続・北北の話(12/12)

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ジャパンカップダート、見事な世代交代が実現しました。王座に君臨してきたヴァーミリアンが敗因不明の8着に沈み、4歳馬エスポワールシチーが圧勝の逃げ切り。2、3着には3歳馬が続きました。

「恐れ入りました、だね。馬も強かったが、てっちゃん(佐藤哲騎手)の劇逃げ、見事!!」ジャパンカップの馬券ゲットの勢いに乗って「世代交代」を予言、意気揚々と阪神競馬場に乗り込んだTC紙のN記者でしたが、狙ったサクセスブロッケンは4着まで。しかし、なぜか電話の声に暗さはありませんでした。

「いやな、てっちゃん、2年前に骨折して、もう引退するんじゃないか、というところまで追い込まれていたんだよ。そんな時に、このエスポワールシチーとコンビを組むようになって、現役続行の光が差した、ってことだ。エスポワールはフランス語でまさしく希望なんだな。いい話さ」とN記者は、いつになくロマン派の感想です。

佐藤哲騎手と言えばタップダンスシチー、ジャパンカップのぶっちぎり逃げ切りVが最大の武勇伝でした。あまり器用さはありませんが、思い切った騎乗ぶりが持ち味。騎手界では競艇の舟券名人として知られていますが、そんな勝負師としての一面がレース騎乗でも顔を覗かせて、穴党には隠れた人気があります。

「同時進行で行われていたWSJSはノリちゃん(横山典騎手)が優勝した。てっちゃんとノリちゃん、ベテラン騎手の奮闘はすがすがしい限りよ」とN記者。佐藤哲、横山典騎手はアラフォー世代。N記者が競馬記者駆け出しの頃にデビューした長い付き合いの面々です。横山典騎手も今年は大ブレイクの年でした。

N記者は引き続き関西に居残って、今週の阪神JFを取材中です。ジャパンカップを仕留めてゲットした軍資金には、まだ余裕があるとのこと。難解な2歳牝馬たちの争いにも強気の姿勢を崩していません。

「仕上がり具合が気になっていたシンメイフジに問題はないようだ。新潟2歳Sで見せたド派手な追い込み、只者じゃないさ。ひょっとするとブエナビスタの上を行くかもしれん」とN記者。シンメイフジはその新潟2歳S以来、3カ月ぶりの出走ですが、N記者が栗東トレセン坂路コースで直に追い切りをチェックしての結論は「GO!!」のようです。ブエナビスタのような極端なレースぶりのタイプは個性派として注目を集めますが、シンメイフジもここでGI奪取となると一躍スターの座にのし上がります。

「ブエナビスタに横山典騎手が乗ることになったんですね」タイミング良く、札幌のすすきの馬券連、学生君から電話が入りました。札幌記念から追い込み不発のレースが続いていたブエナビスタが鞍上を換えて有馬記念を目指す、というニュースが各紙の紙面に踊っていました。

「いいですね。追い込み上手の横山典騎手は、絶対ブエナビスタに合っていますよ。今年はダービーも天皇賞も勝って、横山イヤー。最後の大一番も締めくくってくれそうです」と学生君の気持ちは、早くも有馬記念に飛んでいるようです。

「それはそうと、こちらは大変なんですよ」と学生君の報告が続きます。

「店長氏、極度の馬券不振、まあ、いつものことですけど、それでやけになって、阪神JFは人気薄6頭の3連単ボックスだ!!なんて騒いでいるんです。大丈夫ですかね、年を越せるのかな~」

まだ完成していない2歳牝馬の争いは、確かに波乱の要素はたっぷりです。ここ数年は人気馬が好走していますが、それだけにそろそろ大爆発…。まあ、店長氏にしてみれば傾向も対策も関係なく、とにかく大穴馬券をゲットして、負け続きの今年の馬券収支の帳尻を合わせたい、というところでしょう。北の大地は厳冬を間近に控えています。今年も馬券で明け暮れた1年、寒さが骨の髄までしみ込むか、起死回生の一撃でハッピーエンドを迎えるか…。2009年もいよいよ大詰めです。(第67話終了)