モーリス、4連勝でマイル王に到達!

モーリス

15年6月7日(日)3回東京2日目11R 第65回安田記念(G1)(芝1600m)

モーリス
(牡4、美浦・堀厩舎)
父:スクリーンヒーロー
母:メジロフランシス
母父:カーネギー

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いつもは後ろからの競馬しか見た記憶しかないモーリスが、今日は前で競馬をしている。3番手で4角を廻った。それも手応えが十分すぎるほど。ラスト400mを過ぎたあたりで先行した馬を抜き、小さく右後ろを確認して、先頭に立ってからはターフビジョン見て後続の動きを確認する余裕の追い出し。ヴァンセンヌがゴール前で猛追して来たが、感覚的には届かないと知っていたはず。ついにモーリスが4連勝でマイルの頂点に立った。


好発をしたミッキーアイル。皮肉なもので、控えるレースをしている時にロケットダッシュのスタート。浜中Jの心の中では、行きたがったら行かせてもの気持ちがあったはず。しかしそれを打ち消す様な、内田Jの奇襲策のリアルインパクト。凄いアクションで出て行く。ケイアイエレガントレッドアリオンが来て、内で押さえるミッキーアイル。しかし、かなり行きたがる素振り。その横をモーリスがすっと前に付けていく。流れは3F34.3と、そう速くもない。その間に、モーリスはミッキーアイルの前に出て4番手で3角を廻る。フィエロ、レッドアリオンがその後ろにいる。ヴァンセンヌは、メイショウマンボカレンブラックヒルのいる後ろ目のインコース。前からはけっこうな位置だ。

淡々と流れていく。4角手前では3番手で、前の2頭の直後。川田Jの持つ手綱がピーンと張っている。真後ろにレッドアリオン。その内にフィエロもいい手応えで4角に入ってくる。馬場の内目を馬群はコンパクトにまとまっている。先行2頭では、ケイアイエレガントの手応えがまだ悪くない。逃げたリアルインパクトの方は、手応えもない。

赤と白のハロン棒を過ぎたあたりで、川田Jがチラっと右後ろを小さく見た。そして先頭に立っていく。レッドアリオンとフィエロが追い出しているが、前との差は詰まらない。フィエロの伸びが案外である。その真後ろにいたヴァンセンヌが、ジワジワと外へ出して来た。レッドアリオンの外まで出して、前を追う。モーリスとの差が1馬身、半馬身、と近づいていく。川田Jが独特のフォームで最後の詰めをしたところへ並び加減で入るが、僅かにクビ差届かずだった。

関西から転厩して4戦全勝。それもG1初挑戦での快挙。父スクリーンヒーロー共々の初G1 勝利となった。
堀厩舎は、先週のダービーに続いての2週連続。鞍上の川田Jは、今日はこの鞍だけ。要らぬ邪心を持たぬのもいいのかも知れない。
スタートは格別に良かった訳ではないが、その後の馬の行く気に任せてすぐに好位付け。そして流れに乗ってドンドンと前に出ていく積極策。流れにも乗り、レースを自分で造っていった形だ。
ダノンシャークは見せ場もなく、ダイワマッジョーレは出遅れが響いた。カレンブラックヒルは、そう速くないスタートでは前に行けない。クラレントが良く頑張って3着。これは流れに乗れているからこそだろう。フィエロが案外だった。でも馬体は相変わらずいいから、どこかで巻き返しがあるはず。秋を待とう。

上半期のマイル王はモーリスが輝いた。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。