初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『有馬記念』
2016/12/28(水)
そもそも僕はあまり人込みに向かっていくのは好きではありません。お盆や正月の帰省ラッシュなど高速が渋滞しそうな季節には必ずといってもいいほど、家に引きこもっていることは言うまでもありません。皆が働いているときに遊び、皆が遊んでいるときに仕事をするのがモットーであった僕なのです。
そんな僕が自身の出走馬もいないのにわざわざ一年で一番混雑するであろう当日の中山競馬場へと向かうのは訳があります。その理由というのはもったいつけても仕方ないのでぱすっと発表しちゃいますけど「マー君」です。
あのNYヤンキースの田中将大選手に会いにいったというわけです。
なぜそんなことが可能なのかといえばマー君が有馬記念当日に競馬場へプレゼンターをやりに来ているということもあるのですが、僕らの友人プロソフトクリーマーの森川さん、もともとは旅行代理店で働いていた方だったのですが、なんとその後、転職をして楽天の球団職員もしていたのです。もちろん球団職員ですので選手の皆さんとも知り合うわけで、その中に田中選手もいたということで、一瞬になるかもしれないが会わせてもらえると思うので来ませんかと、気さくに誘ってくださいました。
いうまでもなく国民的大スターである田中選手に会う機会など、ほぼほぼ僕らにはないわけですからもろ手をあげて参加します。喜び勇んで親戚や友人まで誘って中山競馬場へと突入することにあいなりました。あ、当日は友人の皆さんの馬の出走もあったのでその応援も兼ねての遠征です。
というわけでやってきた中山競馬場ですが、ほんと人が多すぎです。座る場所もなければレストランも大行列です。行く場所がないのでフロアにたたずみ駅前で売っていたカツサンドを皆で立ち食いしていると、皆さんどこからともなく僕を見つけて近づいてきてくださります。
背が高いのと白髪がやはり目立つようで待ち合わせにはぴったりです。先日忘年会をしたメンバーである馬主の丸山さん、さらには馬主の保坂さん。さらには忙しそうに馬主フロアをいったりきたりの森川さん。皆さん出走を控えているので駅前で勝ってきたゲン担ぎのカツサンドをふるまいます。まさにとんかつ食って馬勝ったとなってくれれば夜は大宴会が開かれるはず!頑張ってください。
という感じでわいわい楽しく過ごしていると、森川さんが来てくれました。現在取材中、それが終わったら時間ができるんで会いにいきましょう。ありがとうございます!すっごい楽しみ!と喜ぶ一行。
しかしここで問題が一つ発生します。僕が自身の出走馬もいないのに何故中山競馬場にいるのかという話になれば、当然理由を話さなければなりません。そんな会話の流れでマー君に会うといえば、皆も会いたいということになるわけです。そうなればじゃあ一緒に行きましょうと僕らは気軽に言ってしまいます。
マー君に会いたい集団は気付けば8人にまで膨らんでおりました。それを見た森川さんはあせります。どうやら前もって誰がいくと伝えておかなければならないらしく。もしかしたら会えないかもしれない可能性まで出てきました。
それはまずいがここであきらめるわけにもいくまいと、来賓フロアへ何食わぬ顔をして突入します。ドキドキしながら廊下を進んでいくと、ありました来賓室。どうやら行く手を阻むガードマンの人もいないようです。扉を開けて中へと入ると、いましたマー君です。本物の田中選手でございます。
とりあえず競馬大好きマー君ですので「ジャスタウェイの馬主の大和屋です」とご挨拶すると田中選手もジャスタウェイのことは知っているようです。お近づきの印にジャス君グッズ詰め合わせを進呈。そこですかさず写真を撮らせてくれませんかとおねだりすると気さくに応じてくださいました。
即席写真撮影会、からの女子がどこからか取り出した野球ボールにサインまでしてくださいました。色々なし崩し的に写真やサインだとおねだりしてしまいすみませんでした。マー君本当にありがとうございました。
というわけでミッションコンプリートです。今年最後を飾る僕のコラムで田中選手とのツーショット写真を掲載することができればもう言うことはないでしょう。あとは8Rのゲマインシャフトと9Rのレイデオロ、グローブシアター、ベストリゾートの応援です。
ふるさと納税でもらったカメラを手に写真を撮りました。一眼レフじゃないのですがちょっとそれっぽい写真になるのはカメラの質が良いからです。
結果、8Rの丸山さんのゲマインシャフトは8着、ホープフルステークスは盤石の強さを見せてレイデオロが1着、グローブシアター3着、ベストリゾートは4着でした。有馬記念については僕がいまさら言うまでもないでしょう。ちなみに馬券は玉砕でした。
というわけで競馬が終わった後は皆で宴会です。森川さん所有のレイデオロの祝勝会もかねて一日飲んで食べて歌ってと、笑顔のたえない宴会だったと思います。
そんなこんなで一日が終わり今年の中央競馬は終了しました。有馬記念のゴールの瞬間里見会長大応援団がぶわっと沸いて口どりへ向かう姿は見ていて微笑ましい感じがしました。皆本当に嬉しそうに、勝負服ネクタイをした皆さんが僕らの前を足早に通り過ぎていきました。関係者の皆さんおめでとうございます。
丸山オーナーのゲマインシャフト
ホープフルSで4着だったベストリゾート
森川氏も出資しているレイデオロ
そして僕の中での競馬はまだ終わりません。森川さん所有のイイナヅケ、笠松競馬、大晦日での出走登録に名前を連ねているではありませんか!確認したところ大晦日の勝利でも年内に二勝さえすれば中央競馬へと出戻れるそうです。もしここで勝つことができればイイナヅケ、デモドリ完了ということになります。ぜひ頑張ってほしい。頑張れイイナヅケ。
そんなこんなで一年が終わろうとしております。この一年を振り返ってみると、プライベートでもいろいろなことがありましたし、仕事や競馬に関してもいろいろなことがありました。競馬は結局未勝利に終わり、一口の馬を入れてもわずかに未勝利を二つ勝ったのみ。全体的に低空飛行な一年でした。いや、飛行していたかも怪しいくらいです。が、遊びにいたっていうと様々な体験ができたと思います。スキューバダイビングをしに南の島へいったり、友人について海外へ出かけたり、相撲を皆で見に行ったり、中之条町で豪遊したりと、なかなかできない体験を経験できたと思います。来年もイベント目白押し。競馬の成績はダメでもせめて楽しく暮らしていきたい。
そんなこんなで今年もゆく年くる年です。関係各所の皆さんいろいろとご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。こんな大和屋ではありますが、来年もよろしくお願いいたします。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。