エイシンヒカリ、イメージチェンジの勝利で重賞初勝利!

エイシンヒカリ

15年6月14日(日)3回東京4日目11R 第32回エプソムC(G3)(芝1800m)

エイシンヒカリ
(牡4、栗東・坂口厩舎)
父:ディープインパクト
母:キャタリナ
母父:Storm Cat

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昨年の覇者、ディサイファをさしおいて関西馬2頭が人気を分け合う。僅かにサトノライジンが1番人気。2番人気のエイシンヒカリは、府中のアイルランドTで直線で外へと斜行しての勝利と危ない面を懸念されたのかも知れない。
逃げるエイシンヒカリか差すサトノライジンかと、どちらが勝つのかの見方であった。離し逃げのイメージがあるエイシンヒカリを、ジワーっとした逃げで直線ラスト1ハロンから追い出しを待つ武豊J。内を突くサトノライジンの勢いも悪くない。交せそうで交せない、そんな感じで最後は同じ脚色となった2頭。エイシンヒカリが8戦目で初重賞に届いた。

2歳時のラジオNIKKEI杯2歳Sでは、1番人気の支持を受けたサトノライジン。3歳秋には菊花賞へも出たが、距離適性は1800ぐらいまでが最高のパフォーマンスを引き出す様である。ルメールJに手綱が納まってから2連勝。相当なる切れ味で準オープン、オープン特別と人気に応えてきた。ここも堂々の1番人気支持だ。
そしてエイシンヒカリ。外へ斜行したアイルランドTでも勝利を収めた様に、スピードという最大の武器は素晴らしい馬。今回はパドックだけB着用と、工夫をこらされた。師からは《観客を観て入れ込む様なんで、それを軽減させる意味合いで…》と訊いている。この馬のいい処は、前走の京都の時でもパドックから返し馬も入れ込みがキツかったのだが、ゲート入りすると大人しく開くのを待っている処である。今回も中で大人しくしていた。

そしてゲート・オープン。内のゲシュタルトが好発。エイシンヒカリは2番目の出だった。少し様子を観た武豊J。どうやら行く気配がないと見たのか、ジワっとゲシュタルトの前へと出て行く。外からフェスティヴタローが上がって来て2番手にあがる。この馬の玉砕的な逃げがあるのかと危惧していたのだが、どうやら田中勝Jは大人な様である。
サトノライジンが4番手、ディサイファは後方で脚を貯める。後でPVを見ると、エイシンヒカリ、フェスティヴタローにサトノライジンと、3頭が縦の位置で一直線で少し内を開けて走っていた。その内へゲシュタルトが入って追走の形だった。
だいぶ馬場が荒れてきているのだろう。淡々と流れる。道中どこかでフェスティヴタローが前に出て行くのではないかと、要らぬ心配ばかりする当方。しかし半馬身差までで、4角へと来た。ディサイファが中団の外目へと少し上がってきている。馬群はほとんど差のないひとつの塊りとなって、直線に入ってきた。

直線のどこら辺で追うのだろうかと興味深々。ラスト400mが近づいたあたりで追い出す武豊J。サトノライジンは内へ進路を切り替えて、ラチ沿いに入ってきた。ラスト200mではまだ2馬身近くあった差を、ゴールが近づくにつれジワジワと狭めてくるサトノライジン。右ステッキで外へ行くのを2度ばかり矯正した武豊J。ゴールが近づくにつれ、その差がなくなってきた。しかし抜かせないエイシンヒカリ、クビの差を残して先にゴールをした。
最後の1ハロンだけが12.2と時計を要したが、後はスタート直後のひとつめをのぞき、11秒台のラップ。直線では11.2~11.2でギアをあげている。ラチ沿いを追う方が馬は伸びるはず。それを何とか我慢して凌いだエイシンヒカリ。1、2、3着がディープインパクトを父にする馬。1,2着は母がストームキャットで、これはキズナとも同じ配合である。

火曜朝に坂口師に話を訊けた。『いや~、良く我慢してくれたね。差されるかと思ったけどね~』と、意外と師は冷や汗ものだった様である。そしてこの後のスケジュールについても『夏は弱い馬だし、ひと息入れます。どこへ向かうのかは、またオーナーサイドに訊いておきます』であった。
まずはユックリと休んで、またリフレッシュして秋の戦いを待ってます。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。