アズマシャトルと松若Jが嬉しい重賞初勝利!!

アズマシャトル

15年8月9日(日)2回小倉4日目11R 第51回中京記念(G3)(芝2000m)

アズマシャトル
(牡4、栗東・加用厩舎)
父:ゼンノロブロイ
母:ブレッシング
母父:マルゼンスキー

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昨年はダービーにも出走したアズマシャトル。条件再編成で、この夏は1600万下へ再編成された。その前走が1番人気4着。重賞挑戦が10回目となった小倉でついに重賞を手にした。鞍上の松若Jも、今年は宝塚記念に騎乗など今まで10度の重賞チャレンジはあった。そして今回、アズマシャトルとのコンビで、直線で大外から一気の豪快な差し切りでついに重賞制覇となった。


1番人気の支持を受けたのが、51キロのマローブルー。条件馬ながら、軽量での活躍を期待されたものだろう。小倉入りしての調整だ。展開的にはメイショウナルトが楽に行けるぐらいの先行馬ペースの競馬と読んでいた。スタートはむしろいいぐらいだが、内の馬が事のほか速かった。52キロのノボリディアーナが先頭を主張、バッドボーイが2番手。メイショウナルトはその外の3番手で最初のカーブに入っていく。内のウインプリメーラがコーナーワークで上がり3番手となる。マローブルーは7頭目の馬群の中。その右後ろにベルーフがいる。そしてアズマシャトル、クランモンタナが後に続く。

最後方のフレージャパンだけが少し置かれるが、縦長ながらも隊列は隙間なく続く。前半の3ハロンが34.0と、けっこうな流れだ。
向こう正面を過ぎても、流れは速めで推移する。11秒台のラップを刻んでいた。1000mを57.9で通過している。
3角を過ぎて馬群はなお密着していくが、けっこう手が動きだしている馬がいる。ラスト600mを過ぎたあたりで、ノボリディアーナはステッキを入れて追い出している。3番手の内のウインプリメーラの手応えが良く見える。
4角が近づく。ベルーフが外を追い上げる。その外へアズマシャトルで、内はマローブルーが続く。カーブを廻ってくる。もう先頭からドンジリまでひと塊だ。
カーブを小さく廻ろうとするノボリディアーナだが、その外へ出したウインプリメーラ。外からベルーフが馬群から決別を告げた様だ。馬群の中からマローブルーだが、伸び脚はそうでもない。

ラスト200m、何とかウインプリメーラが粘っているが、外からベルーフの伸びの方がいい。しかし、そのベルーフが前を交せないうちに、アズマシャトルが先に前へと出ていった。ゴール寸前にベルーフがウインプリメーラを抜いて2番手に上がる。大外からクランモンタナがなかなかの勢いだったが、前までは届かずの4着。
アズマシャトルが1馬身と1/4の差をつけてゴール。クランモンタナの浜中Jが、ゴールを過ぎて流していた松若Jに声をかけた様子。ハイタッチをする二人の姿が見えた。
1番人気のマローブルーは5着。ウインプリメーラが前に行った中では一番の粘り、と言うか勝利の寸前だった。

火曜の朝、坂路上の監視小屋で音無師に《良かったですね~》と声をかけるエージェントがいた。それにたいして『何が・・。』と笑いながら答える音無師。自分の馬は4着だぞと言いたげだが、弟子の初勝利への祝福であるのは百も知ってのこと。
PVで振り返って見ると、最初のカーブではあまり外へ行かない様にしている松若J。向こう正面を過ぎてから、肩ムチで促すほどの速い流れ。そして何よりもは、上がって行った4角手前。ベルーフと一緒に上がって行けば4角では目一杯、外へ弾かれる可能性があった。そこで上がらずに一旦控える感じとなったのが良かった。そこで脚を貯められたのが、その後の直線での伸びに繋がっていると思える。

1番人気が準オープンから挑戦のマローブルーであり、勝ったのが同じく準オープンから挑戦のアズマシャトルとは、皮肉なもの。そのアズマシャトルは直前の追い切りを、CWで77秒台を叩きだしている好調ぶり。いい時に乗れて、流れにもズバっと嵌る騎乗となった松若J。同期で一番乗りの重賞制覇でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。