クラリティスカイ、3歳のマイル王だ!今日も横山典Jだ!!

クラリティスカイ

15年5月10日(日)2回東京6日目11R 第20回NHKマイルC(G1)(芝1600m)

クラリティスカイ
(牡3、栗東・友道厩舎)
父:クロフネ
母:タイキクラリティ
母父:スペシャルウィーク

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このクラスで1000mの通過が59.3は遅い流れだろう。誰もが遅いと判ってはいるが動けない。今いる位置で折り合って終いにかける。そんな様子に見える。
絶好のポジションで我慢させたクラリティスカイ。ラスト2ハロンで、前がパカっと視界が広がる。先に出たアルビアーノに並んで追い合いを制しての勝利となった。


パドックで馬を見渡す。さすがにここに出てくるレベルの馬は、みな馬体がいい。どの馬もチャンスありに見えてしまう。グランシルクの馬体は初めて見る。もっと凄い馬なのかとイメージしていたが、案外にこじんまりしているのに驚く。アルビアーノも目の当たりにするのは初めて。落ち着いた馬である。
もう判らなくなって、早めに切り上げていつもの場所で返し馬も見る。カメラマン席の端っこで見させて貰っている。すぐ左手に厩舎関係者の席がある。そこに今日も友道師が座る。いつもここへ上がってくる。きっと験がいいのだろう。ゴール近くで誰かテーブルを叩く音がしていたが、きっと、おそらく彼がしていたのだろう。
同じエレベーターで下りる時に《オーナーはG1は初めてですか?》と尋ねる。やっぱり《そうだ》との返事が返ってきた。そして勝ち時計が2歳時にここでレコードで勝ったタイムとまったく同じ数字だということ気が付く。持ち時計だけは走るって事だと。

前半の1000Mが59.3。それでも2Fめから11秒台の連続が3ハロン続く。そして12.1とややペースを緩めた後の上がり3Fが11.1~11.3~11.8である。これでは後ろからの馬では、相当なる脚でないと差し切れない。3着のミュゼスルタンと4着アヴニールマルシェが最速の上がり33.8の切れである。だが勝馬クラリティスカイも33.9である。いかに絶好の位置で脚を貯めて、一気にその貯めた力を爆発させているのかだろう。

検量室の中でPVを観たりしていると、横山典Jが近づいてきて握手を求める。そして《今日も難しかったけどね~》と、この流れで辛抱させた事を言うのだろう。それを《俺はやったんだぜと》言いたげに。面白い男である。言葉は少ないが、その中に意味がちゃんとあるのを知る男だ。

PVを観ていて気が付いた事がある。アルビアーノが、最後までステッキを使っていない。今までの競馬がどうだったのかを知らない。だから比較は出来ないが、今日は最後まで手綱の操作だけだった。内へもたれていたのだろうか。逃げなくともレースが出来て、1馬身差ながら頑張った外国産馬の牝馬。この馬もおそらく今後、マイル路線で名をあげてくるのだろう。ミュゼスルタンも骨折開けを叩いての今回、内容はさすがである。

この後の路線がどうなるのか。ここに出てきているメンバーは、今後も面白い戦いを見せてくれるはずである。そんな3歳マイル王決定戦でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。