落馬で休養していた藤岡康太騎手「このまま治らなければ騎手を…」

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昨年8月25日。小倉競馬で落馬、肋骨と右頬骨を骨折。落馬による影響から視界がぼやける不調が続いていた藤岡康太騎手が今週からトレセンでの調教に復帰した。そこで、31日(木)、トレセンでの勤務をはじめた藤岡騎手にこれまでの経緯と、復帰の目処についてうかがった。

-:久しぶりに調教に復帰して、馬に跨ることになりましたが、今の心境はいかがですか?

藤岡康太騎手:いや~、やっぱり楽しいですね。もう一度、馬に乗れることに感謝しています。

-:半年前では想像できなかったと。

康:そのとおりですね。

-:僕もあの時、小倉競馬場で観ていて、直後のパトロールビデオもみていました。正直、生死に関わるくらいの大事故じゃないかと心配になりました。

康:色々な方からもそう言われていました。時間はかかりましたが、時間はかかっても仕事場に戻ってこられたのが嬉しいですね。

-:一番は眼の影響が大きかったですか?

康:そうですね。他の骨折部分に関しては早い段階で完治していたんですけれど、眼はだいぶ時間がかかってしまいました。焦点が二重にみえてしまって。「手術でも治るものじゃなく、自然に治るのを待つしかない」と言われていたんです。

-:そういう状況は精神的にもだいぶこたえると思います。どういう風に克服したのですか?

康:いや~、でも、最初のほうはかなり悩みました。このまま治らなければ騎手を辞めないといけない、とも思いました。でも、悩んだところで仕方ないし、後悔はしたくなかったので、できる限りのことはやっていこうと思いました。色々話を聞いて、東京にもお医者さんを紹介してもらったりして。そうこうする間に治ってきて、これなら、という感じに至りました。

-:相当、落ち込んだんじゃないですか?自分で治せるならまだしも、待って治さなくちゃいけないというのは。

康:落ち込みましたねえ。“日にち薬”しかないと言われていて、つらかったですね。

-:その間はトレーニングもしていたのですか?

康:ある程度良くなってきてからは始めました。どれくらいかかのるかわからなかったので。

-:でも、馬に乗ると、疲れとかはあるんじゃないですか?

康:そうですね。馬に乗る筋肉は乗らないと使わない部分もありますからね。思っていた以上に来る部分はあります。



-:そして、目処として、レースの復帰はいつごろで考えているのですか?

康:う~ん、再来週ぐらいから乗れたらいいと思っています。

-:競馬に対する怖さはどうですか?

康:それに関しては心配ないですね。

-:ファンはそのあたりが心配になるんじゃないかと思います。

康:そうでしょうねえ。実際、落ちたレースを観ていないんですよね。先輩の方々からも「自分が悪くて落ちたなら観たほうがいいけれど、そうじゃないなら、観なくていい」って言われました。

-:康太くんに限らず、騎手の事故は観たくないですからね。早いこと復帰はしてほしいけれど、ちゃんとしたコンディションで戻ってほしいだろうし。

康:せっかく半年も待って治ったのに、また怪我をしたら、どうしようもないですからね。それが一番もったいないですし。

-:この先、騎手人生も長いでしょうし、ここでそんなに焦らなくてもいいでしょうからね。

康:そうですね。じっくり乗れるようになってから、復帰はしたいですね。

-:そんな中での2013年の目標とかありますか?

康:怪我をしない。もう怪我はしないと。ひとまず残りの一年を無事に乗り切ることです。その中で結果を残して、フェアプレー賞を獲れればと思います。

-:フェアプレー賞は去年も獲りましたよね。

康:やっぱり“安全第一”ですからね(笑)。

-:体重はどうですか?

康:ちょっと太りました。

-:そうですよね?フェアプレー賞の表彰式でそう思いました。

康:みんなからも「顔がまるくなったな」と言われましたね(笑)。

-:その点は調教に乗っていれば、解消できるところですね。

康:もともと体重がないほうなので、心配はしていないですね。

-:わかりました。これからの活躍を期待しております。

康:ありがとうございました。応援してください。


藤岡 康太
(ふじおか こうた)
1988年12月19日生まれ
[初免許年] 2007年
[所属] 栗東・宮 徹
[初騎乗] 2007年3月3日1回中京1日目1R ヤマニンプロローグ (1着/16頭)
[初勝利] 2007年3月3日1回中京1日目1R ヤマニンプロローグ
[生涯成績] 3067戦186勝(うち障害0戦0勝)

自厩舎である宮厩舎のスタッフブルゾンをまとい調教に復帰した藤岡康太騎手。戦線復帰の日は近い。