【4回阪神】サラザン…小平奈由木の注目新馬レポート

サラザン
(牡2、栗東・須貝尚厩舎)
父:ハーツクライ
母:エービーヌードル
母父:Alphabet Soup

有馬記念やドバイシーマクラシックを制したハーツクライが父。昨年はディープインパクト、キングカメハメハに続くリーディングの3位に躍進した。初年度産駒よりウインバリアシオン(日経賞、青葉賞)など、6頭のタイトルホルダーが登場したのを皮切りに、2世代目のジャスタウェイ(天皇賞・秋、ドバイデューティーフリー、安田記念)が驚異的な成長力でG1を立て続けに奪取。現4歳のワンアンドオンリー(ダービー)、ヌーヴォレコルト(オークス)がクラシックの栄光を勝ち取ったにの続き、3歳でもベルラップ(京都2歳S)らが存在感を示している。優秀な繁殖を集めているだけに、この世代からも目が離せない。

母エービーヌードル(その父アルファベットスープ)は芝9ハロンのG3・イエルバブエナBCHをはじめ、アメリカで7勝をマーク。同馬の全姉にセコンドピアット(3勝)がいる。祖母ラザントがG1・E・P・テイラーSの2着馬であり、母の半兄にG3・フラミンゴSや同・クイーンズカウンティHに勝ったサンダーブリッツら。4代母の仔にササフラ(凱旋門賞、仏ダービーなど)も名を連ねる一流のファミリーだ。社台サラブレッドクラブにラインナップ。募集総額は5000万円だった。

社台ファームでの基礎固めは順調に進み、4月28日にはトレセン近郊のグリーンウッド・トレーニングへ。5月23日、栗東に入厩した。6月5日のゲート試験に合格。いったん山元トレセンに移ってスピードメニューを消化し、9月2日に帰厩する。2週続けてミルコ・デムーロ騎手が跨り、力のこもった追い切りを消化。終いもしっかり脚を伸ばせている。現時点でも完成度が高いうえ、この父らしい奥深さも伝わってくる。

10月3日(土)、阪神の芝1800mでデビュー。実戦でもミルコ・デムーロ騎手が手綱を取る。



小平 奈由木(こだいら なゆき)

早稲田大学日本語研究教育センターに勤務した後、競馬関係に進む。競馬専門紙「1馬」の記者、法人馬主「サラブレッドクラブラフィアン」のレーシングマネージャーなどを経て、現在はフリーランス。業界のキャリアは 20年近くになり、生産・育成現場からトレセンまで精通。

月刊誌「競馬最強の法則」の人気コーナー「トレセン最前線」をはじめ、幅広い知識を生かしたエッセーが評判 になっている。