最内からトーキングドラムが一気に抜けて出てきた!!【平林雅芳の目】

トーキングドラム

17年2/26(日)1回阪神2日目11R 第61回阪急杯(G3)(芝1400m)

  • トーキングドラム
  • (牡7、美浦・斎藤誠厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:トランシーフレーズ
  • 母父:サンデーサイレンス

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1.6倍の圧倒的人気を集めたシュウジが、直線半ばで何やら伸びる恰好をしなかった。先行馬がバテて開いた最内に入ってきたトーキングドラムが一気に先頭へ。馬群の中から抜け出して来たヒルノデイバローと馬体を併せる形でゴールへと向かった。進路を探していたブラヴィッシモが前へと脚を運んできた時には、ナガラオリオンが先にゴールに入っていた。
7番人気、4番人気に最低の13番人気の決着で、3連単が248万もつく大荒れのレースとなった。2番人気のロサギガンティアは今回もゲートの出が悪く、スタートで終わってしまっていた印象であった…。

33.8~45.5~57.2のラップが格別に速いとは思えない数字だ。しかしカオスモスとテイエムタイホーが並び加減で先行して、息もつけない流れとなっていたのは事実だろう。
そのすぐ後ろのポジションにスタートを決めた出たシュウジと、好枠を引いて内の前々でレースをするだろうのブラヴィッシモが前後していた。ちょうどいい位置と言えばそうなのだろう、が、シュウジはこの流れで前に壁を造れていないのがいけなかったのか、前走の様な脚を使うどころか、早々(4コーナーを廻って一番先に鞍上の手が動いた)と脚色が鈍りだしていく。そのシュウジの方へと進路を選択したブラヴィッシモだが、狭いままで行き場がなく、しばし待つ羽目となる。カオスモスの内を一瞬に狙って入って来たトーキングドラムが、一気に前へと出て行った。

ビデオを見てみると、スタートから違っていた。まず真っ先にスタートが良かったのはミッキーラブソング。松若Jもたいがいのレースでスタートを決める発馬の好センスなジョッキーである。すぐにシュウジがその前へと出て行く。内ではブラヴィッシモも顔を出している。少し押し気味に出て行っている気がしたが、実際はどうなのであろう。内からカオスモスがダッシュがついて前へと出て行く。1ハロンに入る少し手前ではカオスモスが先頭でブラヴッシモとシュウジが並び、そのすぐ後ろにテイエムタイホーと真ん中にムーンクレストの5頭が先行集団である。ミッキーラブソングは少し遅れだして、内のトーキングドラムと並んでの追走だ。
1ハロンを過ぎたあたりでもカオスモスは先頭だが、シュウジがまだ行きたがっていてカオスモスとほぼ同じ位置にいた。外からテイエムタイホーが前へと出て行く。やっとシュウジが下げ始めるが、馬自身はかなり気負って走っている様に見受けた。そこでブラヴィッシモと並んで3番手となる。

ブラヴィッシモの後ろで、トーキングドラムが内ラチ沿いで脚を貯めているが、いつの間にか2番手グループの最後方となっており、ヒルノデイバローと同じ位置取りである。前を行く2頭では、カオスモスがコーナーワークで再び前に出ていた。2馬身ぐらいでシュウジが3番手。ブラヴィッシモが半馬身差の4番手内で、3Fを過ぎて行く。ドンジリにはメドウラークとナガラオリオンが並んで追走。それでも先頭からは4馬身ぐらい。
前2頭と8頭がひと塊となった馬群と最後方に2頭と3つに分かれた形で、4コーナーへと入っていく。その4コーナー手前のラスト600のあたりでは、先行した2頭に2番手グループが急接近。第3グループの2頭も、前を行くトーキングドラムらのすぐ後ろまで取り付く。一気に馬群が凝縮された。

直線へと入って来た。前の2頭は並んでいるが、後ろのブラヴィッシモとシュウジ、外へ進路を取ったミッキーラブソングの2列目、その後ろの3列目も、先ほどよりもさらに接近してきた。シュウジの川田Jが、すでに手が少し動きだし促している感じである。その真後ろでは、ヒルノデイバローがシュウジの外へと出そうとしている。すぐ後ろの横では、ナガラオリオンがロサギガンティアの内で行き場を探す手応えで待っていた。
ラスト300で、ブラヴィッシモの横に並んで抜いて行くトーキングドラム。先頭のカオスモスから最後方のダイシンサンダーまで斜め横に一列となっている瞬間である。それほどに密集した様は、なかなか見れないシーンでもある。まるでハンデ戦かと思えるほどに、力量差のない戦いかと思えるほどのもの。

ラスト1ハロンでは、幸Jのトーキングドラムが先頭に踊り出ていた。カオスモスを抜いて1馬身近く前に出た。シュウジもまだそこでは2番手ぐらいに残っている。その外へヒルノデイバローが並んで抜いて出て、前を行くトーキングドラムを追って行った。そのヒルノデイバローが抜けてできた進路にやっとブラヴィッシモが入って脚を伸ばして行くが、すでに時は遅し、先に前に出たナガラオリオンをも捕まえきれず。

1着2着は追い合いとなって、前を行くトーキングドラムに猛追したヒルノデイバローがアタマ差。そこから2馬身の水が開いてナガラオリオンが3着。クビ差でブラヴィッシモが4着であった。シュウジ8着、ロサギガンティアはその後の9着であった。
⑦・⑤・③で人気上位を占めて、②・④・⑫の偶数で入る。3連複で23万、3連単で248万もつくビックリの高配当だった。

ナガラオリオンはこの8歳にして初芝、今まで使う機会がなかったのだろうかと言うほどの好走である。シュウジの負けといいこのナガラオリオンの好走といい、競馬にはあまりにも難しいハザードがある様である。発想の転換でもないかぎり、我々にはゲットできそうもない結末である。いや、本当に競馬って難しいですな・・・ハイ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。