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平林雅芳の目
2008/9/16(火)
セントウルS(G2)
カノヤザクラが優勝、サマースプリントシリーズチャンピオンに輝く!
昨年のシリーズ王者のサンアディユと全く同じ道のりを歩んで勝者となったのが、やはり牝馬のカノヤザクラであった。
それも昨年のこのセントウルSではサンアディユから5馬身もの水をあけられた馬が、今年は堂々の主役を演じきったのである。
思えば昨年のアイビスサマーダッシュ。
当時私も新潟のこの1000m芝の重賞へ、ジョイフルハートの武豊Jと乗り込んで現地へ行っていたのである。
あの千の芝は、ダート競馬でのダッシュ力では逃げ切れるものでなく、ジョイフルハートは結局後100メートルぐらいで息切れしたのである。
そこを直線の真ん中から出てきたのがサンアディユであった。
勝ち馬が残って興奮さめやらない検量室の前で橋口師がアタフタ。
管理するサンアディユの音無師は小倉での競馬に臨んでおり、ここ新潟には橋口師が臨時代理調教師として業務にあたっていた。
馬主もきてなくて関係者が誰もいない。そこで橋口師が私に表彰式に馬主のかわりに出ろと言う。
「とんでもない」と何とかその場を逃げ切ったのであるが、橋口師は音無師の代わりに台の上で表彰となった。
そんな思い出があったレースなのである。
それが今年は、橋口師がアイビスサマーダッシュを勝ち、このセントウルSへと矛先を向けてきていた。
取材に何度となく押し寄せる報道関係者から、“3着以内ならば優勝”と判ってはいたが、勝利でと思っているのは当然のこと。
それも間にあった北九州記念を、少しカイバ食いが細くなっているので完全なる調子では臨めないと直前に自重してのもの。
すぐ翌週にでも追い切っていたぐらいだから、使おうと思えば使えるぐらいの出来事。それを見事に待つ心境。ここらが師独特の管理術だろう。
そして最終追い切りの今週でも好時計をマークしての、セントウルS出走であった。
一番人気に推されたスズカフェニックスは、ゲート内でかなりうるさく態勢が定まらない。
一番悪い姿勢の時にゲートが開いて、1頭だけが取り残されたゲート出た瞬間であった。まずはそこで結果は決まったようなもの。
好発で内目に潜りこんで前の馬との距離ロスをなくして、直線も柵に近いところから末脚を発揮して、初めて勝負になろうかというスピード競馬。
スタートの時点で、スズカフェニックスの結果は見えてしまった。
先頭にたったのが、幸四郎Jのスプリングソング。
前半3Fが33.5であるから、この開幕週の馬場では極端に速いペースではない。
大外枠から、『スタートを出して行った』と福永Jのシンボリグランが、すぐに3番手に付けている。
カノヤザクラも五分のスタートから4、5番手で脚を貯め、直線まで内目で辛抱。
4角入り口で、少し前の馬達の外目に進路を取りやおら追い出すと、手応えどおりにグイグイと伸びて完勝のゴール。
スズカフェニックスは、3角から外々を追い上げてあがってきたが、4角ではコーナーリングで外へと流される感じ。
同じ位置の1頭内目からあがってきていたジョリーダンスの方が直線では伸びがよく、ゴールへと追いかけるが3着のスプリングソングに迫ったぐらいでゴール。
前で内々で進められた、先行馬ペースのいつもと変わらぬ阪神開幕週の結果。
しかし充実した競馬内容で危なげない勝ち方をしたカノヤザクラ。
夏の牝馬そのものの図式であり、新潟のアイビスサマーダッシュからここへ来るルートが確立されつつあるようだ…。
朝日チャレンジC(G3)
ドリームジャーニーが重賞連勝!完全復調を遂げる!!
発表は414キロしかないドリームジャーニーであるが、パドックでは前後を歩く馬達とそう変わらない大きさに見せる。
確かに背の高さは少し低いのかも知れないが、全く変わらない雰囲気を持っている。
むしろ馬場に出てキャンターに移る瞬間などは、絵に描いたようにクビをぐっとさげてのつる首になって、綺麗なフォームで4コーナーへと向けていく。
凄くいいなと思った瞬間でもあった。
ゲートが開いて好発を切ったのがニルヴァーナの武豊J。
そして岩田Jのトーホウアランも負けじと出はいい。
どちらが行くのかと固唾を呑む瞬間があったが、枠が内で前へ出ていた武豊Jがそのままスッと先頭に1コーナーを廻った。
2コーナーでは2番手がトーホウアラン。3番手にホワイトピルグリム。
けっこう縦長の状態となっていく。キャプテンベガの福永Jも早めに4、5番手の外目で追走している。
あまりゲートが良くなかった様子のドリームジャーニーは後方グループ。
でも全然ゆるぎない感じでの行きっぷりである。
向こう正面で少し離れたぐらいだったが、2番手のトーホウアランが前を行くニルヴァーナに、「そう楽には行かせないぞ」と2馬身ぐらい後を追走。
3角から4角にかけて前のグループは4頭。でも武豊Jは一度も並ばれずに4角を廻った。
そこからトーホウアランが並びかけてきて、その外へ勢いのついたキャプテンベガが並ぶ。
その3頭の争いをしている後に、スーッとドリームジャーニーが忍び寄ってきて、ゴールへあと少しのところではもう勝利は歴然の脚色。
2着争いでは最内のニルヴァーナが抵抗するかと思いきや、脱落して外2頭の追い比べ。
ゴール寸前にトーホウアランが内から出て2着となった。
武豊Jが先手をとって逃げたペースは、千通過が59.8であるから、今のこの馬場コンディションとメンバー的なものを考えればこれ以上ないペースであろう。
最初の1Fだけが12.6の入りで遅かったが、後は12.0が一番遅いペースで、時には11秒台でのラップ。
淡々としたペースを造ってのもの。2番手となった岩田Jのトーホウアラン。
もし武豊Jが先手を主張しなければ、自分でレースを作りに行っていた勢いだった。
もし先手主張ならば、かなり優位にことを進められたはずで、勝利の目も十分にあったのだろう。
2番手でこの着差なのだからである。
勝ったドリームジャーニーは、小倉記念といい今回といい、完全復調と言っていいだろう。
後は超一流のメンバーとなる天皇賞とかで、もっと速い流れが要求され切れも持続性も出さねばならない時がどうかであるが、一時のスランプからは完全に脱出した様子。今後ますます楽しみになった…。
カノヤザクラが優勝、サマースプリントシリーズチャンピオンに輝く!
昨年のシリーズ王者のサンアディユと全く同じ道のりを歩んで勝者となったのが、やはり牝馬のカノヤザクラであった。
それも昨年のこのセントウルSではサンアディユから5馬身もの水をあけられた馬が、今年は堂々の主役を演じきったのである。
思えば昨年のアイビスサマーダッシュ。
当時私も新潟のこの1000m芝の重賞へ、ジョイフルハートの武豊Jと乗り込んで現地へ行っていたのである。
あの千の芝は、ダート競馬でのダッシュ力では逃げ切れるものでなく、ジョイフルハートは結局後100メートルぐらいで息切れしたのである。
そこを直線の真ん中から出てきたのがサンアディユであった。
勝ち馬が残って興奮さめやらない検量室の前で橋口師がアタフタ。
管理するサンアディユの音無師は小倉での競馬に臨んでおり、ここ新潟には橋口師が臨時代理調教師として業務にあたっていた。
馬主もきてなくて関係者が誰もいない。そこで橋口師が私に表彰式に馬主のかわりに出ろと言う。
「とんでもない」と何とかその場を逃げ切ったのであるが、橋口師は音無師の代わりに台の上で表彰となった。
そんな思い出があったレースなのである。
それが今年は、橋口師がアイビスサマーダッシュを勝ち、このセントウルSへと矛先を向けてきていた。
取材に何度となく押し寄せる報道関係者から、“3着以内ならば優勝”と判ってはいたが、勝利でと思っているのは当然のこと。
それも間にあった北九州記念を、少しカイバ食いが細くなっているので完全なる調子では臨めないと直前に自重してのもの。
すぐ翌週にでも追い切っていたぐらいだから、使おうと思えば使えるぐらいの出来事。それを見事に待つ心境。ここらが師独特の管理術だろう。
そして最終追い切りの今週でも好時計をマークしての、セントウルS出走であった。
一番人気に推されたスズカフェニックスは、ゲート内でかなりうるさく態勢が定まらない。
一番悪い姿勢の時にゲートが開いて、1頭だけが取り残されたゲート出た瞬間であった。まずはそこで結果は決まったようなもの。
好発で内目に潜りこんで前の馬との距離ロスをなくして、直線も柵に近いところから末脚を発揮して、初めて勝負になろうかというスピード競馬。
スタートの時点で、スズカフェニックスの結果は見えてしまった。
先頭にたったのが、幸四郎Jのスプリングソング。
前半3Fが33.5であるから、この開幕週の馬場では極端に速いペースではない。
大外枠から、『スタートを出して行った』と福永Jのシンボリグランが、すぐに3番手に付けている。
カノヤザクラも五分のスタートから4、5番手で脚を貯め、直線まで内目で辛抱。
4角入り口で、少し前の馬達の外目に進路を取りやおら追い出すと、手応えどおりにグイグイと伸びて完勝のゴール。
スズカフェニックスは、3角から外々を追い上げてあがってきたが、4角ではコーナーリングで外へと流される感じ。
同じ位置の1頭内目からあがってきていたジョリーダンスの方が直線では伸びがよく、ゴールへと追いかけるが3着のスプリングソングに迫ったぐらいでゴール。
前で内々で進められた、先行馬ペースのいつもと変わらぬ阪神開幕週の結果。
しかし充実した競馬内容で危なげない勝ち方をしたカノヤザクラ。
夏の牝馬そのものの図式であり、新潟のアイビスサマーダッシュからここへ来るルートが確立されつつあるようだ…。
朝日チャレンジC(G3)
ドリームジャーニーが重賞連勝!完全復調を遂げる!!
発表は414キロしかないドリームジャーニーであるが、パドックでは前後を歩く馬達とそう変わらない大きさに見せる。
確かに背の高さは少し低いのかも知れないが、全く変わらない雰囲気を持っている。
むしろ馬場に出てキャンターに移る瞬間などは、絵に描いたようにクビをぐっとさげてのつる首になって、綺麗なフォームで4コーナーへと向けていく。
凄くいいなと思った瞬間でもあった。
ゲートが開いて好発を切ったのがニルヴァーナの武豊J。
そして岩田Jのトーホウアランも負けじと出はいい。
どちらが行くのかと固唾を呑む瞬間があったが、枠が内で前へ出ていた武豊Jがそのままスッと先頭に1コーナーを廻った。
2コーナーでは2番手がトーホウアラン。3番手にホワイトピルグリム。
けっこう縦長の状態となっていく。キャプテンベガの福永Jも早めに4、5番手の外目で追走している。
あまりゲートが良くなかった様子のドリームジャーニーは後方グループ。
でも全然ゆるぎない感じでの行きっぷりである。
向こう正面で少し離れたぐらいだったが、2番手のトーホウアランが前を行くニルヴァーナに、「そう楽には行かせないぞ」と2馬身ぐらい後を追走。
3角から4角にかけて前のグループは4頭。でも武豊Jは一度も並ばれずに4角を廻った。
そこからトーホウアランが並びかけてきて、その外へ勢いのついたキャプテンベガが並ぶ。
その3頭の争いをしている後に、スーッとドリームジャーニーが忍び寄ってきて、ゴールへあと少しのところではもう勝利は歴然の脚色。
2着争いでは最内のニルヴァーナが抵抗するかと思いきや、脱落して外2頭の追い比べ。
ゴール寸前にトーホウアランが内から出て2着となった。
武豊Jが先手をとって逃げたペースは、千通過が59.8であるから、今のこの馬場コンディションとメンバー的なものを考えればこれ以上ないペースであろう。
最初の1Fだけが12.6の入りで遅かったが、後は12.0が一番遅いペースで、時には11秒台でのラップ。
淡々としたペースを造ってのもの。2番手となった岩田Jのトーホウアラン。
もし武豊Jが先手を主張しなければ、自分でレースを作りに行っていた勢いだった。
もし先手主張ならば、かなり優位にことを進められたはずで、勝利の目も十分にあったのだろう。
2番手でこの着差なのだからである。
勝ったドリームジャーニーは、小倉記念といい今回といい、完全復調と言っていいだろう。
後は超一流のメンバーとなる天皇賞とかで、もっと速い流れが要求され切れも持続性も出さねばならない時がどうかであるが、一時のスランプからは完全に脱出した様子。今後ますます楽しみになった…。
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