【ヴィクトリアM】ともに6歳にして進化 レースのカギを握る大久保厩舎2騎

11日、ヴィクトリアM(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。

前走、阪神牝馬S1着のスマートレイアー(牝6、栗東・大久龍厩舎)は、坂路で助手が騎乗し、終始馬なりのソフトな調整。それでも抜群の行きっぷりで4F52.5-38.2-24.9-12.6秒の好時計をマーク。連勝の勢いを保っている。

そして、大久保龍志厩舎もう一頭の刺客・ウインプリメーラ(牝6、栗東・大久龍厩舎)は、こちらも坂路で助手を背に終い重点の調整。4F55.3-40.1-25.5-12.4秒で登坂した。

スマートレイアーは、このヴィクトリアMは3年連続の挑戦。2年前は1番人気に支持されたが、末脚不発で8着。昨年も上がり32秒台の末脚を繰り出しながら10着とほろ苦い結果に終わっている。しかし、今年は東京新聞杯、阪神牝馬Sと重賞2連勝。しかも、これまでのイメージとは真逆のハナを切る競馬でひと皮剥けた走りを見せている。

丸1年ぶりとなる武豊騎手とのコンビ復活、そしてどんな作戦をとってくるかも大きな見どころの一つ。この春、絶好調の人馬が、3度目の正直でG1タイトルを手にすることが出来るか大いに注目となる。

ウインプリメーラの方は年明けの京都金杯で重賞初制覇を飾ったあと、京都牝馬S、阪神牝馬Sでともに3着。特に前走の阪神牝馬Sは、上位人気が予想される僚馬のスマートレイアー、ミッキークイーンと0.1秒差で、何とも不気味な雰囲気が漂っている。

どちらも3歳の早い時期から活躍しながら、もどかしい時期を経て、6歳で充実期を迎えつつある。目指すはG1でのワンツーフィニッシュ。ともに脚質は問わないだけに、厩舎にとっては非常に楽しみな週末となりそうだ。



11日、ヴィクトリアM(G1)の最終追い切りが栗東トレセンで行われた。追い切り後、スマートレイアー(牝6、栗東・大久龍厩舎)とウインプリメーラ(牝6、栗東・大久龍厩舎)を管理する大久保龍志調教師の一問一答は以下の通り。

●6歳を迎え師の理想に近づく

-:まずスマートレイアーについてお伺いします。重賞2連勝中ですが、好調の要因というのはどんなところにあるのでしょうか?

大久保龍志調教師:6歳になって突然良くなったわけではないのですが、馬は年齢とともに落ち着いてくるもので、今がちょうどそういう時期になったのかなと思います。

-:レースで落ち着くような工夫というのは何かされてきたのですか?

大:特にしていないのですが(笑)、競馬でミルコやユタカがうまく育ててくれたのかなと思います。

スマートレイアー

-:2走前から先行策をとっていますが、あのあたりは大久保調教師の意図する形でのレース運びだったのでしょうか?

大:後ろから行って届かないレースが結構多かったので、勝てるレースをジョッキーにリクエストしてみて、馬がそれに応えてくれたという形ですね。

-:そういうレースができるようになってきたという部分が成長なのですか?

大:昔はけっこう調教で掛かったりとか、力みがあったのですが、それが調教中はなくなってきたので、競馬でも前へ行っても大丈夫ではないかなというのをジョッキーと相談しながら競馬へ持っていきました。

-:脚質転換、大成功ですね?

大:転換というか、前でも行けるし、後ろでも行けるし、真ん中でも行けるのではないかと。僕らはいつも馬を造っているのですが、そういう馬を理想としていますので。なかなか出来ないのですが、そういう馬になってきたかなと思いますね。

-:今週の坂路での追い切りはどんなふうに映りましたか。

大:今日やったのですが、持ったままで追わずにいい動きでした。追えばけっこうエキサイトするところがありますので、それを考慮しながら馬なりでやったのですが、馬なりで52秒台、終いも12秒台で行けているので好調かなと思います。

●調教は武豊騎手も太鼓判

-:1年ぶりに武豊騎手とのコンビになりますが、何か豊さんとはお話をされましたか?

大:ユタカくんは忙しくて、日本にいなかったので(笑)。そんなにしゃべっていないですが、馬のことはよく知っているので、「任せた」としか言っていないです。

-:ここで映像もご覧になっていたのですが、「いい調教だった」というジャッジを武豊さんもされていました。

大:僕もそう思います。

-:ヴィクトリアマイルはどんな競馬に期待されますか?

大:うーん、ヴィクトリアマイルは成績がいつも悪いのですが、重賞を2連勝した勢いを保てていると思うので、そのまま特に何かするわけではないですが、いつものレイアーの競馬をしてくれればいいかなと思います。

スマートレイアー

-:ユタカジョッキーが話されていた輸送した時に体が減ってしまうという部分が以前はあったようですが、最近はどうでしょうか?

大:そこはマイナス10キロのデータをとっていますので、それに対応するような普段の馬の造りをやって、パフォーマンス的にはマイナスになっても落ちることはないかなと思っています。

-:過去にこのレースで結果を残せない部分があったと思うのですが、それだけにこのレースへの思いというのは大久保調教師自身どうですか?

大:東京が苦手とか、左回りが苦手ということはないと思うのですよね。現実に東京新聞杯を勝っているくらいなので、うまく展開が向けばいい結果が出るのではないかなと思っています。

●プリメーラも6歳にして充実!

-:では、もう1頭、ウインプリメーラも出走ということですが、今年は金杯を勝っていいスタートを切りましたね。

大:はい。桜花賞に出たくらいなので、やはり力を持っている馬だと感じていたのですが、ステイゴールドの産駒で気性が空回りするようなところがあって。これもレイアーと同じように落ち着きが出て来たのと、担当の新谷くんが凄く丁寧に手をかけてくれているのが実になっているのかなと思います。

-:今週の動きはいかがでしたか?

大:最近はいつも通りなのですが、とても良く、いい状態で競馬へ持って行けるかなと思いました。

-:内容の方ですが、どんな指示だったのでしょうか?

大:やりすぎると逆ギレするようなところがあるので、馬の気持ちを大事にしながら、新谷くんが繊細にやってくれているので、丁寧にということですね。

-:東京コースは2年ぶりになるのですね。

大:そこがどう出るかというのは心配しているのですが、栗東でも左回りの調教の時に速いところをやっています。そこではスムーズに走れているので、大丈夫かなとは思っています。

-:ウインプリメーラへの期待も教えて下さい。

大:この馬も今充実して、いい感じの状態を保っていますので、展開が向けばこれもいいところがあるのではないかと思います。