【東スポ杯2歳S】オーバースペック&岩部 人馬とも初の重賞Vに燃える

土曜東京11レース・東京スポーツ杯2歳S(G3)に出走を予定しているオーバースペック(牡2、美浦・南田厩舎)について、岩部純二騎手に話を聞いた。

-:デビューから新潟2歳Sまでの3戦を順に振り返ってください。

岩部純二騎手:「デビュー前から調教で乗せてもらっていますが、最初の頃はすごく物見をしていましたし、他の馬を頼らないと走れない感じでした。ゲートも出ていかないので、初戦はどんな競馬になるか分かりませんでした。ただ、能力は感じていましたよ。

初戦は思っていた通りゲートを出ませんでしたし、スタートしてからも戸惑いながら走っていて後方からになりましたが、終いは脚を使えると思っていたので焦らず乗りました。直線で外に出してからは良い脚を使ってくれましたね。

2戦目は福島で、正直この馬には合わないかなと思っていました。ゲートで立ち上がってポコッとしたスタートになりましたが、初戦で良い脚を使ってくれることは分かっていましたしジックリ乗りました。直線を向いたときの手応えがバツグンで、馬が勝手に抜け出すくらいでした。自分としても大胆な競馬が出来たと思いますし、レース後、ノリさん(横山典弘騎手)に『上手く乗ったな』と言ってもらえたことは嬉しかったですね。

3戦目の新潟2歳Sのときは、直線に向いたときには厳しいかと思いましたが、それでもあそこまで差を詰めましたからね。勝ち馬は上手く馬群を捌けていましたし、力負けではなかったと思います。

これまでの3戦、全てスローペースで流れが合わないなかで好走していますからね。本当に力がありますよ。気の良いタイプなので、前半から出していくとかかってしまいます。新潟2歳Sで終いにあれだけの脚を使えたのは、初戦と2戦目で道中ジッとしていて終いを伸ばす形を経験させたことが大きかったと思います」

-:現時点でのオーバースペックの良さ、また改善してきてほしい点は。

岩:「良いところは、終いの脚ですね。追ってからビュッと切れるというより、ジワジワとスピードに乗っていく感じです。今回は東京コースでどれだけの脚を使ってくれるか楽しみです。まだ肉体面で緩さがあるところも良いと思います。緩さがある分、これから成長していく余地がありますからね。

改善してきてほしい点は、ゲートがもう少し安定してくれればと思います。速く出る必要はないので、普通に出てくれれば良いと思っています」

-:普段のオーバースペックの調整で気を付けている点を教えてください。

岩:「競馬に行くとテンションが高くなるところがあるので、普段の調教ではとにかく馬を落ち着かせてリラックスさせることを考えています。まだ2歳ですし、目先のレースのことだけでなく先々のことを考えながら調整しています。丈夫に長く活躍してもらいたいですからね。

清水オーナー、南田先生、厩舎スタッフにご理解いただいて、この馬の調整については自分に任せてもらっています。責任も大きいですけど、その分やり甲斐がありますよ。これだけの馬に乗せてもらえるチャンスはなかなかありませんからね。すごくありがたいことです」

オーバースペック

新潟2歳Sは惜しくも2着。悔しい表情を見せた岩部騎手

-:今回の東京スポーツ杯2歳Sに向けてはどのような調整を?

岩:「今回はまだ入厩してそれほど日も経っていませんし、レース当該週は併せ馬で少し気持ちを乗せていこうかと考えています」

-:岩部騎手ご自身のお話も少し。現在40歳、キャリア23年目になります。

岩:「40歳になりますけど、体のどこが痛いということもありませんよ。数年前からムリしない程度にジョギングを始めましたが、レースで乗っても体がラクなんですよね。むしろ昔より体力がついているかも(笑)。

ゴルフもやりますよ。先輩ジョッキーと回ることも多いですけど、みなさんの勝負に対する考え方を教えてもらったり、自分が乗っている馬について相談させてもらったり、仕事に繋がる部分がたくさんあって勉強になります」

-:最後に東京スポーツ杯2歳Sに向けての意気込みを聞かせてください。

岩:「多くの方に注目してもらっている分、乗り方についていろいろ言われることもあります。『もう少し前で競馬をしてもいいんじゃないか?』とか。そういう声に動じないで、これがオーバースペックの良さを生かせる乗り方だ、と自分が信じている形の競馬をしたいですね。馬の能力があるのは間違いないので、あとは人間が落ち着いて乗れるかどうかです」

-:ありがとうございました。