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続・北北の話(第71話)
2010/1/29(金)
あっという間に1月が終わってしまいます。今週からは東京競馬場に舞台が移り、春のクラシックへ向けての蹄音も次第に高くなってくる頃。新たな年の馬券バトルはおごそかに進行中、といったところでしょうか。そんな折りに、札幌はすすきの馬券連の学生君が東京に舞い戻ってきました。もうすぐ卒業、そして社会人1年生としての新たな生活が始まります。
「そろそろ就職の準備もしておかないとなりませんからね。大学の方は、もうほとんど行かなくてもいいんですけど、マンションは3月いっぱいまで借りたままにしています。何度か札幌に行かなくちゃなりませんから」
都内の有名高校から北海道大学に進学。4年間、北の大地で過ごしたわけですが、学生君の場合は勉学に励むというよりも、サラブレッドのふるさとで大好きな競馬に精を出していた、といった方がいいでしょう。途中からすすきの馬券連に参加、元競馬記者の不肖・ミスターY、得体知れずの馬券師・3連単の鬼氏、そして学生君のライバル、某飲食チェーン店の店長氏といった馬券仲間もできました。中央競馬はもちろん、帯広のばんえい競馬や、廃止された旭川競馬への旅打ちも経験。ホッカイドウ競馬関係者との交流もあり、挙げ句の果てには、門別競馬場で厩舎作業のアルバイトにも借り出されました。学業の方はともかく、競馬に関しては充実した日々を送っていたわけです。4月からは都内の某IT企業で社会人としての第一歩を踏み出すのですが、やっぱり北の大地への未練はたっぷりあるようです。
「いやあ、札幌を完全撤退するのは3月中旬になるんですけど、店長氏や3連単の鬼氏、それにH氏(ホッカイドウ競馬の元調教師)も加わって盛大に送別会をやってくれるって…。なんだか恥ずかしいんですよ」
帰郷したその足で中山競馬場に直行した学生君、心なしか寂しそうです。送別会と言っても、どうせすすきの場外からオケラ道を歩いて5分も掛からないいつもの居酒屋で、相も変わらぬ馬券反省会のついでに、と言った案配なのでしょうが、送り出される立場の学生君にしてみれば、そんな小宴でも今から複雑な心境で待っているということなのでしょう。
「そうそう、H氏からの伝言です。いつでもいいから門別に来いって。ホッカイドウ競馬は冬休み中、ゴルフもダメだから、相当暇なようですよ」と学生君。H氏は現役時代からの付き合い。仕事関係というよりは、むしろ他の面で壮絶なバトルを繰り広げたものでした。まずはゴルフ。不肖ミスターYよりひと回り以上も年配なのですが、さすがに騎手時代に鍛えた足腰は強靱で、ドライバーの飛距離は200ヤードを越えます。そして何よりグリーン回りの小技が巧み。油断をしていると、たっぷりお小遣いをせしめられてしまいます。それと麻雀。門別の自宅には電動麻雀宅を据え付けた部屋があり、厩舎関係者やマスコミ相手にご開帳の毎日。札幌でメンバーが一人足りない時にH氏に声を掛けると、よほどのことがない限り、高速をぶっとばして1時間ちょっとで乗り込んでくるのです。これだけ熱心なのですから、もちろん相当の打ち手で、いつも手ひどくやられたものです。もう一人、バトルの仲間だったスポーツ紙の北海道のボスが、やはりこの年明けから東京勤務となって、H氏としては遊び相手がいなくなってしまったわけです。
「それと、店長氏、胃潰瘍の方はだいぶ良くなったようです。馬券でやられるストレスには慣れっこになっているから強いんだけど、有馬記念のやけ酒からスタートした年末年始のお酒の量が半端じゃないレベルに達したのが、敗因だったそうです。ここ1週間の禁酒が効いたって、自慢していましたよ」
そんな報告を間に挟みながらの中山競馬場の1日は、アッという間に過ぎていきました。
「横山騎手、今年も快調に飛ばしていますね。2週連続の重賞勝ち!!」と学生君が感心するように、AJC杯は横山典・ネヴァブションがゴール前の競り合いを制して快勝しました。いつの間にか40歳を越え、もうベテランと呼ばれるようになったノリちゃんですが、確かにここに来ての騎乗ぶりは、円熟の境地といった感じです。第1回中山開催8日間で早くも19勝、もちろん東西リーディングのトップ。2位の武豊に6勝差をつけての開幕ダッシュです。気が早いかもしれませんが、このペースなら年間200勝も狙える勢いではあります。一昨年は長男・和生くんが競馬学校に入学、昨年は悲願のダービー制覇、父・富雄さんが他界と、大きな動きがありましたが、今年は記録への挑戦となるのでしょうか。
その横山典騎手、今週の東京新聞杯にはレッドスパーダに騎乗します。明けて4歳、マイル戦線の新星として注目を集めていますが、ここで好走するようなら香港遠征も視野に入れているとのこと。横山騎手の3週連続重賞Vに1票投じようと思います。(第71話終了)
「そろそろ就職の準備もしておかないとなりませんからね。大学の方は、もうほとんど行かなくてもいいんですけど、マンションは3月いっぱいまで借りたままにしています。何度か札幌に行かなくちゃなりませんから」
都内の有名高校から北海道大学に進学。4年間、北の大地で過ごしたわけですが、学生君の場合は勉学に励むというよりも、サラブレッドのふるさとで大好きな競馬に精を出していた、といった方がいいでしょう。途中からすすきの馬券連に参加、元競馬記者の不肖・ミスターY、得体知れずの馬券師・3連単の鬼氏、そして学生君のライバル、某飲食チェーン店の店長氏といった馬券仲間もできました。中央競馬はもちろん、帯広のばんえい競馬や、廃止された旭川競馬への旅打ちも経験。ホッカイドウ競馬関係者との交流もあり、挙げ句の果てには、門別競馬場で厩舎作業のアルバイトにも借り出されました。学業の方はともかく、競馬に関しては充実した日々を送っていたわけです。4月からは都内の某IT企業で社会人としての第一歩を踏み出すのですが、やっぱり北の大地への未練はたっぷりあるようです。
「いやあ、札幌を完全撤退するのは3月中旬になるんですけど、店長氏や3連単の鬼氏、それにH氏(ホッカイドウ競馬の元調教師)も加わって盛大に送別会をやってくれるって…。なんだか恥ずかしいんですよ」
帰郷したその足で中山競馬場に直行した学生君、心なしか寂しそうです。送別会と言っても、どうせすすきの場外からオケラ道を歩いて5分も掛からないいつもの居酒屋で、相も変わらぬ馬券反省会のついでに、と言った案配なのでしょうが、送り出される立場の学生君にしてみれば、そんな小宴でも今から複雑な心境で待っているということなのでしょう。
「そうそう、H氏からの伝言です。いつでもいいから門別に来いって。ホッカイドウ競馬は冬休み中、ゴルフもダメだから、相当暇なようですよ」と学生君。H氏は現役時代からの付き合い。仕事関係というよりは、むしろ他の面で壮絶なバトルを繰り広げたものでした。まずはゴルフ。不肖ミスターYよりひと回り以上も年配なのですが、さすがに騎手時代に鍛えた足腰は強靱で、ドライバーの飛距離は200ヤードを越えます。そして何よりグリーン回りの小技が巧み。油断をしていると、たっぷりお小遣いをせしめられてしまいます。それと麻雀。門別の自宅には電動麻雀宅を据え付けた部屋があり、厩舎関係者やマスコミ相手にご開帳の毎日。札幌でメンバーが一人足りない時にH氏に声を掛けると、よほどのことがない限り、高速をぶっとばして1時間ちょっとで乗り込んでくるのです。これだけ熱心なのですから、もちろん相当の打ち手で、いつも手ひどくやられたものです。もう一人、バトルの仲間だったスポーツ紙の北海道のボスが、やはりこの年明けから東京勤務となって、H氏としては遊び相手がいなくなってしまったわけです。
「それと、店長氏、胃潰瘍の方はだいぶ良くなったようです。馬券でやられるストレスには慣れっこになっているから強いんだけど、有馬記念のやけ酒からスタートした年末年始のお酒の量が半端じゃないレベルに達したのが、敗因だったそうです。ここ1週間の禁酒が効いたって、自慢していましたよ」
そんな報告を間に挟みながらの中山競馬場の1日は、アッという間に過ぎていきました。
「横山騎手、今年も快調に飛ばしていますね。2週連続の重賞勝ち!!」と学生君が感心するように、AJC杯は横山典・ネヴァブションがゴール前の競り合いを制して快勝しました。いつの間にか40歳を越え、もうベテランと呼ばれるようになったノリちゃんですが、確かにここに来ての騎乗ぶりは、円熟の境地といった感じです。第1回中山開催8日間で早くも19勝、もちろん東西リーディングのトップ。2位の武豊に6勝差をつけての開幕ダッシュです。気が早いかもしれませんが、このペースなら年間200勝も狙える勢いではあります。一昨年は長男・和生くんが競馬学校に入学、昨年は悲願のダービー制覇、父・富雄さんが他界と、大きな動きがありましたが、今年は記録への挑戦となるのでしょうか。
その横山典騎手、今週の東京新聞杯にはレッドスパーダに騎乗します。明けて4歳、マイル戦線の新星として注目を集めていますが、ここで好走するようなら香港遠征も視野に入れているとのこと。横山騎手の3週連続重賞Vに1票投じようと思います。(第71話終了)
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