【スプリンターズS】「来年やな」から1年 成長遂げたベルカント

30日、スプリンターズS(G1)の最終追い切りが栗東トレセンで行われた。
追い切り後、ベルカント(牝4、栗東・角田厩舎)に騎乗する武豊騎手の一問一答は以下の通り。

●不振を乗り越えて完全復調

-:まずはサマースプリントチャンピオンに輝きました。おめでとうございます。

武豊騎手:ありがとうございます。

-:デビュー戦から基本的に武豊ジョッキーが乗り続けていますけれども、ここへ来ての成長、ここ2年を通していかがでしょうか?

武:デビューの時から凄く能力の高さは感じていて、活躍していたのですけど、一時結果が出なくて「どうしたのかな」という時期もあったのですが、すっかりこの夏からこの馬の良さが戻ってきたなという感じですね。

ベルカント

-:この夏は本当に大活躍ですよね。

武:新潟はミルコ(デムーロ騎手)が乗ったのですけど、凄くいい走りをしていましたし、小倉もうまく行き過ぎたところはあるのですけど、強かったですね。

-:その小倉の北九州記念を振り返っていただきたいと思いますが、本当に圧倒的なレースでした。

武:そうですね。状態も凄く良くて、枠順も良くて、レースの展開も全てがうまくいった感じはありますけど、馬の走りがこの馬らしくなったなというのは感じましたね。

-:この馬らしさというのはどういったところでしょうか?

武:スピード、スプリント能力というのは元々持っていた馬なので、それをうまく生かせるようになってきたかなというのはありますね。

-:ある程度前めでレースを引っ張っていけるようなところもいいところかと思いますが、いかがでしょうか?

武:普通にゲートを出れば割と速い方なので、対応はしやすい馬ですね。

-:今日は追い切りが行われたわけですけど、武豊さんは騎乗されないということで、馬が引き上げてきたあと角田調教師とは何かお話はされたのでしょうか?

武:さっき話をしたのですけど、凄くいい追い切りができたと話していましたね。ちょっと難しい馬なので、厩舎スタッフもいろいろと工夫してくれていますが、その辺が今、この馬の感じを掴んでいるというか、良くなってきたのかなというのはありますね。

●昨年5着のレース後に「来年やな」と

-:角田調教師とのやりとりという点でいきますと、去年、新潟で行われたスプリンターズSが終わったあとに「来年やな」というコメントもされていたようですね。

武:昨年もいいレースは出来ていたのですけど、この馬のクセのひとつですが、ちょっと右に右に行きたがるところがあるので、新潟というのは不運だったなというのはありますね。でも頑張ってくれましたから、終わった時に「来年が楽しみだな」というのは思いましたね。

-:そして1年が経って、従来の中山競馬場1200という舞台に戻ってきますけれども、現時点でどのようなレースをイメージされていますでしょうか?

武:まぁ、1200ですからね。特別何かをするというのはないですけど、ゲートインまでにいい形に持っていければいいかなと思いますね。

-:そのゲートインまでというのは、どういったところを注意されるのでしょうか?

武:イレ込みがキツイ馬ですし、返し馬とかも難しい馬なのでね。その辺がうまくいけばいいですね。

-:跨がられてから気を使うポイントというのは、実際にどうされているのですか?

武:テンションが上がりやすい馬なので、ちょうどいい感じに持っていきたいですよね。結果が出ていない時はテンションが上がり過ぎているか、ちょっと低い時が多いので。

ベルカント

笑顔で会見に臨む武豊騎手
史上初のJRA重賞300勝の偉業もかかる


-:お天気の方を見てみますと、全国的に嵐という予報も出ているのですけど、渋った馬場になった時の対応力はどうご覧になっていますか?

武:あまり経験はないのですが、走り自体は重い馬場も苦手ではないのかなと。ただ、今回の中山開催のレースを見ていると、ちょっと先行馬が苦戦しているレースが多いので、その辺は気にはなりますね。

-:その中でベルカントは差し引きなしの1200ですので、力で押し切りたいところになるかと思いますが?

武:まだどう乗るかは決めていないですけど、スピードだけではなかなか乗り切れないかなと思いますね。

-:日曜日の阪神競馬場の表彰式の中で、レース次第では香港も視野に入っているという話も出ました。

武:スプリント路線一本に絞っていますので、そこは視野に入っていますね。

-:武豊騎手にとっても、中央競馬史上初の重賞300勝という数字もかかっていますね?

武:そうですね。土曜日に出来るといいですけどね(笑)。

-:では301勝を目指してということで、スプリンターズSにかける思い、抱負を聞かせて下さい。

武:この馬にとっては大目標のレースですし、いい形でレースを迎えられることが何よりですね。いろいろ天気とか馬場状態とか枠順とかいろんなことがあると思うのですけど、追い切りの段階では凄く順調に来ているので、非常に楽しみにしています。