ジャパンカップ/平林雅芳の目

トピックス

日曜東京10R
ジャパンカップ(GⅠ)
芝2400m
勝ちタイム2.24.4
勝ち馬:ウオッカ
(牝5、栗東・角居厩舎)

■ウオッカがハナ差こらえJCを制す。

府中でハナ差勝ち。
ウオッカは、昨年の天皇賞でも際どい勝負ながらも先んじる勝負強さ。
今回のJCも、先に抜け出て楽勝かと思われた時にオウケンブルースリが猛追。
ゴール過ぎた時には明らかに外のオウケンが有利。
しかしオーロラビジョンのスローモーションで映し出されるのを観ると、僅かに残っていた。
しばらく時間がかかった写真判定で一番上に⑤の数字が先に出た時には、大勢の場内から『ワーツ』と声が出た。
国民の馬、大勢のファンの馬、VODDKのGⅠ7勝目であった・・・。

しばらくレースを観戦していた処から降りられなかった。
やがて、写真判定の歓声で我に返った。
そのまま馬場の内側で行われる表彰式を眺めていた。
『何であそこに居られないのだろう?』と自問しながら、笑顔の美しいウオッカ関係者を羨ましく見ていた・・。

大勢の人でもうパドックには入れず。
仕方なくパドック出口の馬道トンネルのところから垣間見ていた。
2周ぐらい見ていただろうか。
レッドディザイアが、今日も『これでもか』というくらい大外を廻っていた。
完歩が大きくて前の馬に追いついてしまうのだろう。
こんな大舞台でも動じていないのが凄い。
毛艶は今ひとつだが迫力はある。
ウオッカも落ち着いて黒光りする馬体で静かに歩いていた。
リーチザクラウンも、テンションも上がらず悪くない。
オウケンブルースリは、おどけた感じに見える馬体だ。
コンデュイットはそんなに体高のない馬だが、雰囲気は十分な馬。
逆にスクリーンヒーローは、前走時は良く見えたのに今日はあまりパッとしなかった。
そうそう、エイシンデピュティも良くなったという印象だった。

一番早くリーチザクラウンが入って、4コーナーを逆に走り去って行った。
ウオッカが入ってきて、1コーナーの方へキャンターで進めて行くと、スタンドから大歓声が上がった。
やはりウオッカは国民的ヒーローだ。
そして集合合図がかかって、ウオッカ達がまた目の前をゲートの方に向かう背中に大きな声援が飛んだ。
そして目の前に広がる大勢のファンの中には、ウオッカの勝負服がかなり見られた。今日も熱狂ファンが多い。

スタートはウオッカが一番速かったかも知れない。
エイシンデピュティが出て行くのをリーチザクラウンが見ている間に、一番内からアサクサキングスがスルスルと出て行った。
『あれっ、違う流れになるか?』と思った2コーナー過ぎには、やはりリーチザクラウンが先頭に立ってラップを刻んで行った。
そんなに馬鹿っ速くなく、平均ペースで流れている感じだ。
3コーナーを過ぎて2番手、3番手が入れ替わって、エイシンデピュティが先頭に立った。
ウオッカはその後ろだ。
スクリーンヒーローが意外と前におらず、中団である。
オウケンブルースリは後方待機だ。

4コーナーを廻って、リーチザクラウンとエイシンデピュテイの差はそんなに開いていない。
後続馬もだいぶ近づいてきていた。
ウオッカもいい感じで直線へ向いた。

残り2ハロン、リーチザクラウンの横にエイシンデピュテイが並んだ。
そしてその横へウオッカが並ぶが、まだ追ってない。

残り1ハロン。
そこらでルメールが追い出しにかかると、瞬く間に後ろとの差が出た。
その時、外から鼻の白い馬があがって来た。
オウケンブルースリである。
そのだいぶ内目からレッドディザイアも出てきた。

前を追う2頭。
オウケンブルースリの伸びはかなり鋭く、勢い的にも先に出ていたウオッカを抜きそうだ。
レッドディザイアも伸びが良く、前の馬との差を詰めていった。

ウオッカとオウケンブルースリとの差がみるみる無くなってきた。
外のオウケンの勢いが優るが、何とも言えない状況で2頭がゴールへ突っ込んだ。
そこから少しだけ遅れて、レッドデイザイア。
ちょっと前の馬が進路上に出てきて、内へ切れ込みながらのゴールであった。
4着はそこから離れてコンデュイットが入った。
スクリーンヒーローは直線で盛り返すこともなかった。

ウオッカは4番手の好位を折り合いよく追走。
直線もだいぶ追い出しを待った感じだ。
それでもオウケンブルースリにかなり迫られた様に、やはり距離的にはギリギリなものだろう。
でもこれだけやれるのだから凄い牝馬である。
オウケンブルースリは、思ったほどにいい位置でレースが出来なかった。
終いいい脚だった位置を考えると、負けは仕方ないのかも知れない。

驚きはやはりレッドディザイア。
直線で内から外へ出しての伸びは鮮やか。地力のある処をまたまた見せた。
リーチザクラウンはまだまだ一本調子なのか。脚質転換が出来ないと苦しい。
来年の課題はそこら辺ににあるのだろうか・・。
絶好調カンパニーがいないのなら、やはりウオッカは負けられない。
惜しむらくは、オウケンブルースリだろう。
もっと前でレースが出来なかったのが惜しまれる。

国民的アイドルホースのウオッカの勝利。
いつまでも強いウオッカの酔いに浸っていたのは、詰めかけた大勢のファンだった・・。



土曜京都11R
京阪杯(GⅢ)
芝1200m
勝ちタイム1.07.6

勝ち馬:プレミアムボックス
(牡6、栗東・上原厩舎)

最近ではなかなかない、前を後ろの馬が入れ替わるほどの速い流れでのレースとなった。
前半3Fが33.1で1000メートルも55.6と、猛ペースで進んだ先行馬。
ゴール前を賑わしたのは、馬場の外を追い込んでくる馬ばかり。
プレミアムボックスが、先に出たレディルージュをアッサリと交して、夏のCBC賞の再現と言わんばかりの勝ちっぷりだった。

グッドキララがポンと出て行った。かなりいいダッシュ力だ。
そこを直ぐに、人気のアルティマトゥーレと中館Jセブンシークィーンが上がって行った。
3コーナーを下るあたりでは、この3頭が少し後続を離し気味な感じとなった。
その2番手グループの先頭にアーリーロブスト。
エイシンタイガーらもこの位置である。
先行馬の後ろの外目に、もうレディルージュも位置していた。
中団の内目につけたラインブラッドもいい手応えだ。

直線入り口で、前を行くグループと後ろがぐっと詰まってきた。
前を行く馬の勢いより、後ろの馬の方が断然いい。
レディルージュが、いい感じで直線外目から先頭を伺う勢いで伸び出すと、後方に待機していた馬たちも、直線で大外から伸び出した。

一気に上がってきたのがプレミアムボックスである。
前を行くレディルージュに並んで、僅かに先に出てゴールを駆け抜けた。
同じように伸びてきていたヘイローフジが3着。
ラインブラッドは伸びきれずに5着であった。
人気のアルティマトゥーレはあれだけ堅実だったのに、今日は粘りがまったくなく8着。
エイシンタイガーも終いが持たなかった。

近走いい脚は使っていても届かなかったプレミアムボックスだったが、今回は前が飛ばす流れもよく、3コーナーでは後ろから4頭目のポジションでのレース。
直線で、それこそ弾ける感じでメンバー中最速の上がり脚を使っての差しきり勝ちだった。
惜しかったのがレディルージュで、今日もいいタイミングで出たはずだが、あの脚を使われては仕方ない負けか。
でも堅実だし、そのうちにと言った内容だ。
最近は前残りの流ればかり続いていたが、今日は珍しく前つぶれの展開となった・・。