【天皇賞(春)】悲願へウインバリアシオン「力は出せる」

29日、天皇賞(春)(G1)の追い切りが栗東トレセンにて行われた。昨年の2着馬ウインバリアシオン(牡7、栗東・松永昌厩舎)は福永祐一騎手が騎乗し、坂路を単走での追い切り。厩舎のスポークスマンであり、同馬の追い切りを担当している中山調教助手も「2週前の時点で“イイな”と思える動きをしていたからね。もう強い攻めはいらないし、今週もサッとで十分ですよ」と語るように終い重点のメニューでラップを刻むと、4F54.1-39.4-25.8-13.1秒で最終リハを終えた。

しかし、手綱をとった福永騎手は「正直、動きは平凡でした。最後の1Fでもう少し伸びるかと思ったのですが、伸びなかったですね」と物足りない口ぶり。それでも「あれだけキャリアのある馬なのでね、どれくらい動きが良かった、というよりかはどれくらいの調教量を消化できるかが重要だと思います」と分析。それもそのはず、百戦錬磨の7歳馬。尚且つ2度の屈腱炎を乗り越えたキャリアからも、陣営は脚元には細心の注意を払うはず。態勢は整っているからこその出走ゴーサインといっていいだろう。

昨年暮れの金鯱賞、有馬記念と2桁着順が続き、悲願のG1制覇は夢に潰えたかと思われたが、前走の日経賞では復調をアピールする2着好走。復活の狼煙を上げた。「前走はジョッキーが天皇賞を見据えるような競馬をしていた感じだね。でも、内でジッと脚をためて運ぶより、勢いをつけて外を回した方がいい。今回はそんな競馬になるんじゃないかな」と同助手はレースプランを描く。
昨年の天皇賞でもレース直前に乗り替わりとなるアクシデントがありながらも、タイム差なしの2着、2012年の同レースでも3着。コース適性も証明済みだ。今年が現役最後のシーズンであることが示唆されている4度のG1・2着馬は初G1制覇なるか。悲願に懸ける思いはどの陣営よりも強いはずだ。



5月3日(日)に行われる天皇賞(春)(G1)の最終追い切りが栗東トレセンにて行われた。
ウインバリアシオンに騎乗する福永祐一騎手の一問一答は以下の通り。

●最終追いには慎重な意見も

-:今週、追い切りに乗られてみての感触はいかがでしょうか?

福永祐一騎手:坂路を単走で追い切ったのですが、厩舎からは「最後の1Fを伸ばしてくれ」との指示でした。全体は53~54秒くらいの時計で考えていたのですが、正直、動きは平凡でしたね。

-:追い切りの感触ではもう少し物足りない部分もあるということですか?

福:最後の1Fでもう少し伸びるかと思ったのですが、伸びなかったですね。単走だったせいかとは思います。あれだけキャリアのある馬なのでね、どれくらい動きが良かった、というよりかはどれくらいの調教量を消化できるかが重要だと思います。若馬のように今週の動きが良くなかったということに心配はないですね。

-:日経賞を使ってこれが叩き2走目ということになります。その上積みはいかがでしょうか?

福:前回がある程度、良い状態で使えていましたからね。そんなに大きな上積みはありませんが、同じくらいかそれより良い状態で使えると思います。普段がCWで追い切りをしている馬で、久々に坂路で単走で追い切ったせいか、見栄えは良くなかったかもしれませんが、心配はないと思いますよ。

ウインバリアシオン

▲先週に続き福永騎手を背に追い切られたウインバリアシオン


-:福永さんにとってもウインバリアシオンという馬はデビューから2戦手綱を執って、日経賞では4年ぶりの騎乗でした。その変化はありましたか?

福:僕が知っているのは2~3歳の頃ですからね。さすがに完成されています。最初の頃は歩いていても脚を引きずって歩くような馬でしたが、いまはシャンシャン歩いています(笑)。ハーツクライ産駒の良さというか、成長力をあの馬には感じますね。

-:7歳となりますが、衰えはないでしょうか?

福:そうだと思いますね。一般的には競走馬は4~5歳が良い時期なのでしょうが、その時期に乗っていないので比較はできません。しかし、今乗っている感じでは衰えも感じませんし、動きも良いですから。ある程度はやれると思います。

●ゆかりのチームでタイトルを

-:天皇賞は3200mの長丁場です。レースのポイントは様々あると思いますが、どのあたりに感じていらっしゃりますか?

福:長い距離は折り合いが重要視されていますが、あの馬は乗りやすい馬で心配ないですからね。天皇賞でも実際に結果を出しているように、コース・距離ともに不安はないですね。一番のポイントは脚元の不安、爪の不安がある馬ですから、そこだけが心配でしたが、前回もそういったところもなく順調に調教を消化して良い結果が出ていましたからね。今回も予定通りの調教ができていますから、力は出せるのではないかと思います。

-:2度の屈腱炎がありましたが、その不安もなく挑めると。

福:予定通りの調教をこなして、レースに使えるということは大丈夫です。

-:ウインバリアシオンにとっては10度目の重賞挑戦となり、悲願のG1制覇が懸かります。

福:そうですね。G1では初めて乗せてもらいますが、惜敗続きの馬ですから、関係者はそういった思いを強く感じているでしょうし、僕自身、良い結果を出せるよう全力を尽くしたいと思います。2度の屈腱炎を患いながらも10度もG1に使えることは、凄いことだと思いますし、有力馬の一頭としてエントリーできることも凄いと思います。また、携わっている厩務員、調教助手の方々も、(福永騎手にゆかりのある)旧北橋、瀬戸口厩舎のスタッフなので、気心の知れたスタッフと共にG1に挑戦できることは、僕にとっても違った思いがあります。ぜひ、良い結果を出せるよう一緒に頑張っていきたいと思います。

-:最後にこの馬にG1タイトルを、と思うファンの方々も多いと思います。ファンへ向けてのメッセージをお願いします。

福:たくさん応援してくださっているファンがいることは知っています。順調に調整は出来ていますので、そういったファンの期待に応えられるよう頑張りたいと思います。応援よろしくお願い致します。