【香港国際競走】日本馬連勝!先代に捧げるV ユタカ「やっと勝てた」

先陣を切った香港スプリントで日本馬3頭が惨敗。少し重苦しいムードも漂い始めたところで、その空気を払拭したのが、堀厩舎に転厩した今年、5戦全勝の快進撃でマイルG1春秋連覇を成し遂げたモーリス(牡4、美浦・堀厩舎)。直線、力強い伸び脚で昨年の香港年度代表馬エイブルフレンドらを抑えて香港マイルを制覇。6連勝で国際マイルG1制覇までやってのけた。

その走りに「輸送などが心配だったが、スタート後すぐにその心配は払拭された。馬がリラックスしていていい走りをしていた。京都のマイルCSから間隔が短かったが力のある馬。今やトップクラスのマイラーだと思う」と手綱をとったR.ムーア騎手は最大級の賛辞を送る。

堀厩舎といえば、この春にオーストラリアへ遠征したリアルインパクトがジョージライダーSを勝利。海外遠征のキャリアも豊富で「調整は金曜日追い切りで軽めだったが?」という質問に師は「うちは香港遠征5回目。金曜追いはいつものことだし、予定通りで馬をいい状態で送り出せた」と返すなど至って自然体。モーリスにとっては初となる海外でも、その実力を遺憾なく発揮させた。

「海外遠征は難しいので(勝利は)馬と騎手に感謝。今後はオーナーと相談して決めます」と締めくくったが、来年は『世界のモーリス』として、どこを戦いの場とするか、世界中の注目を集めることになる。

モーリスの世界制覇で一気に勢いづいた日本勢。続く香港カップでは、エイシンヒカリ(牡4、栗東・坂口則厩舎)が外枠から敢然とレースの主導権を奪い、そのまま後続を振り切って悲願のG1初制覇。2着に同じく日本のヌーヴォレコルト(牝4、美浦・斎藤誠厩舎)が入り、香港のファンに日本馬の底力を強烈にアピールした。

「馬のコンディションはとても良く、迷いなく逃げたかった。作戦通り。やはり道中は行きたがる面を見せたが、ギリギリ我慢してくれた。暴走しなくて良かった。直線を向いて加速したときには『よし!チャンス』と思った。残り100mで勝利を確信した。能力は高いけど気持ちのコントロールが難しい馬。それがいい方向に出れば走る。今回はずっとレースと同じシャティン競馬場で調教をしていたことも良かったんでしょう」と武豊騎手

香港国際競走での勝利は2001年、ステイゴールドで勝った香港ヴァーズ以来。「香港カップは僕自身もやっと勝てた。それに、亡くなった先代のオーナーが香港競馬に情熱を持っていたので勝てて良かった」と百戦錬磨のベテランが喜びを噛みしめていた。

管理する坂口正則調教師は、G1初勝利となった1990年のオークス(エイシンサニー)以来となるビッグタイトル。「割といつもテンションの高い馬がパドックでも良かったし、落ち着いていたので能力を出せると思っていた。強い勝ち方をしてくれた。自分の競馬ができれば今日のようにやれる。初めての海外遠征で輸送など色々な課題をクリアし、馬が落ち着いていたのは成長を感じた」と愛馬をねぎらった。このレースでまだキャリア11戦。来年はさらにスピードと力強さを増したエイシンヒカリが見られるはずだ。

香港国際競走

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