初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
「オツウ」
2014/7/9(水)
オツウ
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皆さんこんにちは。先週は函館までオツウ(牝4、栗東・須貝尚厩舎)の応援に行ってきた大和屋です。お蔭さまで我が愛馬オツウちゃんはクビ差でかもめ島特別を勝利してくれました。スタンド端の方で見ていたので最後は差したのか差してないのか、どうなったかわからずに混乱に陥ったオツウ応援団一行でしたが、なんとか差してくれていました。これで三連勝、降級をはさんで1000万条件を卒業してくれました。次走は今のところ未定、勝利のご褒美にノーザンファームへ放牧に出すことになりました。
というわけで今回はオツウの話をしたいと思います。思えばオツウ、二年前の11月に超鮮烈なデビュー戦を飾り、それ以来、クラシック候補、と言われ続けるも勝ちきれず、芝での惨敗を二度繰り返したのを契機にダートへと路線変更。クラシックが終わりクラシック候補とも言われなくなりそれでも勝ちきれず二着が続き、今年の三月までずっと歯がゆいレースが続いていました。
うちの“長男”ジャスタウェイ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)ともども二着が多いのはハーツクライ産駒の特徴といえばそうなのですが、一つ勝ったその後に、馬が変わったかのように連勝してくれるようになりました。これもジャスタウェイともどもそうなのですが(現在、天皇賞秋より四連勝中)、これって一体なんなんでしょうね?僕なりに考えてみたんでお暇な方は是非読んでみてください。
勿論、須貝厩舎の皆さんの弛まぬ努力のお蔭であることは言うまでもありません。そして、今回の勝利で言えば、秋山騎手の気迫のラストスパートのお蔭です。秋山騎手はオツウに騎乗するのはこれで三回目(過去にジャスタウェイにも乗ってくださいました)、口どりの時に僕が「秋山さんで勝てて嬉しい!」と思わず言ったら「僕も嬉しい!」と秋山さんが言ってくれたことが全てを物語ってくれています(一番は須貝先生と秋山さんの信頼関係ありきだと思います)。秋山さん、本当にありがとうございました!でも秋山さん、そろそろ美容院に行きましょう(笑)。皆が「秋山さん髪なげっ!」ってきっと思ってます。
本題に戻ります。何故オツウは三連勝できたのか?それは心の問題だったと僕は思います。オツウは一時期レースで怖い思いをして「私もう走りたくない!」と思った時期があって、それをなんとかするために須貝先生がブリンカーを装着したりダ、ートへ路線変更したり、一緒に遊んでくれたりと色々やってくれました。それでも二着が続いたのは「この程度でいいんでしょ?」とオツウが思いこんでいたに違いない。それを変えてくれたのは三連勝の最初の一勝目、ダートの500万下で手綱をとったミルコ・デムーロ騎手だったと僕は思います。
それまでの惜敗のレースを見直すことができれば是非見てみてください。いつも彼女は直線に向くとふわっとする癖がついていました。4コーナーでは馬体を合わす勢いだったのに、必ず直線に向くと離されます。逃げてる時も直線に向くと詰め寄られます。デムーロ騎手が乗ってくださった時も同様、4コーナーでは馬体を合わせていたのにいつの間にか二馬身の差を広げられ、またダメかと思ったその時、デムーロ騎手の怒涛の右鞭、手綱さばきが炸裂しなんとか勝つことができました。
僕は仕事の都合で(当時は)応援に行けませんでしたが、その時の後検量、口どりの様子を見てください。須貝さんを始め関係者一同、皆本当に嬉しそうに笑ってるんです。きっとその時の雰囲気が、その時のうれしい気持ちがオツウに伝わったんだと思ってます。皆が心の底から喜んで嬉しくて笑って、その空気がオツウにもわかって、それ以来、頑張ってくれるようになったんだと僕は思います。それはきっとジャスタウェイも一緒なんだろうなあとも思ってます。違いますかね?でも、他に説明がつかないんで、僕はそう思うことにしています。
3/22、M.デムーロ騎手騎乗で500万下勝ち当時の様子
オツウもこれで準オープン、牝馬の場合、格上挑戦もあり得ます。これからどんな走りを見せてくれるのか、楽しみでなりません。皆さんこれからも応援よろしくお願いします。
はみだし函館情報
函館といえばグルメです!イカ刺し食いました!ウニ食いました!塩ラーメン食いました!みがき弁当食いました(須貝先生リコメンド)!ラキピのバーガー食いました(角田先生リコメンド)!はせストの焼き鳥弁当W(北村調教助手リコメンド)食いました!体重2キロ増えました(涙)。競馬ファンの皆さん是非、函館へいってください。涼しくて良い所ですよ!はみだしジャスタウェイ情報
待望のぬいぐるみ第二弾。アヴァンティ監修でOTCさんより昔のオグリっぽいぬいぐるみ発売(天皇賞バージョン)!ちょっともっさりしてますが、傾げた首のかわいらしさにやられます。他、PRCさんより勝負服をイメージしたミサンガっぽいアクセサリー(腕輪?)が僕的には素敵な感じがしています。おしゃれキャップにおしゃれTシャツも発売します。興味のある方は是非に(大和屋リコメンド)!プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。