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「妹よ、秋には同じ舞台で」と、リラヴァティが重賞初制覇だ!!
2016/6/14(火)
16年6月12日(日)3回阪神4日目11R 第21回マーメイドS(G3)(芝2000m)
リラヴァティ
(牝5、栗東・石坂厩舎)
父:ゼンノロブロイ
母:シンハリーズ
母父:Singspiel
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荒れる重賞のイメージがあるマーメイドS。ハンデ戦でもあり、重賞勝ち馬があまり出てきづらい背景もあるのかも知れない。梅雨時でもあり、馬場コンディションも問題となる戦いだ。今年は雨は大丈夫と思っていたら、日曜はどんどんと天候悪化。画面を通しても雨粒が見えるほどになった。
そんな中で、絶好の3番手から前を捕らえて抜け出したリラヴァティ。大外からヒルノマテーラ、一旦下がったココロノアイが再度迫ってきたが、先んじてゴールに入った。シンハライトを妹に持つ血筋。姉がやっと重賞勝ちまで来た。楽しみな今後となりそうだ…。
家でTVを見ているのは実に疲れる。毎レース見なければいけない様に見てしまっている。東西であるから長丁場となる。これが競馬場だとパドック、返し馬優先とポイントでの出陣で、意外とそんなに疲労感はない。でもやはり我が眼を信じたく、パドックでの気配を競馬専門紙に書き込む。
アカネイロ、ハピネスダンサーと○をつけて行くが、注目していたシュンドルボンには△となる。もっといい感じの馬かと思いきや、案外な気配、シルエットだ。関東から2騎の西下であるが、期待し過ぎたかと不安になる。そして周回している中で四位Jが《51キロを乗れるんだ…》と思う。軽い斤量にも十分に対応できるんだと気になる。
8レースの始まるあたりから、雨が降りだした様だ。ひとつ前のダート戦ではとてつもなく速い決着となるほどに、影響しだしている。芝は良馬場のままだが、少しだけ悪化も進んだかと思える。
軽量馬の先行策が当然にあるこのレース。大外から49キロのシャイニーガールが行く。真ん中からショウナンバーキンがダッシュを付ける。最内枠のココロノアイが好枠を生かす考えで、前へと出ている。結局は、外からのシャイニーガールが先頭となり、リラヴァティが2番手。かと思いきや、最初のカーブへはコーナリングでココロノアイが2番手を取り切った。シュンドルボンは後ろから3頭目、メイショウマンボが続いて最後方をヒルノマテーラで廻る。
先頭に立ったシャイニーガールだが、鞍上が手綱を引くほどに頭を上げながらの先行。逃げていながら、馬はもっと行きたがるのを抑えながらの逃げである。1馬身半でココロノアイ、さらに1馬身半でリラヴァティ。ナムラアンは池添Jの両足が突っ張り背中を丸め抑えての6番手の内、外にはタガノエトワールだ。
向こう正面に入って馬群は凝縮し始める。レッドオリヴィアにハピネスダンスサー馬込みの中で、ちょうど真ん中あたり。ヒルノマテーラだけが、馬群から1頭だけ3馬身離れる最後方。
3角手前の1000m通過が59.6と表示される。まずまずの平均ペースか、メイショウマンボが少し順位を上げる。3角を過ぎ、ラスト800mとなるとさらに馬群は固まる。リラヴァティが前を行くシャイニーガールとの差を詰め、半馬身差と迫っていく。レースがいよいよ動きだした。
シャイニーガールを交わしたリラヴァティが、勝負処と見たのか先頭となっていく。それにウインリバティも付いて行く。
ラスト600mを通過。シュンドルボンがスパートを開始した。後方からメイショウマンボが外を上がって行く。ヒルノマテーラも前の馬、レッドオリヴィアのすぐ後ろにいる。
4角のカーブへとかかってくる。一番前の列に3頭。リラヴァティ、ウインリバティ、そしてシュンドルボン。その後ろの列が一番内にココロノアイ、ゴールドテーラーがいる。すぐ後ろにナムラアイにタガノエトワール、そしてメイショウマンボの3頭が並ぶ。ハピネスダンスサーがココロノアイのすぐ後ろで待つ。アカネイロ、ヒルノマテーラが外に並び、レッドオリヴィアが最後尾も、前からは4馬身もないひと固まりだ。直線に入って来た。
押して押してのリラヴァティとシュンドルボン。視界に外のメイショウマンボが見えたが、さらにその外にヒルノマテーラが伸びだしているのが見える。鋭く伸びる馬はいない。ジワ、ジワ、ジワっとした伸びで、かなりハードな馬場コンディションなのか、切れなんて感じられない。
シュンドルボンと並んでいたリラヴァティが少しずつ差を広げ始めた。内を突くハピネスダンスサーが、器用に内をスリ抜けて来ている。しかし、外をヒルノマテーラの伸びが目立ちだした。まだまだゴールまでは道がある。
ココロノアイが再び伸びだして前に迫っていく。ヒルノマテーラの伸びが一番良く、リラヴァティに迫る勢いとなったところがゴールだった。1着馬から5着馬までが、クビ・クビ・クビと掲示板に出た。
火曜朝にこの原稿を書くにあたって、ビデオを何度も見直す。惜しい馬もいる。3着ココロノアイも、横山典Jは4角までじっと死んだふりをしていた。人が動く時に動かないで、後で脚を使う作戦だ。直線内からシュンドルボンの外へ出して、ジワジワと脚を伸ばしてきた。
そしてもっと惜しかったのは、レッドオリヴィアか。4角の位置が後ろだったのは仕方ないにしろ、内を選択したが、そこから前がつかえっぱなし。最内のハピネスダンスサーが伸びて行くのに対して、こちらは手応えは抜群なのに、入るスペースがなく手綱を持ったままで、何も出来ない状況がしばらく続いていた。最後まで満足に追えてなくて、前の馬達のすぐ後ろの7着。ここらに運のなさを感じるものだった。
リラヴァティは、同じ石坂厩舎のオークス馬シンハライトの姉。兄馬のアダムスピークも新馬、ラジオNIKKEI賞と勝ち、弥生賞でも1番人気の支持を受けた期待の馬であった。初勝利が4戦目ながら、年を明けた3歳時にフェアリーS3着、チューリップ賞3着から桜花賞は9着と散った。秋はローズS3着から秋華賞で8着とG1には届かず。4歳春には、福島牝馬S2着から昨年のマーメイドSは8着と、2番人気の支持に応えられず。そしてエリザベス女王杯で9着と、また無念の結果。1600万下を前走で卒業した今年、やっと重賞制覇まで登りつめた。後はG1制覇であろうか。
鞍上の松若Jも、昨夏の小倉記念をアズマシャトルで初の重賞勝ちをしてから1年になろうとするこの時期に、嬉しい2勝目。どうやら暑くなるといいジョッキーかも知れない。9月4日が誕生日だけに、気温の上昇とともに体調もグッドになる仕組みなんだろうか。まずは、おめでとうだ。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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