陣営も想定外の戴冠!規格外の新マイル王 その名はモーリス

●6月7日(日) 3回東京2日目11R 第65回 安田記念(G1)(芝1600m)

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの敏腕トレーナーをして「これだけ短い間にG1まで登り詰めるとは、全く想像していませんでした」と驚きを隠さなかった勝利。まだ荒削りで伸びしろたっぷりの新マイル王が誕生だ。

戦前の心配をよそに、今日はまずまずのスタートを決めるとそのまま好位まで押し上げたモーリス(牡4、美浦・堀厩舎)。持ったままの手応えで直線半ばを迎えると、粘るケイアイエレガントを並ぶ間も交わし去り、あっという間にリードを広げる。最後は迫るヴァンセンヌを横目にもう一度一伸びを見せ、まさに横綱相撲と呼ぶに相応しいレース内容となった。

今回、鞍上に選ばれたのは栗東所属時の背中を知る川田将雅騎手。「2歳の時からすごく良い馬だと思っていました。やっぱり、走る馬だったんだなと。本当に良い時に乗せてもらいましたよ」と久々の邂逅と、最高の結果を心から喜んだ。

懸念材料だったゲートについては「出た場合、出なかった場合ともに想定していた」と振り返り、「少しハミを噛む場面はありましたが我慢してくれましたし、直線も追い出しを待つ余裕がありました。最後はよく凌いでくれた。今日は持久力を活かせましたよ」とパートナーに最敬礼。

モーリス

モーリス

これで転厩をキッカケに無傷の4連勝で戴冠。一体この勢いはどこまで続くのだろうか。冒頭でも触れたように、よもやのG1制覇となった堀宣行調教師は「短期間で急に支持を受けるようになった中、人気に応えられてホッとしました」と安堵の表情。

とはいえ、陣営が今後の更なる飛躍を期待する存在。「スタッフ共々、ゲートが苦手な原因もはっきりつかんでいて、その改善に努めています。今日は舌を縛りました。2歳時の調教VTRを見ても、舌を出して走ることが多かったですから」と一歩ずつ、課題を克服している段階だ。

そして指揮官は「本当は持ち味を生かすのに距離を延ばしたいと思っていた」と告白。「ただ、今日も行きたがっていましたから。まだ(中距離路線への)道程は遠いですね」と苦笑いで付け加えたが、様々な夢と可能性に満ち溢れたモーリスと共に、さらなる高みを目指す戦いが、今日の安田記念制覇から始まったのは間違いない。

モーリス

モーリス