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中京はわが庭、レッドファルクスが一気の差しで重賞初制覇!
2016/7/5(火)
16年7月3日(日)3回中京2日目11R 第52回CBC賞(G3)(芝1200m)
レッドファルクス
(牡5、美浦・尾関厩舎)
父:スウェプトオーヴァーボード
母:ベルモット
母父:サンデーサイレンス
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ハンデ戦の短距離1200芝。前の日から先行有利な傾向に気がつく。特にここは絶対的な逃げ馬がいなく、50キロラヴァーズポイントが気になるところ。ベルカントの藤岡康太Jが強気な競馬で、正攻法の先手を主張した。軽量を生かして逃げるかと思えたラヴァーズポイントが、周りを見ながらの2番手。外からシンデレラボーイが厳しくプレッシャーをかけてくる。それでも前半の3Fが33.8と、重賞なら緩いぐらの流れで直線へ来る。当然に前で楽をしていた先行2頭が脚色もまだ衰えず、そのまま2頭の追いが続くのかと思えた瞬間に、外を一気にレッドファルクスが駆け抜けて行った。
今回の勝利で中京は3戦3勝と、得意にする舞台。ついに重賞へ届いた。ミルコ・デムーロも、これで吹っ切れた事だろう…。
1番人気はエイシンブルズアイ2.9倍。G1馬スノードラゴンがトップハンデの58.5。ベルカントも牝馬で55.5は、けっこうな斤量である。加えて先行馬がそう見当たらない。ベルカントはともかくも、他で先手主張するとしたらラヴァーズポイントぐらいかと、展開も読みやすい顔ぶれであった。
ポンと好発をしたのはベルカント、ラヴァーズポイントも悪くない。内のエイシンブルズアイも出るのはいち早かったが、二の脚のスピードがベルカントとは違っており、3番手の内となる。ベルカント、ラヴァーズポイントと位置取りが決まったかと思えたところへ、加速したシンデレラボーイが来る。2番手に上がろうかの勢いだが、松若Jのラヴァーズポイントが抵抗してちょうど3角のカーブに入ったこともあり、2番手を守る。4番手の内にエイシンブルズアイ。驚いたことに、すぐ隣りにサドンストームがいた。
10秒台のラップが続くが開幕週の実にいい状態の芝、押して押しての先行でないかぎり、十二分に息の入る流れ。4角手前のラスト600のハロン棒では、ベルカント、ラヴァーズポイントにシンデレラボーイの3頭が重なる様に並ぶ。その後ろのサドンストームを真ん中にした2列目、内ラチのエイシンブルズアイも持ったままだ。後ろから4頭目のスノードラゴンも、手応え十分の追走。差しタイプの馬がついて行くのにしんどいぐらいのペースなら差しも生きるが、手応え良く追走できている時には前が残って当然である。
先行馬がまだまだ楽な手応えで直線へと入ってきた。カーブを廻る時にシンデレラボーイが、コーナーリングでややスムーズでない。ここでも内へのプレッシャーをかけられない。結局、前がいい感じで直線へ入る。
ベルカントの真後ろのエイシンブルズアイもまだ圏内、追って伸びれば十分なのに、前に詰めるどころか差が開いていく。替わってサドンストームがジワジワっと伸びだしていく。しかしラスト200を切ったあたりでも前の2頭の勢いが止まらない。逃げるベルカント、追うラヴァーズポイント。ジリッ、ジリッと差を詰めるラヴァーズポイント。この2頭での決着かと思った瞬間に、サドンストームを一瞬の間に抜き去ったレッドファルクス。M・デムーロの右ステッキが1、2発と入る度に伸びていって、ついに半馬身に近い差でゴールに真っ先にたどり着いた。
ゴール寸前で、2番手にラヴァーズポイントがベルカントを交わして上がっていた。スノードラゴンが大外を追い上げてきたが前には届かずの6着、エイシンブルズアイに至っては9着と、まったく伸びを欠くものであった。
レッドファルクス。戦績を紐解けば解くほどに、どこでも走れるオールマイティーな馬だなと感じる。ダートから芝、芝からダートと替わっても、すぐに結果を出す馬である。特に中京コースでのパフォーマンスは図抜けている。前回の春の中京での条件戦でも、今回と同じく前が緩い流れをしっかりと差し切った。むしろ1200芝はいちばんいい舞台なんではないかと思えるほどの強さ、切れである。
火曜朝の取材での結論から、レッドファルクスのサマー・スプリントシリーズの参戦はそうはなさそうだ。最後の1戦に出てくるぐらいなのかと思える。鞍上のM・デムーロも、先週半ばはドゥラメンテ・ショックで別人かの様だったが競馬になると流石、ここのところのミルコとは違って、以前の好調ミルコに戻った感じである。人間、吹っ切れる事も肝心。競馬人生は長いんだから・・・だ。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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