平林雅芳の目

トピックス

日曜京都11R
きさらぎ賞(GⅢ)
芝1800m
勝ちタイム1.48.9

勝ち馬:リーチザクラウン(牡3、栗東・橋口厩舎)

・・・『これでいいでしょう!』と馬上からのひと言だった

ひとつ前の競走はスタンドの2階から大勢のファンと一緒に観戦していたので、メインのきさらぎ賞のパドックへは大急ぎ。
やはり、パドックは馬が入ってくる瞬間から見たいもの。
いろんな事を教えてくれる気がするからだ。
でも、それとは別に、リーチザクラウンの馬体重が4キロ減っているのが凄く気がかりだったのである。
中間の馬体を見ていても、少し腹目があがっている感じを受けていた。
実際にこの目で見た第一印象で判断したかったのだ。

馬が入ってきて周回しだした。
いつものポイントで馬を観る。
真っ先に目に入るのは、当然リーチザクラウンだ。
でも実際に馬を見て、正直安心した。
数字ほど細くはない。
確かに腹目はやや上がり気味であるが、全体のバランスから観るとそんなに悪くはない。
自分自身との戦いと思っていただけに、まずはパドックでの馬体を見て安心した次第であった。

ゲートが開いた。やはりリーチザクラウンの出は速い。
他の馬がどう出るのかがこのレースの課題みたいなものだったが、結局誰も行く気のないスタート地点からの動きだった。
それを確認する間もなく、武豊Jの選択肢に抑えて競馬するなんて事は、これぽっちも無かったのではないだろうか。
それほどケレン味なくスッと前に出て、自分の競馬をした。
最内枠のトモロポケットが内ラチ沿いを行ったが、他は一団となって馬場の5頭目分ぐらいを進んだ。
3角を廻るあたりで、2、3番手につけていたスズノハミルトンが内へ入り込み、すぐ後ろにいたキタサンガイセンハイローラーに不利が生じた。
馬混みが固まっている時のアクシデントだっただけに、連動して各馬に動きが出た。
リクエストソングが一番内へ進路を取ったのが見えた。

10Rから芝も良馬場に回復していたが、リーチザクラウンの先行ペースはゆったりで、千通過が1.01.7と出た。
『これは遅い、しかも折り合ってのものだから大丈夫』と、確信を持てる行きっぷりであった。

直線に入ってきた。
4角は内目だったが、直線では馬場の真ん中へと進路を替えて馬場のいい処を走らせようとの鞍上の心配りも読めた。
ステッキが一発。
これは叱咤激励のためだろうと思えたし、今後のためにも馬に勝負の厳しさを教えてやるのはいい事だろうと思う。
直線あと1Fあたりで、鞍上はチラッとオーロラビジョンを見たように思えたが、(後でパトロールビデオを見ても確認できなかったが)後ろとの馬の間隔を測っていたに違いない。
2着は、最内へ進路を取らざるを得なかったリクエストソングが上がってきて確保。
3着は、ベストメンバーが粘るかと思えたところだったが、外へ外へとゴール前で逃げ気味となり、その開いたところへ関東馬のエンブリオがもの凄い脚を使って突っ込んできていた。不利のあったキタサンガイセンが5着。
ここらは無念な競馬だったろうと推測される。

カメラマンの方には申し訳ないが、引き上げてくる馬上からのひと言を競馬ファンに伝えるするために馬道近くで待っていた。
いい映像を撮ろうとしているカメラメンの方達も、私がその間に入ってしまうことには、もう慣れっこになっているのではと思っている。

武豊Jの今回のひと言は、『これでいいでしょう』であった。
おそらく逃げて勝ったことに言及しているのだろうと思える。
理想は、抑えて直線抜け出しての勝ち方だっただろうが・・。
次回皐月賞、そしてダービーと進むローテーションは決まっている。
きさらぎ賞のレイをかけて貰い検量室前の枠場あたりを周回している時に、担当の村木さんが『これからは体重との戦いだな~』とポツリと漏らした。
これ以上減らしたくないのは当然だし、大きな仕事をするには逞しさも必要だ。
でもそれは先の話として、今日は負けられない一戦を落とさず快勝した事に意義があると思ったのであった・・・。