平林雅芳の目

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『ヴィクトリアマイル』「追い出しをギリギリ我慢したのだが・・・」

ピンクカメオを先頭とした馬群。
ほとんどの馬が余力十分に4角を廻ってきた。

丁度まんなかあたりに、黄色い勝負服に黄色い帽子のウオッカがいる。
その少し前に、赤い勝負服のエイジアンウインズが位置している。
直線に入って、横一戦に並ぶかたちである。

ジョリーダンスニシノマナムスメの後ろにいたエイジアンウインズだったが、ニシノマナムスメが内へヨレた瞬間に藤田Jがステッキでゴーサインを出し、馬ごみをさばいて出て行く。
時を同じく内から後藤Jのブルーメンブラットがスッと出た。
ゴールまで残り400メートルを表示したハロン棒②が過ぎた。
レインダンスベッラレイアの後ろにいたウオッカだが、まだそこでも武豊Jはゴーサインを出さない。
②と①のハロンの丁度真ん中あたりで、ベッラレイアの外へ出したウオッカに、武豊Jがやっとゴーサインを出した。
前を行くエイジアンウインズの直ぐ後ろである。
武豊Jのステッキがゴールまで8発入ったが、最後のさいごまで前を行くエイジアンウインズを抜くことはなかった。

ゴールを過ぎて、藤田Jが天へ向け、大きく右手をあげて雄たけびをあげた。
ウオッカは、内のブルーメンブラットの前にちょっと出たぐらいでゴールを通過した。
前の3頭から3馬身ぐらい離されたところで、先行グループを形成していた馬達がそのままゴールイン。
前半千メートル通過が1・00・0通過、といったゆるいペースで進んだ第3回ヴィクトリアマイル。
上がり3Fが33・7と、切れを要求された競馬であったが、昇り馬のエイジアンウインズが勢いのとおりに勝利を飾った。
デビュー以来最高の体重と、体調面も充実していたのと、鞍上藤田Jの冷静な騎乗が勝利を飾ったと言えようか。

そしてウオッカ
パドックで周回している体を見ていても、少し腹目が薄い感じは受けた。
でも全体の雰囲気は悪くなかったと見えた。
ほとんど報道陣がいなくなった検量室で武豊Jと話をしたが、
「京都記念も自分が乗ったドバイでも最後は止まっている。だから追い出しを遅らせたんだが・・・」と。
貯めにためて放った矢なのに、思う程の勢いでなかったようだ。
地力だけであそこまで走った、ということか。
まだダービー時に見せた、あの強いウオッカには戻りきっていない、ということであろう。

調教師の藤原英師はGⅠ初勝利。
しかし今年も好調で、リーディングトップ争いを繰り広げる勢い。
勝負事には勢いが不可欠なのである。