ミッキークイーン、五分のスタートなら負けない!!

ミッキークイーン

15年10月18日(日)4回京都5日目11R 第20回秋華賞(G1)(芝2000m)

ミッキークイーン
(牝3、栗東・池江厩舎)
父:ディープインパクト
母:ミュージカルウェイ
母父:Gold Away

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レース直後の喧騒も治まるかなり経った時間。検量室から引き上げて行くジョッキーが出てきた。
記者に囲まれた後で、岩田Jがこちらに向かってきた。手のひらを見せてくれた。《ホラ!、ひどいでしょう》と。PVでレッツゴードンキがゲートを上に飛び上がる様に出たのは確認してある。『どんどんと気合いが入り過ぎて来て、もう我慢できなかった様だ。よりもよってあの時にね!あんなゲートの出方をする馬じゃない。その後も引っ掛かって掛かって…』と吐き捨てるように言う。ゲートで、たった1,2秒で秋華賞が終わってしまったレッツゴードンキ。思う様に行かないのが競馬でもある。しかし、まさしくこんな形で終わってしまうとは、何と言う事だろう。

逆に、ミッキークイーンはしっかりと持てる力を出し切った。大外枠を引いたが、ゲートは普通にちゃんと出ていた。ある程度、意識して好位を取りに行ったのだろう。この位置にいるのかと思う処でレースを進めるミッキークイーン。その時点で勝負あったのかも知れない。いやいや、これまた家でビデオを見ると、浜中Jの凄いのは3角からであろう。レースのピッチが上がり出した時に、一緒に脚を使わずにいる。外から追い上げて行く馬でゴッタ返す様な外目に出て行かずに、むしろ内目に進路を取っている。

実際に観戦していた時は脚がなくなったのかと思えたミッキークイーンだったのだが、そこで無駄な脚を使わずに貯めていたのであろうと推測される。4角手前で追い出していき、カーブでは前から7頭目で内ラチから3頭目で廻る。廻ってすぐに他馬よりも先に追い出しに入る。右ステッキを3発入れてから追い出す。ラスト200mの少し手前であった。内の右手にはマキシマムドパリ、外にはアスカビレンがいた。大外にはクイーンズリングの姿も現れだしたはず。そこからが死闘となった。追って追って追いまくってのクビ差、先着した。ゴールの瞬間には外を見ていた。迫って来ていた馬を確認したかったのだろう。そしてゴールを少し行ってから、M.デムーロJから祝福のタッチを受けていた。

ミッキークイーンにクビ差まで迫ったクイーンズリング。今日のミルコ・デムーロJは、これでもかと言う程に勝ちまくっていた。最近目立っていたゲートの出も、今日は大丈夫。直線でも鬼の様に伸びて来た。タッチングスピーチはあの位置から良く追い上げて来てはいるが、いかにも直線の入り口ではドンジリ。しかも5着のアースライズに内から前を横切られていた。でも脚は見せた。
出来の良さで頑張ったのが、マキシマムドパリだ。終始、目につく位置にいたのだが、4角で外から伸び出した時にはやったかと思えたが、最後は2頭に差されての3着。後続の追い上げをも凌いでの3着は、立派のひとことだろう。

ハイペースになって、なおかつ直線で切れが要求される特殊なレースでもあった。デビュー戦から際立った脚を使う馬だと誰しもが認めた実力派のミッキークイーン。桜花賞も出れていたらと思えるものだが、それでも2冠を達成した。これから古馬との戦いが待っているが、おそらくそれもやってくれるだろう強さを持つ馬である。
父、ディープインパクトの重賞100勝目を、G1で祝福する孝行娘なのである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。