初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『応援ありがとうございました』
2016/12/23(金)
いい感じで手ごたえもよかったように思えたのですが、直線に向くと失速、勝ち馬が逃げていた馬だっただけに、もう少しなんとかならなかったのかなあとか思ってもみましたが、ここ最近の走りを見ると、オツウさんはもう走るのがいやになっていたのかもしれません。なんとも言えない結末でしたが、なにより無事に完走してくれたのでよしとしましょう。
皆さん今まで本当に、応援ありがとうございました。彼女に関してはいろいろと「たられば」を考えてしまうことが多かったような気がしますが、オープンにまで出世してここまで無事に走り切ってくれたことは馬主孝行でしたと言うべきなのでしょう。何より怪我なく走り切ってくれたことは、とても貴重なことだということに最近では思い知らされている大和屋です。笑
思えば彼女の新馬戦、恐ろしいまでの強い勝ちっぷりにギャロップの新馬戦診断で満点を出し、すわクラシック候補かと思われましたが、その後低迷、ダートで巻き返しなんてことになったりしたり、ひとつのきっかけで三連勝とかしてみたり、まったくの人気薄で複勝圏内に激走したりと、いろいろと波の激しい馬生だったと思います。
正直言うと新馬戦を勝った直後はクラシックとか三冠とかいう単語が脳裏によぎったりしましたが、本当牝馬は難しい。レースで怖い思いをしてから走らなくなり、仕方ないのでダートで巻き返しだとかなったその時には、最初がまぐれであまり強くなかったのかと思ったりしたら、機嫌を直してくれて快進撃、このまま重賞制覇だとか思ってみれば、某騎手の大暴走により激しく長い間低迷したり。
気が付けば逃げなければだめみたいな感じになっていたり、いろいろありすぎて何を書けばよいのかよくわかりませんが、とにかくここまでよく頑張ってくれましたということなんだと思います。セレクトセールのカタログの中でも安くセリ落としてお買い得だった上に、たくさん稼いでくれた馬としてピックアップされたこともありました。ジャス君だけでなくオツウというオープン馬を持つことができたことはとても幸せなことだと実感しております。
なんというか、五つも勝利をあげてくれたオツウちゃん。五勝もしてくれたのがありがたい。どの勝利も印象深いものだったのですが、やはり一番の思い出は新馬戦の勝利だったかなあ。ほんと三冠もらった!ぐらいの勢いでしたからあの時は。中団後方でレースをすすめ四コーナーから進出を開始、終始余裕の手ごたえのまま持ったままで抜け出したあのレースは、忘れようにも忘れられません。あの時付き合っていたあの人は、まだあの時勝って買ってあげた旅行鞄を使っているのだろうか。
これからオツウちゃんはノーザンファームへ繁殖にあがり、母親としての馬生を送ることになります。数年たてばオツウの子供たちが競馬場で走ることになってくれるかと思います。皆さんその時はまた応援よろしくお願いいたします。気が付けばすぐ子供が走るようになりますので楽しみにしていてください。
というわけで大和屋はとうとう所有馬がいなくなってしまいました。
イイナヅケは地方、オツウは引退。現在牧場でスタンバっているカールファターレの2015、レイズアンドコールの2016はいることはいるのですが、現在形ばかりの馬主になってしまいました。カールファターレの仔が早くデビューしてくれるといいのですが、そのためには名前を考えなければと思いつつ、どうしたものかと困っております。
とりあえず年内もう一回更新したいなぁとか思っておりますので、今年の振り返りはまだしないでおきたいと思います。が、ほんと一年未勝利ってのはかなり厳しいです。それもこれもあいつのせいなんだろうなぁとか思いつつ、競馬の予想は今年は好調だったりしたりしなかったり、とりあえず今週末は有馬記念、皆さん終わりよければすべてよしといいますよ。有馬がだめでも東京大賞典が残ってます。
オツウのラストラン、なぜ松田騎手だったのかという感想を持つ人たちが結構な数いらっしゃいました。これは個人的な推測で、なぜなのかの説明もなかったですし、聞いてもいませんし、もともとターコイズSに出走予定だったもので、前もってどうこうというのもありませんでしたが、前回彼が乗ったときの大暴走の反省のもとにもう一度チャンスを与え和解のチャンス、彼の良いところを僕に見せようという調教師の配慮だったのではないかと思います。
見れば逃げ馬が勝ちはしましたが、松田騎手はオツウを暴走させることもなくうまく折り合って四コーナーまでは手ごたえもあり、良い競馬をしてくれたような気もしないでもありません。ですがなんというか、これは気のせいかもしれませんが、デムーロあいてたじゃん!と言いたかったのは決して僕だけではなかったはずだと思います。
週末は有馬記念。僕も久しぶりに中山競馬場へと乗り込もうかと思っているしだいです。なにかいいことあるといいなぁ。ありそうな気がするぜ。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。