なる種付けで歩様があまりよろしくなくなっている彼女は今年の種付けはお休みしてゆっくりすごしておりますので来年からまたお母さん活動を再開する予定です。
そして今年の2歳のパッカパッカブーもゲート試験は合格済み、馬体をふっくらさせて臨戦態勢を整えて、万全の態勢でのデビューの日を待ちたいと思います。
とまあそういうわけでオツウちゃんの一族は皆とても優秀だという話になのですが、夏の楽しみはこれからも続きます。新潟2歳ステークスにはヒヒーンが酒井学騎手で、そして週末にはカリボールがNST賞に石橋脩騎手で出走を予定しています。初ダートでうまいこと適性を発揮してくれるといいですね。芝1800mでも勝ち星をあげている仔ですので、なんとかダートもこなしてくれるのではと期待しております。
そして今週残念だったプリティジェニーももう一度、どこかで使えればと出走を狙っていくようです。というわけで一日二勝と勢いがついてきました。この勢いのまま夏を駆け抜けたいと思います。皆頑張ってください!
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。