待望の本格化エアソミュール ユタカも全開宣言「秋は目立ちたい」

●10月12日(日) 4回東京2日目11R 第65回 毎日王冠(GⅡ)(芝1800m)

かつてはG1馬の秋緒戦としての様相が色濃い一戦だった毎日王冠。しかし、今年はG1馬は一頭のみと、戦前のメンバー構成からは実力伯仲の一戦となった。

前評判、レース内容ともに激戦を制したのはエアソミュール(牡5、栗東・角居厩舎)。予てから折り合い面が課題とされていたが、久々に手綱を執った武豊騎手の柔らかなタッチに導かれ、道中は平均ペースを中団に構える。ところが、満を持して直線でエンジンをかけていくと、他馬に挟まれる形になり、万事休すかと思われた。しかし、これもソラを使う癖のある同馬にとっては吉と出たのだろう。僅かに開いたスペースから抜け出すと、脚色は出色のもの。鮮やかに脚を伸ばして、ゴール前でサンレイレーザーをとらえた。

「ラストでもう一段伸びてくれましたね。それに、以前よりずいぶん乗りやすくなっています。この馬でこれだけ折り合えたのも初めて。流石、角居厩舎のスタッフですね」と武豊騎手は陣営を讃えると、角居勝彦調教師も「年齢を重ねたことで落ち着いてきましたね。ようやく完成の域に近づいてきました」と成長を実感。2冠馬エアシャカール、エアデジャヴーが近親にいる良血馬の本格化に目尻を下げた。

武豊

昨秋から数えれば、これで6戦4勝。G3、G2と高いグレードのタイトルも手にし、残すところの目標は当然ながらG1となってくる。盾にエピファネイア、デニムアンドルビーらと3本の矢を放つ公算の名トレーナーは、「左回りで直線の長いコースも合いますし、ここを勝てたことで、(G1が)少しずつ近くなってきましたね」と大目標を意識。「もっとコントロールしやすくなれば良いですね」と課題を与えることも忘れなかったが、次戦へ向けての手応えを滲ませた。

また、骨折による休養から勝ち星に見放されていたものの、前日の京都で3勝をマークするなど、ようやくエンジンのかかってきた名手も「春はずいぶんおとなしくしていましたから、秋は目立ちたいですね」とユタカ節で下半期の大爆発を示唆した。

期せずして、今年の天皇賞(秋)直前のレースは「豪快な淑女 ウオッカカップ」。歴史的名勝負と謳われた2008年の天皇賞にあやかり、ウオッカのモニュメントに染まった府中の舞台。期せずして、武豊騎手、角居勝彦調教師にとってゆかりの名牝を連想させる一日は、エアソミュールと共に凱歌をあげることができるか。人馬にとって大一番の一戦を迎える。

武豊

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